<大相撲九月場所>◇十二日目◇21日◇東京・両国国技館 優勝争いの行方がわからなくなってきた。1敗で単独トップに立つ前頭十五枚目・熱海富士(伊勢ヶ濱)が、引き落としで関脇・大栄翔(追手風)に敗れて2敗目を喫した。一方、3敗で追いかける大関・…

<大相撲九月場所>◇十二日目◇21日◇東京・両国国技館

 優勝争いの行方がわからなくなってきた。1敗で単独トップに立つ前頭十五枚目・熱海富士(伊勢ヶ濱)が、引き落としで関脇・大栄翔(追手風)に敗れて2敗目を喫した。一方、3敗で追いかける大関・貴景勝(常盤山)は関脇・琴ノ若(佐渡ヶ嶽)を押し出しで下して9勝目。十三日目には直接対決を迎える両者に、ファンも「まだ優勝は見えない」「明日が決戦!?」と期待を込めた。

【映像】熱海富士に貴景勝…館内を沸かせた十二日目の取組ハイライト

 快進撃を続ける若手力士の挑戦を“大関候補”が跳ね返した。出場力士の中では幕内最年少21歳の熱海富士は十二日目、立ち合い大栄翔の猛烈な突っ張りを下からあてがって応戦。下がらない姿勢でいなして勝機をうかがうが、まわしを引くことができず、最後は引き落とされて痛恨の2敗目を喫した。大関昇進を目指す大栄翔は関脇の意地を見せて8勝目を挙げ、今場所勝ち越しを決めた。

 格の違いを見せつけられた熱海富士。取組を受けて、ABEMAで解説を務めた元横綱・白鵬の宮城野親方は「(熱海富士は)いなし・はたきを連続でやりましたね。これを見ると、ちょっと残念な相撲になってしまいました」とポツリ。続けて「優勝経験がある大栄翔は、手に取るように間合いが見えていますから」と、経験豊富な大栄翔が“勝負師”として一枚上手だったことを解説した。

 続いて土俵上では貴景勝と琴ノ若の一番。立ち合い猛牛のように押し込んで行った貴景勝は、まわしを引こうと手をかけた琴ノ若を圧倒。相手に何もさせず一気に押し出しを決め、3敗を死守して9勝目を挙げた。琴ノ若は6敗目。勝った貴景勝について、解説の宮城野親方は「相撲を取る前から汗が出ていた」と指摘すると、「『今日は勝つんだ』という意識が高かった。花道に来るまでずっと体を動かしていたんじゃないですか」と、気持ちの強さが結果につながったことを語った。

 十二日目の全取組を終えて、優勝争いは2敗の熱海富士を3敗の貴景勝と前頭七枚目・高安(田子ノ浦)が星1つの差で追いかける展開となった。十三日目には熱海富士と貴景勝の直接対決が組まれており、貴景勝には自力優勝の可能性が浮上した。

 混沌としてきた優勝争いに、宮城野親方は「本当に誰が優勝するのかわからない秋場所になってきました。やっぱり初優勝を見てみたいし、また、番付というものをこの秋場所では見せて欲しいという思いもあります」と語ると、続けて「自分が戦った現役で一番高安が強いという意識もあるので、高安の初優勝も見たい」とも期待を寄せた。ABEMAの視聴者も「面白くなってきた!」「まだ優勝は見えない」「明日が決戦!?」と大興奮。幕内最年少力士の快進撃が続くのか、大関が貫禄を見せるのか、果たして——。(ABEMA『大相撲チャンネル』)