頭で世界を沸かせたトライを呼び込んだマーラー。彼も周囲からの批判に強く反発する。(C)Getty Images 現地9月17日に行われたラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会のプールD第2戦で、イングランド代表は苦しんだ末に日本代表を撃…
頭で世界を沸かせたトライを呼び込んだマーラー。彼も周囲からの批判に強く反発する。(C)Getty Images
現地9月17日に行われたラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会のプールD第2戦で、イングランド代表は苦しんだ末に日本代表を撃破。大会2連勝を飾った。しかし、試合後に彼らへ寄せられた評価の大半は、プレーパフォーマンスを断じる辛口なものが目立った。
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たしかに“ラグビーの母国”は苦しんだ。とくに話題となった56分のトライシーンは、低調だった試合内容を象徴するような“幸運”に恵まれたものだった。プロップのジョー・マーラーの頭に当たってこぼれたボールを日本の選手たちが「ノックオン」とセルフジャッジ。その間にルーズボールを処理したコートニー・ローズがインゴールへ収めると、TMO(ビデオ判定)の末に「トライ」と認められたのだ。
1点差に迫られた局面で飛び出した突然のワンプレーで何とか勝利はもぎ取ったイングランド。それでも元フランス代表FLオリビエ・マーニュ氏が自身のX(旧ツイッター)で「このイングランドは最悪だ。欲望も、喜びも、一貫性もないじゃないか。反吐が出るようなラグビーをしている」と断じた全体的なパフォーマンスは、国内外で批判を受けた。
もっとも、選手たちは周囲の批判を意に介していない。「史上最悪のトライ」(英紙『The Sun』より)と揶揄された56分の珍場面を生み出したマーラーは、英紙『The Guardian』で「なんですべてを上手くやる必要があるんだ? 結局はただ勝つことの方が大事じゃないのか」と強調。そして、こう続けた。
「世界一になった20年前にイングランドは何をしていた? あの大会だって、大半の試合は酷いものだった。でも、最後はワールドカップで勝つ方法を見つけ続けただろ。だから俺たちもトライし続け、それぞれの試合から教訓を得るんだ。そして、その教訓を活かし、最善を追求し続ける。最後が勝つことが大事なんだ」
日本戦のプレーぶりをどれだけ批判されようとも、勝利という結果は得た。その事実に他の選手たちも堂々と胸を張る。「奇跡を生んだ頭」とも揶揄されるマーラーに同調するのは、SOのジョージ・フォードだ。
「僕らは何のためにここにいるか。勝つためだ。僕はファンにこのチームを誇りに思ってもらいたいと思っている。僕らは彼らのためにとにかく勝ち続けるよ。振り返るべきことは多くある。本当に蹴るべきだったのか、なぜそういう展開にしたのか、ボールをとどめておくべきだったか、とかね。でも、日本が多くの問題を引き起こしてきたタフなゲームで、最終的に4つのトライを決めて勝ったのは僕らだ。この勢いを持続させたいね」
試合中盤まで熾烈な攻防が続いた日本戦。批判こそ受けるが、その内容はイングランドの選手たちにとって大きな刺激となったようだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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