【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆血統で振り返るセントライト記念 【Pick Up】ソールオリエンス:2着  単勝1.6倍の支持を集めたものの、先に抜け出したレーベンスティールをとらえることができず2着に敗れ…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返るセントライト記念

【Pick Up】ソールオリエンス:2着

 単勝1.6倍の支持を集めたものの、先に抜け出したレーベンスティールをとらえることができず2着に敗れました。秋のGIを射程に入れていたわけですから残念な敗戦であったのは事実ですが、負け方としては決して悪いものではなかったと思います。

 中山芝2200mは、ゆるめのペースで展開した場合、外枠の馬は内にもぐりこみにくいコースです。14番枠のソールオリエンスは終始外を回らされる厳しい立ち回りとなり、その点で勝ち馬とは大きな差がありました。コーナーリングが決して上手いタイプではないので、本質的に直線の短い中山コースは得意とはいえません。皐月賞は、前後半58秒5-62秒1という超ハイペースに恵まれたこともあって後方一気の差しが決まりました。

 母スキアは「モティヴェイター×クエストフォーフェイム」という英ダービー馬同士を組み合わせた配合構成で、一見、距離延びて良さが出そうな血統に見えますが、産駒はヴァンドギャルド(富士S、ドバイターフ2着、3着)をはじめ短い距離で良さを発揮するものばかり。ソールオリエンスも菊花賞3000mへの距離延長はプラス材料ではないでしょう。ただし、折り合いの難しいタイプではなく、京都外回りコースは直線が長くコーナーリングの巧拙が問われづらいコースであること、そして他馬との相対的な力量差を考えると、有力候補であるのは間違いないでしょう。

◆血統で振り返るローズS

【Pick Up】マスクトディーヴァ:1着

 中団追走から直線で豪快に抜け出し、1分43秒0という驚異的なレコードタイムで駆け抜けました。従来の記録を0秒8更新する芝1800mのJRAレコードです。

「ルーラーシップ×ディープインパクト」の組み合わせはニックス。キセキ(菊花賞)、エヒト(七夕賞、小倉記念)をはじめコンスタントに活躍馬が出ています。とくに現3歳世代は豊作で、マスクトディーヴァのほかにドルチェモア(朝日杯FS、サウジアラビアRC)、キングズレイン(ホープフルS-3着)、ドゥアイズ(阪神JF-3着)、メイクアスナッチ(フェアリーS-2着)などが出ています。

 父ルーラーシップは、サンデーサイレンスを含まない血統構成なので、交配相手からサンデーを取り入れた配合が成功しています。同産駒の収得賞金上位馬はこのパターンばかりで、輸入繁殖牝馬から誕生した産駒、つまりサンデーサイレンスを含まない配合は成績がもうひとつです。ディープインパクトは、サンデーサイレンス的な切れ味、中距離向きのスピードを、後継種牡馬のなかで最もよく伝えている種牡馬なので、ルーラーシップと好相性を示すのは当然といえるでしょう。

 1着マスクトディーヴァ、2着ブレイディヴェーグは、夏の間にかなり力をつけてきました。圧倒的な強さで春の牝馬二冠を制したリバティアイランドは、もし仮に桜花賞のような競馬になってしまった場合、ピンチに陥るかもしれません。