足を止めてしまった日本の選手たちをよそに、冷静にトライを決めたローズ。このワンプレーが試合の流れを変えた。(C)Getty Images イングランドを救い、日本を勝利から遠ざけたワンプレーに対する反響が続いている。 話題となっているのは、…

足を止めてしまった日本の選手たちをよそに、冷静にトライを決めたローズ。このワンプレーが試合の流れを変えた。(C)Getty Images

 イングランドを救い、日本を勝利から遠ざけたワンプレーに対する反響が続いている。

 話題となっているのは、現地9月17日に行われたラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会での、日本代表とイングランド代表によるプールD第2戦のワンシーンだ。

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 イングランドに対して食い下がる日本が12-13と1点差に迫った56分だった。SOのジョージ・フォードが送ったパスをウィル・スチュアートがこぼすと、ボールは前を見ていたプロップのジョー・マーラーの頭に直撃。このルーズボールをコートニー・ローズが拾い上げてインゴールへ収め、トライを成功させた。

 咄嗟の出来事に両軍ベンチも戸惑いの表情を浮かべた。とりわけ「ノックオン」とセルフジャッジをしてしまった日本の選手たちは足を止め、審判に「何が起きたんだ」と言わんばかりの目線を送った。

 直後に行われたTMO(ビデオ判定)の結果、スチュワートのプレーはノックバック(後方への落球)、マーラーは頭のみの接触のためノックオンとは判定されず。ローズのトライが正式に認定。CKも決められて7点を失った日本にとって、背中を捉えかけたライバルが遠のく痛恨の失点だった。

 この試合の流れを大きく変えたワンプレーは、トライを決めたローズ本人が「僕らにとってはちょっとラッキーだった」と振り返ったように、イングランド国内でも“珍プレー”としてクローズアップされている。

 英紙『The Sun』は「勇敢な日本人たちに競り勝てたのは、マーラーの世にも不思議なヘッドのおかげ」と指摘。日本に苦戦を余儀なくされていた母国代表を救ったプレーを振り返っている。

「イングランドは55分まで危機的な状況にあった。ミスに次ぐミス、暑さによって浮き彫りになった基礎の甘さ、想像力や工夫の欠如――。日本は間違いなく自信を深めていたし、イングランドを後押ししたファンも敗北を恐れていた。しかし、誰も予想していなかった偶然の出来事がすべてを変えた」

 また、同紙は別の記事において「史上最悪のトライだ」「こんな得点は見たことがない」とする英国内のファンのコメントを紹介。そのうえで日本がジャッジに困惑していた様子を「日本人は幸運な介入に関するルールをほとんど知らなかったようだ」と描写し、「イングランドの選手たちはノックオンではなく、プレー続行を咄嗟に判断する素早い思考を見せたのは良かった」と機転を利かせたローズらのプレーを称えた。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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