9月17日(日)、阪神競馬場で3歳牝馬によるGⅡローズS(芝1800m)が行なわれる。前走の不知火特別を勝利したコンクシェル このレースは、10月15日に京都競馬場で行なわれるGⅠ秋華賞(芝2000m)の重要な前哨戦。2015年1着のミッ…

 9月17日(日)、阪神競馬場で3歳牝馬によるGⅡローズS(芝1800m)が行なわれる。



前走の不知火特別を勝利したコンクシェル

 このレースは、10月15日に京都競馬場で行なわれるGⅠ秋華賞(芝2000m)の重要な前哨戦。2015年1着のミッキークイーンなど、このレースをステップにして秋華賞で馬券に絡んだ馬は、勝ち馬13頭を含む41頭。他のレース(2位はオークスの6勝&9頭)に比べて圧倒的な数を誇っている。

 秋華賞を占う上でも見逃せないこのレースを、血統的視点から分析していきたい。

 圧倒的な強さを誇るのはディープインパクト産駒だ。2012年のジェンティルドンナを皮切りに、2013年デニムアンドルビー、2015年タッチングスピーチ、2016年シンハライト、2018年カンタービレ、2019年ダノンファンタジー、2020年リアアメリアと、11年で7頭が勝利している。

ディープインパクトの父、サンデーサイレンスの産駒も6勝を挙げていて、その後継はディープインパクト産駒以外にも5勝を挙げているように、この父系の強さは目を見張るものがある。ここ2年は非サンデーサイレンス系の馬が勝利しているが、今年は4年ぶりに阪神開催に戻るため、この傾向も戻ってきそうだ。

 今回、ディープインパクト産駒の登録はないが、後継種牡馬の産駒は合計7頭が登録している。その中で筆者が本命に推したいのが、ダービー馬キズナ産駒のコンクシェル(牝3歳、栗東・清水久詞厩舎)だ。

 本馬は全姉にGⅡフローラS3着のシンシアウィッシュ、芝短距離で3勝のマリーナがいる血統。母のいとこベラルドは英GⅠデューハーストSの勝ち馬で、母の父ガリレオは英愛リーディングサイアーに12回輝いた大種牡馬。祖母の父マキアヴェリアンも、多くの日本の名馬を持つ名種牡馬だ。

 ガリレオの父サドラーズウェルズも、英愛リーディングサイアーに何度も輝いた大種牡馬だが、ローズSと非常に相性がいい。ガリレオは2018年の勝ち馬カンタービレの母の父で、サドラーズウェルズは2015年の勝ち馬タッチングスピーチの母の父。2頭の父はいずれもディープインパクトなので、コンクシェルは似た血統構成となる。

 さらに、2016年の勝ち馬シンハライトの母の父シングピールもサドラーズウェルズ系で、2020年3着のオーマイダーリン(父ディープインパクト)、2020年2着のムジカ(母の父ディープインパクト)、2021年3着のアールドヴィーヴル(母の父ディープインパクト)も母系にサドラーズウェルズを持っていた。ディープインパクトとサドラーズウェルズは、ローズSの特注血統と言っていいだろう。

 コンクシェルは実力も折り紙つきだ。昨年7月の新馬戦(小倉・芝1800m)を勝ったあとは3連敗を喫したが、3月のアネモネSでは13番人気ながら2着と激走。そしてこの夏は鞍ケ池特別(1勝クラス、中京・芝1600m)、不知火特別(2勝クラス、小倉・芝1800m)をいずれも5馬身差で圧勝と、かなり力をつけてここに臨んできた。前走は2勝クラスとはいえ、牡馬相手に逃げ切って5馬身差の圧勝は評価していい。

 一昨年、12番人気で2着と逃げ粘ったエイシンヒテンも、夏は牡馬相手の2勝クラスで揉まれてきての参戦(ローズSの前走で4着)で激走していた。牡馬を含めた古馬とのレースはいい経験になるだけに、コンクシェルの成長にも期待だ。

 もう1頭はアンリーロード(牝3歳、栗東・茶木太樹厩舎)を推す。本馬の父リアルスティールはGⅠドバイターフの勝ち馬で、その父はディープインパクト。前述のようにこのレースと相性がいい父系だ。

 同馬は牝系が優秀で、いとこに豪GⅠ2勝のトーセンスターダム(父ディープインパクト)、おじにGⅠ天皇賞・秋のトーセンジョーダン、さらに近親には天皇賞・秋などGⅠ2勝のカンパニーや、今年のダービー馬タスティエーラが出ている名門の牝系だ。同牝系の馬が連鎖的に活躍するのはよくあるケースであり、タスティエーラの勢いに乗りたいところ。出走は5月のカーネーションC以来で約4カ月ぶりとなるが、そのレースを含めて芝1800mは2戦2勝と得意にしている距離でもある。

 以上、今年のローズSはキズナ産駒コンクシェル、リアルスティール産駒アンリーロードの、ディープインパクト系2頭に期待する。