身長194cmから繰り出されるビッグサーブを持つ期待のジュニア・坂本怜 17歳で身長194cmの長身を生かしたサーブが魅力の坂本怜(誉高校)。錦織圭や西岡良仁らをサポートし、世界トップランカーに引き…

身長194cmから繰り出されるビッグサーブを持つ期待のジュニア・坂本怜
17歳で身長194cmの長身を生かしたサーブが魅力の坂本怜(誉高校)。錦織圭や西岡良仁らをサポートし、世界トップランカーに引き上げた盛田正明テニスファンド(MMTF)のサポートを昨年2月から受け、アメリカ・フロリダにあるIMGアカデミーで日々研鑽を積んでいる。今年すべてのグランドスラムジュニアに出場した坂本だが、今回のUSオープンでは惜しくも3回戦で敗れ、またしてもベスト16の壁を突破することはできなかった。IMGアカデミーをベースに、MMTFのコーチを務める弘岡竜治氏に、坂本の今後の課題やプレーの軸について聞いた。

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――惜しくも3回戦で敗れてしまいましたが、試合を見ていかがでしたでしょうか。

相手のサーブ(Yi Zhou/中国)の精度が高かったのと、先にリターンをコートの中にうまく入られしまい返されてしまいました。リターンが返ってくるというプレッシャーがあり、自分のサービスゲームが思うようにいかなくてサーブに力みが見られました。思うようなプレーができなくなりイライラが募る中でのプレーとなったんですが、(第2セット目中盤の)最後にブレークダウンしたところから、リターンゲームで相手にしつこさを見せプレッシャーをかけてブレークバックできたのですが、次のサーブスゲームで落としてしまいました。あそこでサービスをキープできていれば、良い流れに乗ることもできたと思います。

全体的に言えば、相手のプレーがすごい良くて、やることを決めてコミットしている感じでした。(Zhouは)ファーストサーブでわざとタイミングをずらしたキックサーブを使ってきたり、少しでもチャンスがあれば先に相手を動かして怜(坂本選手)が先に時間を作ることができなかったことが多かったですね。

――坂本選手のファーストサーブの確率も高くなかったように見えました。

相手のリターンがすごく良かったので、それがプレッシャーになっていました。結果、一本(サービスエース)で終わらせたい、というのがあって力みにつながって入らなかったり、ボールが伸びなかったりした原因だと思います。
   
――これからの坂本選手の課題はなんでしょうか。数年先にはATPツアーでということはお考えになっていると思います。

彼に関しては圧倒的なサーブ力がありますが、もっとエースが取れて、サービスゲームが簡単に取れるようにすることが一番の課題だと思います。あとはアグレッシブさというところで、ショットの質も含め、サーブともう一つ武器を作る、彼の良いところを伸ばしていくという感じです。

USオープンジュニアで坂本怜に帯同したIMGアカデミーの弘岡竜治氏
盛田正明テニスファンドの現地コーチを務める弘岡竜治氏

――それを実現する為の計画、中長期的なことも含めて教えてください。IMGアカデミーのスタッフさん達とも連携しながらなのでしょうか。

コミュニケーションはほぼ毎日取っています。怜が将来こうなりたいという軸、プレースタイルを忘れないようにしてもらいたい。この試合だけで見ると確率をあげればいい、ミスを少なくしたらいい、というのはもちろん出てくるのですが、そういうところだけに囚われると「芯」の部分のしっかり思いっきり打って攻めていくというのが薄れてしまう。そこをIMGのコーチたちとコミュニケーションを取って軸のベースの大きな課題を忘れないようにしています。

――それにはやはりサービスキープができるという「自信」があってこそ攻められる。今日の試合は相手がそれをやっていたように思います。緩急を織り混ぜ、リターンに的を絞らせないサーブでした。どこかで崩れると思っていましたが、最後まで安定したサービスゲームでした。世界的に見た場合、難しい局面は別として基本的に拾って、攻撃できる、主導権を握って試合を進める、という前提の練習をするのでしょうか。

そうですね。基本的にはアグレッシブに。彼は元々の「しつこさ」のようなものを持っているので、長いラリーになっても大丈夫だという自信はあります。それが試合後半の大事なところで出てくるので、そこが彼の良いところでもあります。
   
――少し無理にでも決めてしまいたい、とか焦りが少ない、ということでしょうか。

そうですね、そこが良いところで、もう少し身体を強くしていかないといけません。

――今の練習量、拠点をアメリカにしたメリットは何でしょうか?

普段の練習時間は、テニスが5~6時間でトレーニングが1時間を2セッションです。IMGの良いところはやはりプロが練習に来ることです。アメリカでのツアーの合間や年末などは多くのプロが来るので、そこで一緒に練習をする事ができるのがメリットですね。ただ、日本人を見る時に注意しているのが食事です。基本的には同じようなものが出てくるので、たまには日本食を食べられるようにしてあげます。

――インスタグラムなんかを見ていると、仲が良さそうですね。

そうですね、2人ともお笑いが好きなので坂本選手が面白くインタビューやスピーチができるように練習しています。



――坂本選手と普通の日本人の違う面を挙げるとすれば、どういったところが挙げられますか?

マイペースでゆっくりコートに入ったり、とかいい意味ですごく自己中心的なところもあります。テニス選手でプロになろうとする人は絶対にそうあるべきだと思います。コート上でエゴイストになれる、自分の信念を貫くということが大事ですね。それから海外では日本人は外国人ですが、だからといって物怖じすることもないのでそこはプラスです。彼はアメリカに来て良かったと思いますし、とても環境としては良かったように感じます。日本にいるとそんな行いは…と言われることもあるかもしれませんが、いい意味でマイペースでというところですね。

――日本にいるこれから強くなりたいと思っているジュニアの皆さんにメッセージをお願いします。いろんな選手を見てこられた経験、スキル的なこと、マインド的なことを含めても構いません。

私が一番思うのは、日本人は良いものを持っている選手はたくさんいると思います。例えばテクニックを見ても引き出しもありますし、打ち方も素晴らしい。それでいて、なぜ世界で勝てないかというと、海外の選手たちと戦っていないからだと感じます。(練習や試合)勝てないのは相手をリスペクトしすぎているようなので、いい意味でそこはCocky(生意気な)でいて、勝てるスキルがあるのであれば活かしていき、いろんなところでいろんな選手と試合をしていき、培っていって欲しいと思います。

――お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。