9月8日〜10日の期間で奥州市総合体育館Zアリーナにて行われた「Wリーグオータムカップ2023 in 奥州」。富士通レッドウ…

 9月8日〜10日の期間で奥州市総合体育館Zアリーナにて行われた「Wリーグオータムカップ2023 in 奥州」。富士通レッドウェーブの赤木里帆は、この大会で3試合すべてにスターターとして出場した。

「富士通の強みである『トランジション』を意識しました。一番はディフェンスでボールマンにプレッシャーをかけて相手のしたいことを簡単にさせないこと。それと、(チームの)ルールを徹底することを心がけていましたが、できたときとできなかったときの波がすごく激しかったなというのが(大会を)終えての感想です」と、3試合を振り返った赤木。オフェンスについてはさらにこうも語った。「今大会は2番ポジションで出ることが多かったのですが、フェイスアップしてどんどんシュートを狙うこととターンオーバーが最近チームで多かったので、ボールケアのところも意識していました。それもできたところとできなかったところがあり、特にできなかったことの方が印象にありますね。課題が残る大会だったと思います」

 桜花学園高校や東京医療保健大学で日本一を経験した赤木は、富士通に入団して今シーズンが3シーズン目(アーリーエントリーのシーズンを除く)。チームでは、ガードとして1番と2番ポジションを兼ねる。

 昨シーズンは赤木にとっても大きく飛躍したシーズンで、開幕2戦目で10得点を挙げると、その後もコンスタントに試合に出場。「チャンスをつかみました」と、当時BTテーブスヘッドコーチが語ったように、毎試合20分前後のプレータイムを得て、得点やアグレッシブなディフェンスなどで勝利に貢献した。そしてレギュラーシーズンの中盤には6試合、スターターにも名を連ねたのだが…。レギュラーシーズン終盤には約1カ月、腰を痛めたことにより試合から遠ざかってしまう。富士通の主軸として力を発揮していただけに、チームにとっても、赤木本人にとっても、痛い戦線離脱となった。

「(腰の状況は)無理してでもすぐに戻ろうというものではなかったので、もう一度、体を作り直してコートに戻るというモチベーションを持つことができていました」と、赤木はそのときのことをこう話す。また、「試合に出られなかったことは悔しかったのですが、今すべきこと、チームの応援もそうですし、しっかりと自分の体を見直して体作りをするということについては、割とポジティブに考えていました」とも語った。

昨シーズンをもって同じガードポジションだった岡田英里が引退したこともあり、今シーズンは役割もより一層増えるだろう。それを踏まえたうえで、「1番ポジションで出たときはゲームメイクが大事になるので、試合の流れを見て、どこで攻めたらいいのか、試合の状況を理解した上でゲームメイクをしたいと思っています。逆に2番ポジションで出たときにはトランジションで走ったり、積極的にシュートを狙ったりと役割が変わるので、出たときのポジションによってゲームを組み立てることができればと思っています」と、意気込む。

 ケガを経験したことで、今シーズンは1シーズンをフルに戦い抜きたいという思いは強いはず。そんな話を向けると、赤木からは「試合に出たからにはチームに勢いを与えられるようなプレーをしたいというか、絶対にするので、そこは見ていてほしいです」と、頼もしい言葉が返ってきた。

 昨シーズンでつかんだ手応えと悔しさをバネに。攻防において積極的なプレーが持ち味の味の若きガードが、今まで以上に大暴れの予感だ。

文=田島早苗