■専守防衛ではない戦いでドイツをねじ伏せた ドイツ戦は文句なしの快勝だった。 4-2-3-1のシステムでスタートし、自分…

■専守防衛ではない戦いでドイツをねじ伏せた

 ドイツ戦は文句なしの快勝だった。

 4-2-3-1のシステムでスタートし、自分たちの強みを発揮しながら前半を2対1で終えた。後半開始からは5-4-1に変更し、ブロックを作りながらカウンターで得点機を生み出す。

 ドイツに決定的なシュートを許さず、しかし3点目、4点目の機会を逃す展開は、2対2の同点に持ち込まれてもおかしくないものだっただろう。だが、終盤になってもスキを見せず、90分と92分に久保建英のアシストから加点し、4対1で締めくくった。

 カタールW杯のように相手の良さを消しながら好機をうかがうのではなく、自分たちの強みをぶつけることでドイツと互角以上にわたり合った。後半開始からのシステム変更は、その必然としてチーム全体が後ろに重たくなり、ドイツにボールを握られる要因となった。

 60分あたりまで4-2-3-1で引っ張り、そこから選手交代をきっかけにシステムを変えても良かったはずだが、58分、74分、84分と2枚替えを3度行ない、そのたびに運動量を保っていった。これは、森保一監督の好采配と言っていい。

「個」で問題解決をする場面が増えているのは、非常に頼もしい。2人、3人のグループやチーム全体で守ることを前提としながらも、DF冨安健洋、DF板倉滉、MF遠藤航らが個人で局面を制したり、打開したりしていた。MF鎌田大地やFW伊東純也のディフェンスにおける献身性も、勝利を引き寄せた要因である。前半の2得点をアシストしたDF菅原由勢は、右サイドバックの定位置をさらに引き寄せた印象だ。

■トルコ戦は「チームの底上げ」がテーマに

 W杯ベスト8入りという目標からの逆算で、ドイツ戦は内容、結果ともに評価できるものとなった。世界の8強入りするためには、自分たちで主導権を握り、得点を奪えなければならない。押し込まれる時間帯を、無失点でしのがなければならない。専守防衛ではないゲームプランで臨み、ドイツから4ゴールを奪ったのだから、文句なしの一戦である。

 12日のトルコ戦も、世界の8強入りへの大切な機会だ。

 W杯のグループステージ(GS)では、中3日や中4日の日程で3試合を消化し、GS最終戦から同じような試合間隔でラウンド16に挑む。ラウンド16をくぐり抜けると、引き続き中3日や中4日で準々決勝だ。

 連戦で疲労が溜まっていくうえに、移動もある。カタールW杯は長距離移動がなかったが、カナダ、アメリカ、メキシコの3か国共催の26年は国をまたいだ移動を強いられる。

 コンディション維持の阻害要因が増えていくなかで、ノックアウトステージではGSよりレベルの高い相手と向き合い、勝利をつかんでいかなければならない。そこでは、一人ひとりのタフネスさはもちろん、選手層が問われる。同じレベルのチームをふたつ作れるぐらいの厚みがほしい。

 カタールW杯のラウンド16で日本と対戦したクロアチアは、延長前半途中でルカ・モドリッチとマテオ・コヴァチッチを交代させた。PK戦投入を想定すれば、最後まで残しておきたい選手のはずだが、ズラトコ・ダリッチ監督は背番号10と背番号8を下げた。交代選手への信頼があったからだろう。

 トルコ戦のキーワードはズバリ、「チームの底上げ」である。11月のW杯アジア予選開幕以降は、格下相手でも先発を固めざるを得ない状況が生じる。それだけに、今回の2試合と10月の2試合は、招集した選手を思い切って起用するのだ。ドイツ戦からトルコ戦は、スタメン総入れ替えでいいだろう。

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