※走ってみっぺ南会津!2023(前編)はこちらからご覧ください。ついに、名物の第3エイド「高畑スキー場」に到着した。近隣には、香ばしい香りが漂っている。ここは、大会名物の「マトン丼」が提供されるエイドなのだ。マトンは、焼いたものが用意されて…

※走ってみっぺ南会津!2023(前編)はこちらからご覧ください。

ついに、名物の第3エイド「高畑スキー場」に到着した。
近隣には、香ばしい香りが漂っている。ここは、大会名物の「マトン丼」が提供されるエイドなのだ。マトンは、焼いたものが用意されているわけでなく、並べられた鉄板の上で、いい音を立てながら数名のスタッフが焼き上げており、そのライブキッチンばりの演出も華やか。このエイドのために走るという参加者も少なくない。皆、ニコニコ笑顔で列に並んでいた。



山を背負った「高畑スキー場」エイドに到着!

順番が来ると、地元のお米がふっくらと炊き上げられた、つやつやのごはんの上に、ドーンとマトンが乗ったお碗を渡された。「タレはお好みでかけてくださいね」と笑顔のスタッフさん。お碗は、ずっしりと重く、定食レベル! こんなにいただいていいんですか?
参加者はいそいそと戦利品を抱いて、木陰など確保したスペースに移動し、ダイナミックに頬張っていた。ごはんもマトンも絶品で、このエイドは会話も忘れて一心不乱に食べている参加者が多いような気がする。パワーもしっかりチャージして、元気満タンだ!



マトンがダイナミックに焼かれる光景も大会名物のひとつ



香ばしい香りのマトン丼を手に笑顔がはじける

ここから再び伊南川とともに走り、いくつかのスノーシェッドを抜ければ、折り返し地点の屏風岩にたどり着く。岩と澄んだ水が織りなす涼しげな光景を楽しもう。窮屈だったシューズを脱いで、美しい水にひたしてみる参加者も。時には、泳いでしまう方もいるとか。別世界に入り込んだような空気感を、五感で楽しんだ。



屏風岩でくつろぐゲストライダーたち



自然が織りなす不思議な光景を楽しむ

再スタート。分岐点を目指し、折り返す。同じルートではあるが、見る方向によって雰囲気が変わるのが面白い。帰りは下り基調になるため、パワーチャージとリフレッシュを済ませた参加者のペダルは順調に回っているようだ。



笑顔で走る。コース内のどこを取っても美しい



渓流にかかる橋を渡り、エイドへ

美しい渓流の光景を再び楽しみ、あの「包容力エイド」へと戻る。このエイドのすごさは、再来訪時にわかる。「第4エイド」となる今回は、冷たいプチシュークリームを用意し、折り返しの参加者を待ってくれていたのだ! ランチの後で、ちょっと甘いものが欲しくなる気持ちを完全に満たしてくれる。さらに、冷やしきゅうりも登場! トマトもいただける。涼しいとはいえ、暑さを感じ、バテてくる後半の気持ちを汲んで、ドリンクボトルには氷を入れてくれる。なんとありがたい心遣いだろう。

この大会は地元のスタッフの皆さんが、とてもフレンドリーに参加者を受け入れ、歓迎して、もてなしてくれるのが大きな魅力なのだが、再来訪になるこのエイドなどで「ただいま」と言いたくなるくらい、自然と強い親近感を持つ。多くの参加者がリピーターになる由縁(ゆえん)は、ここにあるだろう。



南郷トマトと再会!



きゅうりと、プチシュークリームをゲット!



ボトルに氷を入れてくれるサービスが嬉しい。冷たいドリンクは、確実に夏のライドの助けになる

筆者はここで折り返し、フィニッシュを目指したが、100km組はここから右ウィングパートに向かい、南郷スキー場に立ち寄る20km分のルートを往復する。ここも伊南川とともに走り、美景を楽しめるエリアだ。エイドも2カ所、設定されている。

さて、ここからは最後まで、緩やかな上り基調。ロングライドに慣れたローディーたちは、スイスイと爽快に走り抜けていくが、「そうでもない」面々には、後半の疲れもあり、じわじわ効いてくる。「走り」や「はしゃぎ」のペース配分を間違えてしまうと、終盤がキツいのだ。
ルートは、ほんのりと上り続けるが、上りを「あまり気にしない」作戦で、一定ペースでペダルを回す。顔を上げれば、帰路も変わらぬ絶景。広々とした田園風景を、心ゆくまで楽しもうじゃないか!

※いよいよ、高揚感あふれるフィニッシュへ!

順調に、最後のエイドに到着。第1エイドだった場所が、そのまま最終エイドになっているのだが、帰路は冷たいそばが振る舞われる。ここまで食べ通しでいるものの、食感がよく、つるりと入ってしまう。このエイドまで来てしまえば、もうゴールまでは、あとわずか。完走は、ほぼ確実だ。ここでは地面に座るなど、リラックスして過ごしている参加者が多い。楽しかった時間も終わりが近づいている。なんとなく、名残惜しい気持ちもあって、お互いに声をかけあって交流していた。この大会は、一昨年までは最後に最大の難関が待ち受けており、この場所でもどこか浮かない表情を浮かべている参加者もいたが、いまは晴れやかだ。



最後のエイドで振る舞われた冷たいそば。添えられた名産のきのこも、つるりとおいしい!



皆でわいわいそばをすする

筆者も再出発。ここから、スタート会場への上り口まではあと数キロ。この美しい夏の風景を目に焼き付けておこう。
ほどなく、上り口に到着。ここからのラスト3kmの登坂が最後の難関「だった」。というのも、昨年から「超MAXサボってみっぺ」という制度が始まり、上りが得意でない参加者は、軽トラに自転車を積んで上がれることになったのだ。9㎞走ってきて、最後に最大の登坂が残っているのは、正直、辛い。ラストが気がかりなあまり、思いきり楽しめなかったり、この難関がネックで参加を断念したり、という層もいたはずだが、この温かい措置により、あらゆる層が参加でき、ライドを心おきなく楽しめるるようになった。初年度の昨年は、予想を上回る大人気で、軽トラがピストン輸送を繰り返し、ドライバーが休憩もできない「大繁盛」だったため、体制を強化して2年目を迎えたという。



軽トラで最後の坂をクリアする「超MAXさぼってみっぺ」は今年パワーアップ!



スイスイ坂を上るのがとても楽しいらしく、昨年は「軽トラが一番思い出に残った」という参加者も。「とびきりのアトラクション」とも言える存在に

今年は、待機用テントも用意されており、万全の体制。やってきたドライバーさんが、てきぱきと参加者を誘導し、搭載できる人員と自転車を積んで出発して行く。2年目にして、プロのサービスのようにスムースだ。筆者の目の前でも、速やかに乗り込んだ参加者が、手を振りながら優雅にゴールを目指して上って行った。軽トラ登坂も、とても楽しいらしい。もちろん、がんばって走った最後のごほうびだからこそ、なのだが。



お子さんフル搭載のトレーラーを引いて登坂するツワモノも!

筆者は、せっかくの機会であるし、坂を自力でゆったりと上ることにした。一部勾配がきつくなる部分もあり、焦らず自分のペースで上るのが大切だ。えっちらおっちら上り、終盤に差し掛かると、音楽が聞こえてきた。
来たー!
これも大会新名物の、アレだ。
どうやら、この時間帯は「それが大事」が歌われているようだ。昨年から、大会のMCがゴールで応援ソングを歌い続けるという「はげまし」が始まり、昨年は「負けないで」を5時間歌い続け、話題になった。今年は曲のバリエーションを増やし、数曲の応援ソングをMCたちが歌っているようだ。「負けないこと、投げださないこと……」の歌詞が、汗だくになってペダルを回す身に、妙に滲(し)みる。



歌うMCの棚橋さん。30km組のゴールから数時間応援ソングを歌い続けたという



先にゴールしていた「悪魔おじさん」ら、参加者も一緒に応援

先にゴールした一般参加者も多く応援に出てくれていて、「あと少し!」と、声をかけてくれる。お礼を言いながらペダルを回し、フィニッシュラインを目指した。ゴール脇ではMCと数名のゲストの方々が笑顔で歌って盛り上げてくれていて、どこかの番組のフィナーレのような高揚感! こんなに盛大に自分ごときのゴールを祝われることに、少々恐縮しながら、フィニッシュゲートをくぐった。



参加者が歌で迎え入れられながら、次々フィニッシュ

もちろん、軽トラで上がってきた参加者も、同様のもてなしでゴールを祝福してもらえる。最後の選択肢の違いのみで、ライドに参加し、コースを走ったことに変わりはない。胸を張ってフィニッシュしてよいのだ!
ゴール後は、冷たいドリンクと完走証を受け取り、ゼッケン番号による抽選の結果をチェックして、解散。とてもスマートだ。

フィニッシュの盛り上げもあり、ゴール後の参加者は、笑顔、笑顔。これほど、フィニッシュ地点が明るいライドは珍しい。コースは絶景の連続で走りやすく、エイドはあたたかく、難所のスキップも可能ながら、達成感はやっぱり満点。いろいろな意味で、濃く記憶に刻まれる1日であったろう。リピーターが多いのも納得の楽しみどころ満載の2日間だった。
「走ってみっぺ南会津!」は、来年も開催予定。開催日の発表は来年になると思われるが、予定をチェックしておいてほしい。来年は一緒にフィニッシュの感動を分かち合おう!

画像:走ってみっぺ南会津!(Naoki YASUOKA)、編集部