渡邊を中心にオーストラリアに食い下がるも、敗れた日本。それでもパリ五輪に向けた戦いは、まだまだ続く。(C)Getty Images やはり世界3位の壁は高かった。欧州勢撃破の勢いに乗っていた“アカツキ・ジャパン”も、猛攻の前に成す術…

渡邊を中心にオーストラリアに食い下がるも、敗れた日本。それでもパリ五輪に向けた戦いは、まだまだ続く。(C)Getty Images

 やはり世界3位の壁は高かった。欧州勢撃破の勢いに乗っていた“アカツキ・ジャパン”も、猛攻の前に成す術はなかった。

 8月29日に沖縄アリーナで「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の1次ラウンド第3戦が行われ、世界ランク36位の日本は、同3位のオーストラリアに89-109で敗戦。史上初の2次ラウンド進出を果たせず、順位決定戦に回った。

【動画】オーストラリア守備陣を切り裂いた! 日本に希望を残した渡邊雄太の好プレー!

 試合後のフラッシュインタビューで渡邊雄太が「力の差が出たと思います」と漏らしたように序盤戦の力の差が勝負を分けた。日本は第1クオーターこそ17-25で折り返したものの、第2クオーターでは世界屈指と言われるオーストラリアの攻撃力を前に守勢に。22点差で前半を折り返した。

 前半戦で失った流れは後半に入ってもなかなか戻ってはこなかった。第3クオーターは35-30と点差を縮めたものの、第4クオーターでは再び守勢に。さらに残り1分40秒となったところ大黒柱である渡邊が5ファウルで退場。1次ラウンド第2戦のようなフィンランド戦のような逆転劇は起こせなかった。

 結果的に順位決定戦へ回る日本。それでも、まだまだ来夏のパリ五輪に向けて負けられない戦いが続く。今大会では出場権を与えられる12チームうち、開催国のフランスを除いた米国大陸2、欧州2、アジア1、オセアニア1、アフリカ1の計7チームが決定するのだ。

 日本は、29日の日程消化時点ではアジア勢で唯一の勝利チームだ。この日はフィリピン、レバノンが揃って敗れて3連敗。2次ラウンド進出の可能性をわずかに残す中国、イラン、ヨルダンは、30日に1次ラウンド最終戦を予定しているが、中国はプエルトリコ(同20位)、イランはスペイン(同1位)、ヨルダンは米国(同2位)と強敵と当たるため、日本が1勝のアドバンテージを得て、順位決定戦に回る可能性は小さくない。

 この現状を受け、アジア勢の各国メディアも日本への警戒を強めている。未勝利ながら暫定2位のフィリピンの放送局『ABS CBN』は「オーストラリアを前に逆転の望みを絶たれた日本は1勝2敗となった」と指摘。そのうえで「フィンランド戦のような番狂わせは起こせずに予選ラウンドで敗れた日本だが、依然としてアジア勢ではトップに君臨している」と、パリ五輪に向けた優位性を強調した。

 さらにイランのニュースサイト『Saheb Khabar』は「スペインは世界ランク1位で、我々に勝ち目がないのは確実だ。しかし、イランはアジア最高のチームとしての地位を維持しなければいけない」と強調。そのうえで1勝のアドバンテージを握る日本については「フィンランドという強敵を倒した最強のチームだ」と評した。

 オーストラリアを倒せずとも、何とか1勝のアドバンテージを手にして1次ラウンドを終えた日本。31日から始まる順位決定戦の行方も大きな期待を寄せずにはいられない。

<アジア勢の暫定順位>
(1)日本(1勝2敗、得失点差-28)
(2)フィリピン(0勝3敗、得失点差-23)
(3)ヨルダン(0勝2敗、得失点差-29)
(4)イラン(0勝2敗、得失点差-43)
(5)中国(0勝2敗、得失点差-62)
(6)レバノン(0勝3敗、得失点差-100)
(※29日終了時点)

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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