デュボアとの打ち合いを制したウシク。しかし、このウクライナ人王者の勝利にはケチがついた。(C)Getty Images  ウクライナが誇る絶対王者の快勝劇が波紋を広げている。 現地8月26日にポーランドのヴロツワフで行…

 

デュボアとの打ち合いを制したウシク。しかし、このウクライナ人王者の勝利にはケチがついた。(C)Getty Images

 

 ウクライナが誇る絶対王者の快勝劇が波紋を広げている。

 現地8月26日にポーランドのヴロツワフで行われた世界ヘビー級3団体統一王座タイトルマッチ12回戦で、WBAスーパー、IBF、WBOスーパー世界統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)は、WBA正規王者ダニエル・デュボア(英国)に9回1分48秒でKO勝利。WBA王座の統一と3団体王座の2度目の防衛に成功した。

【画像】これがローブロー? ウシクがデュボアのボディーショットを被弾した瞬間

 

 昨年8月のアンソニー・ジョシュア(英国)戦以来となるリングに立ったウシク。9回にジャブ気味に繰り出した右のパンチを相手の顔面にヒットさせてのKO劇は、母国民も多く駆けつけた会場を熱狂させた。

 がしかし、ウシクの快勝に思えた試合には“ケチ”がついた。というのも、5回に物議を醸す判定が下されたからだ。

 一瞬の出来事だった。接近状態となっていたなかで、デュボアの右のボディーがウシクの下腹部に直撃。この痛烈な一撃で36歳のウクライナ人チャンプは、後ずさりをしながらリングに崩れ落ちのだが、レフェリーはデュボアのローブロー攻撃と判断。減点にはしなかったが、ウシクに回復時間を与えた。

 もちろん、このジャッジがウシクの勝利という結果を変えていたかは分からない。しかし、デュボアが先にダウンを取る形になっていれば、試合展開に影響を及ぼしていたのは確実である。

 もっとも、ウシク陣営は「何が物議を醸しているんだ?勝ったのは彼(ウシク)だ」(プロモーターのアレクサンドル・クラシュク氏談)と意に介していない。だが、デュボアの母国メディアでは怒り交じりの声が上がっている。

 英スポーツ専門ラジオ局『talk SPORT』は「デュボアのボディーへの一打は明らかに物議を醸している」として国内でジャッジを否定する意見が噴出していると指摘。「多くの人々はパンチが違反ではなく、合法だと見ている」とし、元WBAインターナショナルヘビー級王座で、会場に訪れていたデレック・チゾラのコメントを紹介した。

「ボクシングもVARを導入すべきだ。俺はそう思う。だってサッカーにも、テニスにもVARはあるんだぞ。ボクシングだけが取り入れていないのはおかしい」

 ビデオ判定システムの導入も提唱された今回の問題。英国内では、「デュボアは今すぐに王者になるべきだ」「ローブローを見せかければ逃げられると思ったのだろう。ボディーを打たれたから、わざと休んだんだ」(元世界2階級王者カール・フランプトン談)といった反発が強まっている。そうした背景もあり、試合後に「再選を求める」と豪語したデュボア陣営を後押しする声は上がり続けそうだ。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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