8月25日から9月10日にかけて開催される「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」。4年に一度の世界一決定戦を前に、…

8月25日から9月10日にかけて開催される「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」。4年に一度の世界一決定戦を前に、バスケットボールキングでは今大会で注目すべきナショナルチームをピックアップした。

文=小永吉陽子

■ 連覇目指す欧州王者には不安要素も


 現在、FIBAランキングではアメリカを抜いて1位。ワールドカップでは2006年と2019年に優勝を遂げ、名実ともにバスケットボール王国として名を馳せているスペイン。今大会はディフェンディングチャンピオンとして、11大会連続13回目のワールドカップに挑む。

 スペインは東京2020オリンピックで6位に終わったとき、長年チームを支えてきたパウとマルク・ガソル兄弟の現役引退とともに本格的な世代交代を迎えた。さらに、翌2022年のユーロバスケット(ヨーロッパ選手権)では、ワールドカップ2019でMVPを受賞したリッキー・ルビオを負傷で欠く事態に。だが、そんな困難な状況からもビリーとファンチョのエルナンゴメス兄弟の奮闘のもとヨーロッパを制し、懸念の声を払拭したのである。

 不安要素がありながら国際大会で結果を残してきた強国スペイン。今大会は同国史上初のワールドカップ連覇に挑む。

 しかし大会直前に予期せぬアクシデントが起こる。チームの顔となる司令塔のリッキー・ルビオがメンタルヘルスを理由に代表活動だけでなく、プロ選手としての活動を休止することを発表。また、2022年のユーロバスケットでオールスター5に選ばれた司令塔のロレンゾ・ブラウンも欠場することになり、スペインは経験のある2人の司令塔を欠いて戦うことになった。

 そこで手腕を振るったのは長きに渡ってスペインを指揮している名将セルジオ・スカーリオHCだ。期待の若手を招集し、チームを活性化させたのである。

■ 台頭する若手とベテランが融合


 不在となった司令塔の席には、19歳のポイントガードのファン・ヌニェスを抜擢。またパウ・ガソルの後継者として期待される22歳のサンティ・アルダマ(メンフィス・グリズリーズ)も211センチの体格を生かして台頭中。2人の若き血は、今後のスペインを背負って立つ片鱗ものぞかせている。また、サンティとともに若きNBA選手であるウスマン・ガルバ(オクラホマシティ・サンダー保有権放棄)も21歳の注目株として頭角を現してきている。

 ベテラン勢では2006年世界選手権での初優勝を知るルディ・フェルナンデスに加え、ユーロバスケット2022にはケガで不参加だった司令塔のセルヒオ・リュルが復活。2人の存在は成長中のチームに大きな安定をもたらすだろう。

 これらのメンバーを引っ張るのが大黒柱となったエルナンゴメス兄弟だ。ともに今シーズンは活動の場をNBAからヨーロッパへと移すことになったが、その威力は不変。兄のビリーはユーロバスケット2022において平均17.2得点、6.9リバウンドを記録して堂々のMVPを獲得。弟のファンチョはユーロバスケット2022決勝のフランス戦において、3ポイントを9本中7本も決める(77.8%)シュート力で優勝へと導いている。

 この夏、当然、目指すは優勝しかないが、若き血とベテラン勢を融合させた新生チームとしての戦いぶりに注目が集まるスペインだ。

【スペイン代表メンバー】

#4 アルベルト・ディアス(ウニカハ・バロンセスト)

#5 ルディ・フェルナンデス(レアル・マドリード)

#8 ダリオ・ブリスエラ(バルセロナ)

#10 ビクトル・クラベル(バレンシア・バスケット)

#12 サンティ・アルダマ(NBAメンフィス・グリズリーズ)

#14 ビリー・エルナンゴメス(バルセロナ)

#16 ウスマン・ガルバ(NBAオクラホマシティ・サンダー※)

#21 アレックス・アブリネス(バルセロナ)

#23 セルヒオ・リュル(レアル・マドリード)

#24 フアン・ヌニェス(BBLラティオファーム・ウルム)

#41 フアンチョ・エルナンゴメス(GBLパナシナイコス)

#44 ジョエル・パラ(バルセロナ)

※現地8月21日に球団がウェイブ(保有権を放棄)したと発表

【動画】W杯直前に行われたスペインvsアメリカの強化試合ハイライト