井上に徹底的に打ちのめされたフルトン。彼は敗れてから俄然、燃えている(C)Getty Images“モンスター”にリベンジを果たす――。「元絶対王者」となったスティーブン・フルトン(米国)が燃えている。 先月25日に…
井上に徹底的に打ちのめされたフルトン。彼は敗れてから俄然、燃えている(C)Getty Images
“モンスター”にリベンジを果たす――。「元絶対王者」となったスティーブン・フルトン(米国)が燃えている。
先月25日に東京・有明アリーナで行われたWBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦で、フルトンは挑戦者であった井上尚弥(大橋)に8回TKO負け。終始ペースを握られる完敗だった。
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プロキャリア22戦目にして初めて喫した敗北だ。この結果が戦前に「王者は俺だ」と語り、自信を漲らせてきたフルトンにとって、小さくないショックとなったのは想像に難くない。井上に圧倒されたリング上でのパフォーマンスを見る限り、パワー不足は否めず、自慢のディフェンス能力も発揮しきれなかった。
それでも“モンスター”との対決のために積み上げてきた全てが無駄だったわけではないはずだ。それは何よりも当人が実感しているに違いない。現地8月21日に米メディア『Boxing Scene』は、「フルトンはイノウエへのリベンジに燃えている」と銘打った記事を掲載。そのなかで、元王者となったフルトンのコメントを紹介している。
「俺はより強く、より良く、より賢くなって戻ってくる」
そう意気込むフルトンについて同メディアは、「彼は常にトップを走ってきた。対戦相手よりも体格に恵まれていようが、生まれつきの才能に恵まれていようが、そんなことはまったく関係なく、フィラデルフィア出身の男は常に勝利を手にしてきた」と強調している。
一方で同メディアは井上戦について、「フルトンは自分が仕事を成し遂げられないとは微塵も思っていなかった。がしかし、8ラウンドを終えたところでイノウエが噂以上の男であると気づかされた」と指摘。そして、次のようにエモーショナルに指摘する。
「フルトンはすぐにリングを降り、ロッカールームに直行した。元WBO・WBCスーパーバンタム級王者になった男にとって、この夜は何もかもがうまくいかなかった。言い訳はいくらでもできた。日本の時差のせい、過酷な減量のせい、フルトンがリングに上がる前にケガをしていた可能性もあった。
しかし、フルトンの口から言い訳のような言葉は出なかった。その代わりに、近くの鏡に向かって歩き、自分自身の姿をじっくりと観察した。そして、自分にこれまで以上にハードワークする必要だと認識したのだ」
世界が熱視線を向けていた一戦。そこでフルトンは初めて負けた。それでも『Boxing Scene』が指摘したように言い訳を漏らさなかったところに、彼が「難攻不落の王者」として声価を高めた理由が見えた。
目下、井上はWBA・IBF同級王者のマーロン・タパレス(フィリピン)との4団体統一戦に向けて進んでいる。それだけにフルトンが切望するリベンジが即座に叶う可能性はない。それでも「彼に対する名誉挽回の時が待ち遠しいんだ」と29歳は前を向く。
はたして、両雄が再会する時は訪れるだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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