【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆血統で振り返る札幌記念【Pick Up】プログノーシス:…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る札幌記念

【Pick Up】プログノーシス:1着

 後方から徐々にポジションを上げ、直線で楽々と突き抜けて4馬身差で楽勝しました。ディープインパクト産駒は通算4回目の札幌記念制覇です。

 母ヴェルダは繁殖牝馬として優れた能力を備えており、日本に輸入される前、イギリスの2歳GI(芝6ハロン)を勝ったヴォルダを産んでいます。プログノーシスはその半弟。ディープインパクト産駒の一流馬は、母がアメリカ血統にルーツを持つ馬が多く、とくにノーザンファーム生産馬はその傾向が強めです。一方、社台ファームは昔から欧州志向であり、ヨーロッパ血統を抱えた母から誕生した馬が目立ちます。先日死亡した菊花賞馬アスクビクターモアもそうでした。

 母ヴェルダはイギリス産馬で、母の父オブザーヴァトリー、2代母の父マークオブエスティームは、いずれもクイーンエリザベス2世S(英G1・芝8ハロン)の勝ち馬。前者はほかにイスパーン賞(仏G1・芝1850m)を、後者は英2000ギニー(G1・芝8ハロン)を制しています。こうしたヨーロッパ血統の集積が、雨上がりの札幌の洋芝(馬場発表:稍重)を苦にしない性能を形作ったといえるでしょう。

 今回の上がり3ハロンは36秒0でしたが、高速馬場であれば33秒前後の決め手を繰り出せる馬。天皇賞(秋)に無事駒を進めてほしいものです。

◆血統で振り返る北九州記念

【Pick Up】ママコチャ:2着

 1番人気が鬼門のレースですが、今年もママコチャが2着と勝てませんでした。ただ、馬にとっては今後に向けて視界が広がった一戦といえるのではないでしょうか。

 ソダシ(桜花賞、阪神JF、ヴィクトリアマイルなど重賞6勝)の全妹にあたる良血で、今回は初めての1200m戦。なおかつ、55.5kgのハンデは見込まれました。それを跳ね返しての2着ですから価値があります。

 近親にメイケイエール(重賞6勝)、ハヤヤッコ(函館記念)、ユキチャン(ダート重賞3勝)などがいる良血で、前走の安土城S(L)は芝1400m1分19秒0のJRAレコードタイの好時計で勝ちました。全姉ソダシは1600〜2000mの範囲で重賞を勝っていますが、ママコチャは本質的に短距離型なのでしょう、1200mの重賞でいきなり連対を果たしました。もともとクロフネ牝馬は、カレンチャン、スリープレスナイトなど、スプリント路線で大物が目立ちます。

 優れた血統背景と、層が薄めの現在のスプリント路線を考えると、重賞を勝つのは時間の問題ではないでしょうか。