世界のサッカーは、常に回り続けている。若き日本代表が立ち上げられ、2025年のU-20ワールドカップに向けて歩み始めた…

 世界のサッカーは、常に回り続けている。若き日本代表が立ち上げられ、2025年のU-20ワールドカップに向けて歩み始めた。ライバルたちとのゲームから見えてきた現在地を、サッカージャーナリスト・後藤健生がつづる。

■韓国の狂喜乱舞の理由

 2025年開催に開催されるU-20ワールドカップ出場を目指すチーム(U-18日本代表)の立ち上げとなる「SBSカップ国際ユースサッカー」が、8月17日から20日にかけて静岡県内3都市で開催された。

 大会初日、静岡市の草薙陸上競技場でU-18韓国代表と対戦した日本は、前半の立ち上がりこそパスワークで韓国を圧倒したものの、韓国のフィジカルを生かした守備とスピードある突破に苦戦を強いられ、0対1で初戦を落としてしまった。

 韓国は、日本に勝って狂喜乱舞だった。なぜなら、日本代表チームはこのところ各カテゴリーを通じて韓国代表に一度も敗れていなかったからである。

 2021年3月に札幌で行われたフル代表同士の親善試合で日本は韓国に3対0で勝利。その後も、たとえば国内組だけで行われたE-1選手権や各年代別代表の対戦で日本が連勝を続け、しかも、ほとんどが同じ「3対0」というスコアだった。

 最近では、7月にあったU-17アジアカップ決勝でも日本が韓国を3対0のスコアで勝利して大会連覇を決めている。

 若いサッカー・ファンの方はご存じないかもしれないが、かつて、日本は韓国にどうしても勝てない「苦難の時期」があった。

 1959年のローマオリンピック予選で韓国に勝利してから、1974年の日韓定期戦で勝利するまで、日本は15年間も韓国に1勝もできなかったのである(1967年のアジアカップ予選で日本B代表が韓国A代表に勝利したことはあったが)。

■本気度の高い韓国

 1993年のJリーグの発足とハンス・オフト監督就任以来、日本のサッカーは急速に強化されてきたが、それでも韓国に連勝することはなかなか難しいことだった。

 そんな歴史を考えれば、日本にとっては“夢のような”時代なのだが、韓国側からしたらたまったものではない。韓国にとって、サッカーというのは第2次世界大戦前の日本の植民地統治時代から「日本人に勝てるスポーツ」としての自負があったのだから……。

 それだけに、8月17日にU-18日本代表と対戦した韓国チームの“本気度”はかなり高かった。

 両国の代表は立ち上げられたばかりのチームであり、現段階では一つひとつの試合の勝敗はさして重要ではないのだが、韓国は現段階での最強メンバーを組んで来日して本気で勝負を挑んできた。

 それでも、序盤戦は日本がゲームを支配した。

 選手が細かく動き直しをしてポジションを変えることによって常に複数のパスコースを作り、ワンタッチ、ツータッチのパスを回す。また、裏に走る選手がいれば、ロングボールも織り交ぜて、日本はバリエーション豊かに攻撃を組み立てた。

 一方、韓国も後方からビルドアップを試みるのだが、パスコースの作り方が単調すぎるので日本の守備陣に簡単にカットされてしまう。

■一転した試合の流れ

 こうして、序盤戦は「またも3対0?」と思わせるような展開だったが、それは長くは続かなかった。

 12分に韓国は右サイドから左に大きく展開。そして、左サイドハーフ、ペク・ミンギュが大きく右に折り返したボールを、サイドハーフのイ・ゴニがスピードあるドリブルで突破。強いクロスが日本のDFに当たって、日本のゴールポストを直撃した。

 この韓国のビッグチャンスをきっかけに試合の流れが大きく変わった。16分にもFKからつないだ韓国が、左右に大きく振ったダイナミックな攻撃でCKを獲得する。

 序盤戦でわかったように韓国のパス回しはやや単調だったので、しっかりと狙いどころを定めて守ればボールを奪えるはずなのだが、日本チームは守備の狙いがはっきりしていなかった。それが、苦戦を招いてしまった最大の原因だった。

 一方、韓国側は序盤戦を通じて「パスをつないで日本の守備を崩すのは難しい」ということを理解したのだろう。

 12分と16分にチャンスを作った後は、開き直ったように徹底してロングボールとサイドチェンジを使ってきた。スピードと高さ、そして強いクロスを武器に日本に闘いを挑んできたのだ。

■苦戦必至のフィジカル勝負

 最近の韓国は日本相手にもパス・サッカーで対抗しようとすることが多い。それによって、攻守ともに組織力と技術を生かした日本のストロングポイントが引き出され、結果として日本の勝利に終わることが多かったのだ。

 しかし、日本にとって最も怖いのはやはりフィジカル勝負に持ち込まれることだ。

 最近の若い世代では日本の選手もフィジカル・コンタクトで韓国にも負けなくなったのは事実だが、韓国人選手の爆発的なパワーやスピードは日本の選手を上回ることが多い。

 草薙で日本に対して久しぶりに勝利したU-18韓国代表の戦いぶりからはそんな構図が見て取れた。韓国は、今後日本と対戦するときにはそうした日本の弱点を突いて戦ってくることだろう。

 その韓国を相手に戦う場合、「どのように対処したらいいのか」お手本を見せてくれたのが、2日目の8月18日に沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場で韓国と対戦したU-20関東大学選抜だった。

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