8月20日(日)、札幌競馬場で3歳以上馬によるGⅡ札幌記念(芝2000m)が行なわれる。 このレースは夏競馬唯一のGⅡ…

 8月20日(日)、札幌競馬場で3歳以上馬によるGⅡ札幌記念(芝2000m)が行なわれる。

 このレースは夏競馬唯一のGⅡ競走。毎年豪華メンバーが集まるが、今年もジャックドール(GⅠ大阪杯)、シャフリヤール(GⅠ日本ダービー)、ウインマリリン(GⅠ香港ヴァーズ)と3頭のGⅠ馬が出走する。

 今回も血統的視点から分析していきたい。2013年以降の札幌・芝2000mの種牡馬別成績を見ると、勝利数1位がディープインパクトの22勝。以下、ハービンジャーが14勝、ステイゴールド、キングカメハメハ、ハーツクライが11勝で続く。その次にランクインしているのが9勝、2着5回のオルフェーヴルで、全47戦で勝率は19.1%、連対率29.8%と、1位のディープインパクト(11.5%、24.1%)を優に上回る数字を残している。



昨年のチャレンジCを制したソーヴァリアント

 今回、オルフェーヴル産駒ではソーヴァリアント(牡5歳、美浦・大竹正博厩舎)が出走予定。同馬は一昨年と昨年のGⅢチャレンジC(阪神・芝2000m)を勝利。一昨年のレースは3馬身半差の圧勝で、GⅠ級の実力馬とも見られている存在だ。

 昨年のGⅡオールカマーは13着、前走のGⅢ鳴尾記念は12着など大敗することもあるが、脚部不安や心房細動などアクシデントも多く、運にも見放されたところがあった。力を出しきれば、このメンバーでも勝ち負けできるはずだ。

 ソーヴァリアントは札幌・芝2000mの成績が2戦2勝。その内容も秀逸で、一昨年の利尻特別(1勝クラス)では2着に6馬身差、藻岩山特別(2勝クラス)では3馬身半差と、圧倒的な内容で勝利している。

 特に利尻特別で記録した上がり3F33秒0という数字は、札幌・芝2000mの勝ち馬の中で史上最速だ。33秒台を計時したのは他に2頭いるだけで、2003年に札幌記念を制したサクラプレジデントによる33秒7と、2006年に札幌記念を制したアドマイヤムーンによる33秒5。ソーヴァリアントも上がり3F33秒0を出している時点で、このレースを勝つ力があると言っていいだろう。

 血統を見てみよう。姉マジックキャッスルはGⅢ愛知杯の勝ち馬で、GⅠ秋華賞2着、GⅠヴィクトリアマイル3着とGⅠでも好走。母ソーマジックもGⅠ桜花賞3着という実力馬だ。母の父シンボリクリスエスの血を持つ馬も札幌・芝2000mは好成績を残しており、昨年はサクラトゥジュール(父ネオユニヴァース、母の父シンボリクリスエス)が、同コースで行なわれた3勝クラスのワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)第2戦を勝利している。ソーヴァリアントは父、母の父ともに、このコースはピッタリの血統馬と言えるだけに期待したい。

 もう1頭はラーグルフ(牡4歳、美浦・宗像義忠厩舎)を推す。父モーリスは昨年の勝ち馬ジャックドールと同じで、母の父ファルブラヴは2014年の勝ち馬ハープスターの母の父。ちょっと遠い関係ではあるが、先週のGⅢ関屋記念を勝ったアヴェラーレ(父ドゥラメンテ)と同牝系で、この牝系は地方交流GⅠ帝王賞を連覇中のメイショウハリオなども出ている勢いのあるファミリーだ。

 ラーグルフは今年のGⅢ中山金杯(中山・芝2000m)で重賞初制覇。前走のGⅠ大阪杯では11着に敗れたが、初の関西遠征で、マイナス10kgの馬体重だったように、体調が十分ではなかったのだろう。4歳にして重賞初制覇を飾り、大阪杯で敗れた次走に札幌記念に出走する臨戦過程は、ジャックドールを彷彿とさせる。

 モーリス産駒は昨年のGⅠエリザベス女王杯を勝ったジェラルディーナなど、4歳夏以降に力をつける馬も多い。この馬にもその成長力を期待したい。

 以上、今年の札幌記念はオルフェーヴル産駒ソーヴァリアント、モーリス産駒ラーグルフの2頭に注目だ。