8月12日放送の「卓球ジャパン!」は、6月に開催されたWTTコンテンダー チュニスの女子シングルスで優勝した張本美和がスペシャルゲストとして登場。自身のプレーをDEEPに解説した。
張本はまだ15歳の中学生ながら世界ランクは日本選手中4番目の17位、パリ五輪代表選考でも5位と急成長中。
昨年8月のWTTコンテンダー チュニスでも、兄・智和と組んだ混合ダブルスで優勝しているが、番組開始早々、もう一人のスペシャルゲストである2020東京五輪混合ダブルス金メダルの水谷隼が、そのときの試合ぶりについて素朴な疑問をぶつけた。
「お兄ちゃんがね、すごいチョレイ、チョレイって顔見てるのに全然、美和ちゃんが見向きもしないのよ。あれは何でなの?」(水谷)
「まあ・・ご自分でどうぞっていう感じで」(張本)
なんともそっけないが、実はこの兄妹の仲の良さは折り紙付き。昨年、2人で番組にゲスト出演した際には微笑ましい兄妹愛が大きな反響を呼んだ。だからこその"そっけない対応"なのだ。
そうした兄の影響もあってか、現在張本は急成長を見せているが、その理由を問われると「特にないんですけど、やっぱり日々の積み重ねが成績につながっているというのが一番で、あとは支えてくださっている方々のおかげです」と冷静かつ大人びたコメント。
昨年の出演のときからの変化にMCの2人も驚きを隠せない。
「コメントも爆発的に成長してるやんー」(MC武井壮)
「中学生とは思えない」(MC平野早矢香)
張本が今回の女子シングルスでもっとも苦しかったと語るのが準決勝の長崎美柚との一戦。
長崎とはTリーグで同じ「木下アビエル神奈川」に所属し、日頃から練習をする間柄だが、同時にパリ五輪選考レースのライバルでもある。団体競技でもあり個人競技でもある卓球のツライところだ。
試合は長崎が先に2ゲームを連取し、第3ゲームも出足でリード。張本には苦しい展開となった。
「3ゲーム目タイムアウトを取るまでは"もう無理だな"って思ってました」(張本)
そのタイムアウトで張本が考えたのは「負けるにしても攻めて負けよう」ということだった。そう開き直ってから徐々にポイントが取れるようになったという。
平野が注目したのは、張本が見せた打点を遅らせてのストップ。通常、ストップは早いタイミングで打つが、張本はあえて打点を遅くすることで長崎の判断を狂わせて、攻撃につなげた。実はこれは兄・智和も使う高等テクニックだ。
「相手からすると長いボールが来るように待つんですけどそこで短めって難しくないですか」(平野)
「ちょっと引いて回転を殺してストップしてるんですよ。この技術はタッチがないとできない」(水谷)
日々の積み重ねの結果とはいえ、15歳がここまでの技術を身につけていることに驚かされる。
水谷が感心したのが、張本が勝負所で連続して長崎のミドルを攻めた場面。
「めちゃくちゃ賢い」と水谷。ミドルは、フォアで打つかバックで打つか迷うコースではあるが、相手がいるところに打つので、打つ側からすると怖いという。
「バックはもう壁なので打てなくて、フォア側は待ってるかなと思ったのでミドルにしました」(張本)
長崎の固い両サイドと、後がない状況が張本に思い切った選択をさせたのだろう。
こうしてフルゲーム13-11というまさに僅差で張本は長崎を下した。
決勝の相手は韓国の18歳のエース、シン・ユビン。
張本は3ゲームを連取したが、そこから2ゲームを取られてしまう。しかし張本は落ち着いていた。
「3-3になることを想定してちょっと探っている気持ちもありながらやっていました」(張本)
どこまでも冷静な張本は、見事4-2でシン・ユビンを破って優勝を果たした。
自身のプレーを見直した張本は「よく耐えたなっていうのが一番ですが、打った後の戻りがすごい遅くて、もっと早くしないといけないなって思いました」とコメント。
「番組収録中にまた改善しようとしてます」と武井も感心するばかり。
パリ五輪代表選考レースはまだまだわからない!
「卓球ジャパン!」BSテレ東で毎週土曜夜10時30分放送