イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3〜16日)の女子シングルス。 37歳になっても、5度のウィンブルドン優勝経験を持っていても、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)は変わらず、勝ちたいという圧倒的な意欲を持っている。…

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3〜16日)の女子シングルス。

 37歳になっても、5度のウィンブルドン優勝経験を持っていても、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)は変わらず、勝ちたいという圧倒的な意欲を持っている。

 そして彼女はそれを今年ふたたび、オールイングランド・クラブ(ウィンブルドン)で示して見せた。第10シードのビーナスは9度目のウィンブルドン決勝で優勝を目指し、第14シードのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)と対戦する。

「私は間違いなく今、いたいと望んでいる場所にいる」とビーナス。「これは長い2週間。今、タイトルに続くドアをノックしている。これが私のいたい場所なのよ」。

 2000年にこのグラスコートの上で最初のグランドスラム・タイトルを獲得したビーナスは、ウィンブルドンでかなり見事な歴史を誇っている。彼女が獲得した7つのグランドスラム・タイトルの最後のものも2008年に同じ場所でもたらされた。

 その少しあと、2011年にビーナスは、疲労と関節痛を引き起こすシェ―グレン症候群と診断されたことを明かした。彼女はいくつかの大きな大会への出場を断念し、グランドスラム大会でも何度か早期敗退することになった。

 しかし彼女は奮起し、ここ12ヵ月にはベストのテニスと呼べるプレーを見せている。彼女は昨年ウィンブルドンで準決勝に進出し、今年の全豪オープンでは決勝に進んでいた。

 土曜日にビーナスは、出場20回目となるウィンブルドンで9度目の優勝杯をかけてプレーすることになる。

「まだ、やらなければならないことがたくさんにある。私には、自分が勝者になりたいと願っているもう一試合がある」とビーナス。「私はコートに出ていっていいプレーをし、それを勝ち獲らなければならない」。

 その試合でネットの反対側に立つ人物もまた、最終日にセンターコートでプレーした経験を持っている。23歳のムグルッサはそこで、2015年のタイトルをかけて戦い、ビーナスの妹セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に敗れた。

 セレナは現在妊娠中で、シーズンの残り期間を休みにあてているため、今年のウィンブルドンには出場していない。しかしビーナスは土曜日の試合に向けて、妹にいくつかのアドバイスを求めるはずだ。

「セレナは、ムグルッサと決勝で対戦したことがある」とビーナス。「間違いなくセレナに尋ねるわ。彼女はきっと私に、試合で違いを生み出す何かのヒントを与えてくれるのではないかと思う」。

 しかしながら、ムグルッサは2016年全仏オープン決勝でセレナを倒してもいる。そしてムグルッサは、そうなじみのない相手であるにも関わらず、同じような雰囲気になるだろうと予想してもいた。

「違ったものになるとは思わない。決勝は決勝よ」とムグルッサ。「たったひとりだけが、勝利をつかむことになる。ものを言うのはラケットよ」。

 コート上での自分の経験を別にしても、ムグルッサはまた、自分の背後に経験のある支持者を持つ。彼女はここ最近、1994年ウィンブルドン・チャンピオンのコンチタ・マルチネス(スペイン)とともに働いているのだ。

「彼女は、私が大会のストレスに対処することを助けてくれていると思う。グランドスラム大会は長いトーナメントだから。彼女は、どうやって準備をすればいいか、どんなふうに練習し、何をすべきかを知っているのよ」とムグルッサは言った。

「正直言って、私が何かいつもと違ったことをやっているというわけじゃない。でも、彼女(マルチネス)はかつてここで優勝を遂げた人だから、彼女が横についていることが、私にちょっぴり自信を与えてくれているの」

 ビーナスとムグルッサは、以前4度対戦したことがあり、そのうち3度ビーナスが勝っている。しかし、ふたりは一度もグラスコートで対戦したことはない。

「ふたりが以前対戦し、彼女(ビーナス)を倒したことがあるというのはいいことだわ」とマルチネスは言った。「彼女(ムグルッサ)はただテニスをプレーしなければならないだけなのよ。誰が勝つ候補だとか、誰が有利でないとかを心配する必要はない。彼女はただ次のポイントのこと、それだけを考える必要があるの」。

 マルチネスがウィンブルドンで、唯一のグランドスラム・タイトルを獲得したとき、彼女は決勝で37歳のマルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)を倒した。ビーナスは、そのときのナブラチロワに次いで年齢の高いウィンブルドン決勝進出者だ。

 しかしながら年齢は、ビーナスにとってアドバンテージであるようだ。

「いいプレーをし、強くある機会を得て、経験を持つ、というのは素晴らしいことだと思う」とビーナスは言った。「経験は私にとって有利にも、不利にも働きかねないものだと思うわ。私はそれが私にとってよい形で機能すると思いたい」。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「ウィンブルドン」決勝でガルビネ・ムグルッサ(スペイン)と戦うビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)(写真◎Getty Images)

Photo: LONDON, ENGLAND - JULY 13: Venus Williams of The United States serves during the Ladies Singles semi final match against Johanna Konta of Great Britain on day ten of the Wimbledon Lawn Tennis Championships at the All England Lawn Tennis and Croquet Club at Wimbledon on July 13, 2017 in London, England. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)