フルトン(右)を全くと言っていいほどに寄せ付けなかった井上(左)。その貫録あるパフォーマンスには、世界が熱狂した。(C)Getty Images 衝撃的な波状攻撃であった。7月25日に東京・有明アリーナで行われたタイトルマッチで、WBC&W…

 

フルトン(右)を全くと言っていいほどに寄せ付けなかった井上(左)。その貫録あるパフォーマンスには、世界が熱狂した。(C)Getty Images

 

 衝撃的な波状攻撃であった。7月25日に東京・有明アリーナで行われたタイトルマッチで、WBC&WBO世界スーパーバンタム級2団体統一王者のスティーブン・フルトン(米国)を撃破した井上尚弥(大橋)のそれだ。

 日本が、いや世界が熱狂したのは試合終盤の8回だ。井上は相手のガードが下がった瞬間に右ストレートを炸裂。これで相手を後退させると、すかさず追撃の左フックでダウンを奪ったのだ。

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 再開後に、弱ったフルトンをここぞとばかりに攻め立て、レフェリーストップをかけさせた井上。一気呵成に打ち抜く様は、まさに獲物を仕留める“モンスター”(井上の愛称)のようであった。

 約9年に渡ってスーパーバンタム級で無敗を誇ってきた王者を破った井上。その圧倒的な強さには、“本場”の名物トレーナーも舌を巻く。現地8月5日に米専門サイト『Boxing Scene』に登場した「ブレットマン」ことスティーブン・エドワーズ氏はフルトン撃破の要因が「ジャブだろう」と分析した。

 ジャブが効果的に作用したのは明らかだった。ダウンを取ったシーンにおいても、フルトンのガードが下がったのは、序盤から幾度となく繰り出していたボディージャブによる影響が大きかったと考えられる。

 ゆえにエドワーズ氏は「イノウエがフルトンにジャブで打ち勝っていて、私は心底驚かされた」と振り返っている。

「彼のジャブはとても破壊的だった。フルトンのリズムを崩しただけでなく、立ち位置すらも維持させなかった。フルトンが足場を固め、自分の仕事を始めようとするたびに、イノウエはジャブを頭部とボディーに打ち、相手に立ち位置を探させ続けることを強いていたんだ」

 フルトンのゲームプランを崩した井上のジャブを褒めちぎるエドワーズ氏は「ジャブを確立させることはシンプルだが、実際にやるのは簡単ではない」と指摘。さらに持論とともに、日本の天才ファイターへの賞賛を続けた。

「イノウエは自分よりも背が高く、リーチも長い相手に素晴らしいゲームプランを持っていた。もしも、再戦があるとすれば、内容はシンプルだ。フルトンはジャブで打ち負けてはいけない。私であれば、初めにイノウエにあのジャブを打たせないことに取り組むだろう」

 激闘から1週間が過ぎた。しかし、依然として井上への世界的な評価は高まり続けている。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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