2023年シーズンWRC第9戦ラリーフィンランド(グラベル)は、8月4日(金)に2日目の9SSを走行し、トヨタのエルフィン・エバンスが首位に立った。6.9秒差の2番手にヒョンデのティエリー・ヌービル、16.4秒差の3番手に3台目のトヨタGR…

2023年シーズンWRC第9戦ラリーフィンランド(グラベル)は、8月4日(金)に2日目の9SSを走行し、トヨタのエルフィン・エバンスが首位に立った。6.9秒差の2番手にヒョンデのティエリー・ヌービル、16.4秒差の3番手に3台目のトヨタGRヤリス・ラリー1をドライブする勝田貴元がつけている。

木曜日にユバスキラで行われたSS1に続き、金曜日からは本格的な林道ステージを走行。この日はユバスキラ北東部の4ステージを中間サービスを挟んでループし、最後に木曜日も走った「Harju(4.48km)」で締めくくる9SS、104.76km。この日最長の15.51kmを走る「Myhinpaa(SS4/SS8)」は2015年以来の復活となる。

オープニングのSS2は、夜半に降った雨によりコンディションは若干のウエットを含んでいる。ベストタイムは、フィンランドを拠点とする勝田。チームメイトのエバンスに0.5秒差、カッレ・ロバンペラに1.3秒差をつけてみせた。「クルマがすごく良いですし、ドライブを楽しめています。チームがとても良い仕事をしてくれました」と、勝田は笑顔を見せた。

この結果、SS6番手タイムのオィット・タナック(Mスポーツ・フォード)をかわして、ロバンペラが首位に浮上。エバンスがタナックと同タイムとなる、0.4秒差の総合2番手。総合4番手にヒョンデのヌービルを挟み、勝田が1.1秒差の総合5番手に順位を上げた。

SS3、総合2番手を走行していたタナックが、スタートから6.1km地点でエンジントラブルによりストップ。タナックは再出走を行わず、このラリーのリタイアを決めている。首位のロバンペラは、エバンスに1.8秒差をつけるベストタイム。タナックの脱落を受けて、ヌービルが総合3番手、勝田をかわしたエサペッカ・ラッピ(ヒョンデ)が総合4番手と、それぞれポジションを上げた。



後方では、総合8番手のピエール-ルイ・ルーべ(Mスポーツ・フォード)がスタートから1.7km地点で、コースオフを喫して左リヤを破損。Mスポーツ・フォード勢は早くも全滅となってしまった。ルーベは自身のSNSで明日再出走するとしている。

SS4とSS5もロバンペラが制し、午前中に行われた全SSでベストタイムをマーク。ただ、総合2番手につけるエバンスも、すべてのステージでセカンドベストを記録しており、ふたりの差は3.9秒と僅差のままだ。SS5では総合4番手を走行していたラッピが3.5km地点でコースオフ。立木にヒットし、彼もまたラリー続行を諦めている。

首位から12.3秒差の総合3番手にヌービル、16.0秒差の総合4番手に勝田、22.7秒差の総合5番手にヒョンデのテーム・スニネンが続く。今回、自身初となるラリー1での参戦を果たしたTGR-WRT代表のヤリ-マティ・ラトバラは「ラリーフィンランドをエンジョイしているよ」と語りながら、47.6秒差の総合6番手で午前中のステージを走り切った。

ユバスキラでのサービスを挟んだ午後のセクション、予報どおり雨が降り出すなか、SS6とSS7はロバンペラが連続ベスト。エバンスとの差を5.7秒と、わずかだが拡大していく。SS6で2番手タイムを記録した勝田は、総合3番手のヌービルに同タイムで並ぶことに。さらに勝田はSS7でもヌービルのタイムを上まわり、0.6秒差をつけて単独での総合3番手に立っている。



SS8、このまま順調に2番手以下との差を広げるかと思われたロバンペラに、予想外のアクシデントが待っていた。ロバンペラはスタートから11.1km地点の右コーナーで大きくスライドし、転倒。トヨタGRヤリス・ラリー1はダメージが大きく、彼もまたリタイアとなった。この結果、首位にエバンスが浮上。このステージでベストタイムのヌービルが、勝田に2.4秒差をつけて総合2番手に順位を上げている。

SS9は、ヌービルがエバンスと勝田に1.2秒差をつけるベストタイム。首位エバンスとの差を9.7秒に縮め、総合2番手を争う勝田との差を3.6秒に広げた。前日も走行したユバスキラ市街地を舞台とするSS10「Harju」は、ヌービルがハーフスピンを喫したエバンスに2.8秒差をつけるベストタイム。総合2番手のヌービルが、首位エバンスとの差を6.9秒に縮めてみせた。16.4秒差の総合3番手に勝田、28.8秒差の総合4番手にスニネン。1分23秒7差の総合5番手にはラトバラがつけている。



不安定なコンディションから、例年にないサバイバル戦となったフィンランド、ベストタイムこそなかったものの首位で走り切ったエバンスは「大きなミスもなく、午前中はクリーンなスタートを切ることができた。午後はコンディションの変化で、何人かのドライバーが戦列を去ることになったね。明日はかなり長い距離を走るけど、楽しみにしているよ」と、1日を振り返っている。

競技3日目はSS11〜SS18の8SS、SS走行距離は160.68km。オープニングのSS11は、日本時間8月5日の14時05分にスタートする。

WRCフィンランド SS10後暫定結果
1. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 51:34.4
2. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +6.9
3. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +16.4
4. T.スニネン(ヒョンデi20Nラリー1) +28.8
5. J-M.ラトバラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:23.7
6. J.フッツネン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +3:14.1
7. S.パヤリ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +3:27.0
8. N.グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +3:27.3
9. O.ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +3:28.8
10. A.フルモー(フォード・フィエスタ・ラリー2) +3:36.4