アフマダリエフを打ち破り、声価を高めたタパレス(右)。そんなフィリピン人戦士の前に立ちはだかるのは、世界屈指の猛者・井上(左)だ。(C)Getty Images 「今年中にこのベルトをかけて戦いましょう!」 7月25日…

 

アフマダリエフを打ち破り、声価を高めたタパレス(右)。そんなフィリピン人戦士の前に立ちはだかるのは、世界屈指の猛者・井上(左)だ。(C)Getty Images

 

「今年中にこのベルトをかけて戦いましょう!」

 7月25日に行われたスティーブン・フルトン(米国)とのボクシングの世界スーパーバンタム級2団体統一戦を制し、日本人史上2人目の4階級制覇をやってのけた井上尚弥(大橋)は、興奮冷めやらぬリングに上がったWBA&IBF世界同級王者のマーロン・タパレス(フィリピン)を目の前にそう言ってのけた。

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 井上が自信を漲らせたのも無理はない。直前まで行われたフルトンとの戦いは「圧勝」と言っても過言ではない内容だった。勝負は8回にレフェリーストップによって決したが、それ以外の場面でも日本の怪物は王者を圧倒。各国メディアやファンの間でも大きな話題となる見事な戴冠劇だった。

 絶対王者フルトンを、その座から引きずり落した井上。彼の図抜けた強さは、年内の対決が決定的と見られているタパレスの母国でも恐れられている。フィリピンの大手放送局『ABS-CBN』は「もしもタパレスが勝つようなら、それは今年のボクシング界で最大の番狂わせとなる」と指摘。新たにチャンプとなった日本人ファイターの優位性を強調した。

 タパレスは今年4月にムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)を判定の末に撃破。見事なアップセットを演じて2団体統一王者となった。ゆえに決して侮るべき相手ではないが、同局のアナリストを務め、フィリピンのボクシング業界に精通しているエド・トレンティーノ氏は「イノウエは本当に強い。タパレスにとって最大の相手なのは間違いない」と論じている。

 もっとも、トレンティーノ氏は「チャンスはあるかもしれない」とタパレスの勝ち筋も語っている。

「タパレスの最後の試合を思い出してほしい。彼は最後の2ラウンドでピンチに陥ったが、それでも耐え抜いた。それがイノウエに通用するかどうか。もしも、チャンスがあるとすれば、それはイノウエが彼を過小評価することだ。『これは単なる不戦勝ぐらいの戦いだ』と感じてくれていればね」

 あくまで井上が優位であると見通したトレンティーノ氏。だが、「タパレスは自分がアンダードッグであることは分かっているし、それを楽しんでいる。今年最大の番狂わせを起こすことは彼にとってエネルギーになるはずだ」と断言。母国戦士に期待を込めた。

 年内に実現が有力視されている井上とタパレスの一戦はいかなる展開となるか。両雄の仕上がりに注目は高まっていきそうだ。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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