高知県高知市に、春野総合運動公園陸上競技場という競技場がある。高知市中心部から車で30分ほどの山中にあるが、ここに72…
高知県高知市に、春野総合運動公園陸上競技場という競技場がある。高知市中心部から車で30分ほどの山中にあるが、ここに7243人もの観客が駆け付けて天皇杯ラウンド16が行われた。
通常時で駐車場は1000台以上用意されているが、そこからあふれるほどに観客が訪れた。8月2日、JFLの高知ユナイテッドSCが自身の本拠スタジアムを舞台にJ1川崎フロンターレと対戦したのである。カテゴリーは離れているが、だからこそジャイアントキリングを起こそうと応援に来る人、そして、Jリーグの強豪クラブである川崎を一目見たいという人であふれた。駐車場に入れなかったと思われる人の違法駐車を伝える案内も流れたほどだった。
会場には、多くのスタジアムグルメを売り出す屋台が出店し、焼き鳥、焼きそば、カレーライスなど、多くのメニューが選べるように。平日開催とは思えないほど、お祭りムードに包まれていた。
その試合で、得点場面以外で最も大きなよめきが起きたのは入場者数の発表時である。液晶モニターに「7243人」と映し出されると、そのモニターを撮影する人が続出していた。
大会関係者によると、川崎のサポーターは600人前後。そのため、6000人以上が地元の人によるものだったことになる。
試合後、吉本岳史監督は「7000人の中でやったことがない選手がほとんどなので、非常に選手の背中を、0-0の時間を長く続けるための歓声だったと思います。7000人を超える方々に来ていただいて、本当に感謝しています」と、自チームの健闘につながった観客に賛辞を惜しまなかった。
■吉本監督「大きな希望」
現在、高知県にはJリーグチームはない。それを打破しようとしているのがこの高知ユナイテッドSCで、J3を目指してJFLを戦っている。この試合が、今季、J1を招いての天皇杯の2試合目。3回戦では横浜FCを迎え撃っていた。
試合後、吉本監督に7000人の観客が来たことで高知県にもたらしたもの、高知市にもたらしたもの、Jリーグのチームがない県にもたらしたものを聞くと、以下のような答えが返ってきた。
「J1と3試合、しかも横浜FCとフロンターレは地元で開催できたのは大きな希望ですし、7000人の方々が来られるようなスタジアムなんだなと。そこに関しては希望があります。
だからこそ、高知県のスポーツを変えていきたいというのが、我々のチームのモットーでもありますし、街を元気にしていきたいという部分に関しては、こういう感動を与えられた機会を自分たちで選手がメインとなって作りあげた希望があると思います。
その希望をどれだけ長く持続させられるか、そういう方々に応援してもらえるような機会を作った自分たちに対して、スポンサーもそうですし、観客もそうですし、いろんな方々に協力してもらって早くJ3を目指したい」
また、高知の10番をつける横竹翔にも大観衆について聞くと、「本当にたくさんの方々の前で試合をする機会がないので、本当に貴重な体験ができましたし、これだけたくさんの方に興味を持ってもらえたので、次につなげられるようにと感じています」と、神妙な面持ちを見せていた。
高知がガンバ大阪、そして横浜FCからの勝利によって獲得した、J1川崎の来県とその効果。両チームの対戦は、天皇杯の意義の一つを実践するものだった。