フルトンを圧倒して撃破した井上(左)。そんな日本の偉才に対する評価は、英雄パッキャオ(右)よりも上回っている。(C)Getty Images 現地7月29日、ボクシング界が沸いた。米・ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催されたウ…

フルトンを圧倒して撃破した井上(左)。そんな日本の偉才に対する評価は、英雄パッキャオ(右)よりも上回っている。(C)Getty Images

 現地7月29日、ボクシング界が沸いた。米・ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催されたウエルター級の4団体王座統一戦で、WBOスーパー王者のテレンス・クロフォード(米国)が3団体統一王者エロール・スペンスJr.(米国)を9回TKOで撃破。史上初となる2階級での4団体統一をやってのけたからだ。

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 3度のダウンをもぎ取っての完勝で、キャリア40戦無敗(31KO)としたクロフォード。この勝利によって、階級を通じて誰が最も優秀なボクサーであるかを指すパウンド・フォー・パウンド(PFP)の議論は白熱。4日前にスティーブン・フルトン(米国)を8回TKOで下した井上尚弥(大橋)を上回る勢いで、1位に推す声が高まった。

 もっとも、日本のモンスターへの評価が下がったわけではない。難攻不落とされた王者フルトンを文字通りのパワーで圧倒してみせた井上もまた凄まじく、クロフォードと同様に世界中で声価を高め続けている。

 英衛星放送『Sky Sports』の取材に応じた米興行大手『Top Rank』のトッド・ドュボーフ氏は「私は1993年からこの業界にいるが、イノウエのスピード、両手のパワー、そしてボクシングIQを見ると言葉を失うよ。ただただ、心をつかまれるんだ」と絶賛。さらに「彼はアジアで生まれた誰よりもエキサイティングなファイターだ。彼はマニー・パッキャオ以来、最もエキサイティングな存在なんだ」と熱弁した。

 かつて6階級制覇の偉業もやってのけたマニー・パッキャオ(フィリピン)。言わずと知れたボクシングの英雄を知る元ファイターからは、井上が「上だ」という比較論も論じられている。

 2010年代にパッキャオと3度の対戦経験があり、1度だけ勝利(判定)している元WBC世界スーパーライト級王者ティモシー・ブラッドリー氏は、英紙『Dail Mail』において、次のように語っている。

「イノウエのスピードとパワーは、俺が初めてパッキャオと戦ったとき以来の衝撃があった。ただ、イノウエはパッキャオよりもテクニカルで、より正確。そう、より正確なんだ。あいつは適切なタイミングで、適切な量のパンチを放つ。あの技術は並外れたものがあるよ」

 百戦錬磨の戦士をもってしても「並外れている」と評される井上。PFPにおいてはクロフォードを下回るかもしれないが、彼の強さを否定する者はまずいないはずだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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