食後にぽっこりと飛び出たお腹を見て、「私って胃下垂かも」と思ったことはありませんか? しかし、自覚症状だけでは確信が持てませんよね。そこで、医師監修の元、胃下垂の確かめ方を解説! チェックシートを確認して、胃下垂かどうか判断しましょう。胃下…
食後にぽっこりと飛び出たお腹を見て、「私って胃下垂かも」と思ったことはありませんか? しかし、自覚症状だけでは確信が持てませんよね。
そこで、医師監修の元、胃下垂の確かめ方を解説! チェックシートを確認して、胃下垂かどうか判断しましょう。胃下垂の治し方や簡単にできる筋トレなどもご紹介します。
【セルフチェック】胃下垂の確かめ方
胃下垂だという自覚症状がある人は、医師監修の胃下垂チェックシートで確認しましょう! 以下のチェック項目の内、どれが当てはまるか確認してください。
女性両親のいずれかが胃下垂食後に下腹部が膨らむ痩せ型急激に体重が減少したことがある少量でお腹いっぱいになりやすい出産の経験がある腹部の手術経験がある①・②・③、すべて当てはまった場合胃下垂である可能性が高いです。
①・②・③のうちいずれか1つ+④~⑧で2つ以上当てはまった*場合胃下垂である可能性が高いです。
*個数に明確な根拠はありません。あくまでもセルフチェック方法の1つとして試してください。
チェックシートの解説胃下垂は「先天的要因」と「後天的要因」の2つに分かれます。疫学調査により、女性に多く、遺伝性が指摘されています。糖尿病・甲状腺疾患などの病気により2次的に胃下垂になることもあります。
胃下垂の判断基準は?
たくさん食べた後に下腹部(へそより下)がぽっこりと膨らむ場合は、胃下垂である可能性が高いです。そのため、下腹部の膨らみを1つの判断基準にすると良いでしょう。
そもそも胃下垂とはそもそも胃下垂とは、正常な位置よりも胃が下がっていることを指します。
▼胃の位置の違い
正常な位置みぞおち(お腹の上部中央)あたり胃下垂腸骨(骨盤を構成する左右に張り出した骨)の1番高い所を結んだ「ヤコビー線」と言う線よりも胃角が下にある病院で調べる方法もあります!内科や消化器内科などでの、身体検査・画像検査(X線、バリウム検査など)によって胃下垂かどうか確かめることもできます。胃下垂の症状が重度の場合は、手術が必要であることも……。気になる人は、お医者さんに相談すると良いでしょう。
\次:胃下垂は、おならが出やすい?太らない?/
胃下垂の人はおならが出やすい?
「胃下垂の人は、おならが出やすい」というのは本当です。おならがよく出る理由としては、以下の通りです。
腸の動きが低下するから⇒胃の位置が下にあることで、腸の圧迫・腸機能の低下・腸の動きの低下が起こることが推測されます。動きが低下することで、腸管内にガスが溜まりやすくなり、おならが出やすくなると考えられます。消化が遅いから
⇒胃の位置が低いことから、消化液や消化酵素の分泌が妨げられることがあります。これにより、食物の消化が遅くなり、腸内で発酵が進行。この過程でガスが発生するため、おならがよく出やすくなります。
「胃下垂とおならの関連性」について直接調べたデータはありません。しかし、胃下垂に関する臨床的研究の結果から上記が示唆されると考えられます。
ただ、「胃下垂だからおならが出やすい」というよりも、食物繊維の摂取量が多い・胃下垂以外の腸の機能障害を併発している可能性も考えられます。また、おならの発生は、腸内環境によっても左右されます。そのため、胃下垂の人が必ずおならが出やすいというわけではありません。
胃下垂の人のためのおなら対処法おならの対処法としては、消化が良いものや食物繊維が豊富な食材を食べると良いでしょう。消化がサポートされて、腸内環境が整いやすくなります。また、1口30回を目安によく噛んで食べるのもおすすめです。消化を助けられるでしょう。
おならが多く出ること自体、健康上問題はありません。音や臭いが気になる人は、上の対処法を試してみてくださいね。
消化が良い食べ物の一例ご飯や麺類などの炭水化物蒸し野菜、ゆで野菜脂肪が少ない白身魚フルーツ など「胃下垂の人は痩せている」という噂は本当?
「胃下垂の人は痩せている」という噂は、本当だと言えるでしょう。
「胃下垂だから太りにくい」のではなく、「痩せているから胃下垂になる」と考えた方が良いかもしれません。ただし、胃下垂の人の中には、腸の機能が低下している人もいます。その人の場合は、消化吸収能力が低く、太りにくいと考えられます。
また、遺伝的に胃下垂になる場合のメカニズムは、実はよくわかっていないのが現状です。
胃下垂の人はどこが膨らむ?
胃下垂の人が飲食をした後は、おへそのあたりから下腹部(骨盤のあたりまで)がポッコリと膨らむことが多いです。
反対に、本来胃があるはずのみぞおち周辺はへこんでいることが多いです。
胃下垂の治し方として有効な方法とは
残念ながら、胃下垂そのものを筋トレや薬剤などの治療によって治すことは難しいと言えるでしょう。これらによって、胃を通常の位置(みぞおちあたり)にまで持ち上げることはできないからです。
しかし、ぽっこりお腹を筋トレで軽減することは可能です! 下腹部のぽっこりお腹が気になる人は、腹部のインナーマッスルの「内腹斜筋」「腹横筋」を鍛えましょう。
これらのインナーマッスルを鍛えることで、骨盤の過前傾(反り腰)が治り、下腹部のぽっこり感が気になりにくくなるでしょう。
そもそも胃下垂って治す必要ある?胃下垂によって、以下の症状が慢性的にある場合は、治療の必要があります。反対に言えば、以下の慢性的症状がない場合は、基本的に治療の必要はありません。
胃もたれ胃の痛み吐き気便秘下痢 など上記の症状は、心理的要因・胃酸の過剰分泌・腸管の機能低下などが絡み合って生じます。そのため、一概にどの治療をすれば良いとは言いにくいですが、消化器内科を受診し、「いつ頃から・どのような症状が・どのような時に出やすい」のかを医師にお話しすると良いでしょう。
ぽっこりお腹を治すための簡単筋トレ
ぽっこりお腹を治すためには、腹部のインナーマッスルである「内腹斜筋」「腹横筋」を鍛えましょう。ここでは、筋トレ初心者でも簡単にできる筋トレをピックアップしてご紹介します。
ドローイング仰向けになって、下腹部に両手を置くお腹に空気を溜める意識で、息を大きく吸う限界まで吸ったら、息を止めて一時キープする膨らませたお腹が凹むように、思いきり息を吐き出す完全に吐き出したら、凹ませた状態で20秒キープする▲姿勢は常にまっすぐにし、力まないようにする
実施回数20秒×5セット鍛えられる部位・腹横筋・腹斜筋 etc…
▼詳細はこちら
下腹に効かせる腹式呼吸「ドローイング」のやり方!インナーマッスルを鍛える
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お腹の横を引き締める腹筋トレーニング「ツイストレッグレイズ」
お腹が出やすい食べ物・出にくい食べ物ってある?
お腹が出やすい食べ物食物繊維が多く含まれている食べ物を摂り過ぎると、お腹が出やすいと考えられます。特に、「不溶性食物繊維」より「水溶性食物繊維」の方が、ガスが溜まりやすく、お腹が出やすくなると考えられます。
食物繊維が腸管の中で分解されると、腸内細菌によって代謝されガスが発生します。このガスがたまると腸管が膨らみます。胃下垂の人の下腹部には、腸管も存在しているため、食物繊維の摂り過ぎによって下腹部のぽっこりにつながります。
また、短時間の内に大量に食べるのもお腹が出る原因になります。胃の中に入るものが少なくなるように、1日に必要な食事量を小分けにして食べると胃がぽっこりしにくいでしょう。
お腹が出にくい食べ物必ずしもお腹が出ないというわけではありませんが、低FODMAP食品はお腹が出にくい可能性があります。
パンやうどんなどの高FODMAPを過度に摂り過ぎると、腹部の膨満感・痛み・下痢・便秘などを引き起こしやすくなります。また、小腸で吸収されにくいため、大腸で発酵しやすく、ポッコリ腹を助長させる可能性があります。
「高FODMAP食品=体に悪い」のではなく、摂り過ぎると上記のような症状が出るということなので、摂り過ぎている人は、少しずつ低FODMAP食品に変更して調子がいい範囲でとどめておくと良いでしょう。
医師が解説! 胃下垂の歴史
胃下垂が初めて登場したのは、1719年。以降、胃下垂は、「胃の様々な症状を引き起こす」と考えられ、病気として認識されるようになりました。そのため、胃下垂のメカニズムについて世界中で研究されましたが、明確な答えは出ませんでした。
1930年頃になると、欧米を中心に胃下垂は病気ではないと結論づけられるようになり、原因を究明する動きは収束していきました。
日本においては、戦後まもなくまでは病気として認識されていましたが、次第に胃下垂は病気ではなく、単なる形態の異常であるとして認識されるようになっていきました。ですので、現代において医師から「あなたは胃下垂だから治療しましょう」と言われることはなく、医師の卵である医学生も胃下垂について勉強する機会はありません。
ただし、胃下垂の中には他の病気が隠れていることがあります。そのため、診察する医師はその点にはおいては最善の注意を払って診察しています。
▼参考胃下垂に関する臨床的研究 - 国立研究開発法人 科学技術振興機構
監修したのはこの人
レジーナクリニックリボディ新宿院院長 湯地 義啓(ゆじ よしひろ)先生
宮崎大学医学部卒業。ハーバード大学 Blackburn Course in Obesity Medicine 修了。精神科医・日本医師会認定産業医・日本医師会認定健康スポーツ医。NSCA-CPT(米国 NSCA 認定パーソナルトレーナー)。
所属学会:日本内科学会、日本臨床内科医会、日本スポーツ精神医学学会、日本肥満学会、日本精神神経学会
<Text:編集部>