フルトンに敗れるまで無敗を誇っていたフィゲロア(左)。この名手も「世界最強」とも言われる井上(右)との対戦を熱望した。(C)Getty Images 世界が熱視線を向けるなかで、絶対王者を打ちのめした影響は計り知れない。7月25日に…

フルトンに敗れるまで無敗を誇っていたフィゲロア(左)。この名手も「世界最強」とも言われる井上(右)との対戦を熱望した。(C)Getty Images

 世界が熱視線を向けるなかで、絶対王者を打ちのめした影響は計り知れない。7月25日に東京・有明アリーナで行われたタイトルマッチで、WBC&WBO世界スーパーバンタム級2団体統一王者のスティーブン・フルトン(米国)を撃破した井上尚弥(大橋)だ。

 世界を愕然とさせるパフォーマンスだった。過去9年無敗のフルトンに対して井上は序盤から攻勢を強めて圧倒。そして、相手のペースが落ち始めた8回に右ストレートからの左フックをヒットさせてダウンを奪取すると、再開後に連打で襲いかかり、レフェリーストップ。スーパーバンタム級の初陣にして、“難攻不落”とされた王座についたのである。

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 綿密に計算された試合運びに裏打ちされたボクシングIQの高さ、そして「世界一」とも称される守備スキルを持つフルトンを圧倒したパンチ力。まさに井上の異能ぶりが発揮された試合だった。

 そんな試合直後には、WBA&IBF世界スーパーバンタム級統一王者のマーロン・タパレス(フィリピン)がリングイン。井上は「今年中にやりましょう」と宣言し、大観衆の前で4団体統一戦の実現への意欲を新たにした。

 無論、2階級での4団体統一へ邁進する井上との対決を求める猛者は少なくない。21年11月にフルトンに判定で敗れたブランドン・フィゲロア(米国)もその一人だ。

 フルトン戦でキャリア初黒星を喫し、昨年7月にフェザー級に階級を上げたフィゲロア。今年3月には、マーク・マグサヨ(フィリピン)とのWBCフェザー級暫定王座決定戦で勝利。あくまで暫定ながら2階級制覇に成功した。

 かねてから井上について「自分にとっても魅力的な相手」と語ってきた26歳は、現地7月31日に米YouTubeチャンネル『210BoxingTv』で、「フルトンはイノウエには重すぎたんだと思う。手も足も出てなかった」と、先の2団体統一戦を回想。そして、今や世界トップクラスとなった“モンスター”との対戦を語った。

「プレッシャーでも、パワーでも、イノウエはとても正確で、強かった。でも、僕ならイノウエと良い試合ができると思う。僕はいつでも戦うつもりだし、どんな試合でも素晴らしいものになる。とにかく彼のような最高の選手と戦えたら嬉しいんだ。イノウエとは戦いたいよ」

 かくいうフィゲロアもキャリア26戦24勝(1引き分け)の実力派。過去には“悪童”ルイス・ネリ(メキシコ)をKOで撃破してスーパーバンタム級の2団体統一王者になった経験もある。そんな現代の軽量級で屈指とされる名手と井上が激突するとなれば、大きな話題となるのは必至だが、はたしてどうなるか――。

 やはりモンスターの動向は世界的な注目を集めそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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