「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」初戦となった2回戦の県立能代科学技術高校(秋田県…

「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」初戦となった2回戦の県立能代科学技術高校(秋田県)戦で挙げた33得点に続き、7月27日に北海きたえーるで行われた3回戦の中部大学第一高校(愛知県)戦でも29得点に10リバウンド10アシスト2スティール1ブロックの活躍。尽誠学園高校(香川県)の金山颯は「“トリプルダブル”は初めてです。自分がやるべきことをやった結果なので、それについては素直にうれしいです」と感想を口にした。

 中部大第一戦は試合開始から追いかける展開だったものの、第2クォーター残り1分38秒に逆転。40-34でハーフタイムを迎えた。第3クォーターは金山の華麗なレイアップや佐々木泰佑の3ポイントシュートなどでリードを16点にまで広げたが、中部大第一の反撃に遭って試合終了残り3分36秒に2点差。色摩拓也コーチはすぐさまタイムアウトを請求し、立て直しを図った。

「タイムアウトを残すか考えました。動きがあると思っていましたので。ここでタイムアウトを渋って、一気にひっくり返されると、自分たちに再度ひっくり返す力がないと思ったので、最後のタイムアウトをあのタイミングで取りました」

 タイムアウト後のプレーで金山が自身4本目の3ポイントを射抜くと、リードを7点に戻した同2分14秒に相手のオフェンスファウルを誘発。終盤のフリースロー2本を確実に沈めるなど、初戦で戦列デビューを飾った1年生がまたも勝利の立役者となった。

 そんな金山は島根県出身で、5歳の時から島根スサノオマジックのスクールに通い、U15島根スサノオマジックの一員として「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2023」でベスト5に選出された。Bリーグの育成組織に加入することで「高いレベルでプレーできた」と明かした彼が尽誠学園進学を決めたのは、指揮官の存在が大きかったという。

「色摩先生の下でバスケットボールをやりたいと思っていました。色摩先生は高いバスケットボールIQを持っているというか、バスケットボールを知っていると思うので、そういったことを学びたかったです。また、尽誠学園は自分のプレースタイルにも合っていて、今日の試合のように、自分たちより背の高い相手を倒していくところに惹かれました」

 色摩コーチいわく「心がいい子で頭もいい」。金山は「1年生なので、先輩に気を遣わなければいけない部分もありますけど」とやや遠慮しつつ、試合中は司令塔としてチームを司った。

「試合ではガードが喋らなければいけないと思っています。先輩たちにも自分の考えを伝えて、チームとして方向性を合わせていくことを意識しています。声を出して、しっかりと共有できるようにリーダーシップを持ってやっていこうと思っています」

 憧れの選手は安藤誓哉(島根スサノオマジック)と西村文男(千葉ジェッツ)だ。「安藤選手の点を取れる能力をすごく参考にしています。西村選手は富樫(勇樹)選手という絶対的ガードがいながら、控えとしていつ出てもしっかりとチームに貢献できる素晴らしいガードだと思うので、自分も参考にしてやっています」。「上級生に頑張ってもらって、うまくいかなかったら彼を出す形」(色摩コーチ)を採用しており、金山は2試合連続でベンチから登場。インターハイでは“西村タイプ”だが、ゆくゆくは“安藤タイプ”としての活躍が期待される。

「この3年間でチームを勝たせられるカードになっていくため、日々の練習を頑張って成長していきたいです」と意気込んだ金山は、渡邊雄太(フェニックス・サンズ)などを輩出した名門校で、「プロになって活躍する」という目標に向けて研鑽を積んでいく。

【動画】Bリーグも注目 U15島根時代のプレー集