イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3~7月16日/グラスコート)で勝利を挙げるたびに、ジョハナ・コンタはイギリスの観衆にテニスの歴史について教えている。 火曜日のレッスンには、コンタ以前にウィンブルドン準決勝に進出…

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3~7月16日/グラスコート)で勝利を挙げるたびに、ジョハナ・コンタはイギリスの観衆にテニスの歴史について教えている。

 火曜日のレッスンには、コンタ以前にウィンブルドン準決勝に進出したイギリス人女性、バージニア・ウェードも関わった。第6シードのコンタが第2シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)を6-7(2) 7-6(5) 6-4で下した試合を、ウェードはロイヤルボックスに座り見守っていた。

「母国のグランドスラム大会で準決勝に進出し、それをセンターコートの満杯の観衆の前で行うというのは、かなり特別なことだわ」とコンタは言った。

 その日、コンタは1984年のジョー・デュリー以来のイギリス人女子のウィンブルドン準々決勝進出者だった。そして彼女は今、1978年のウェード以来のイギリス人女子準決勝進出者となった。

 その年、ウェードは決勝にも進出したが、そこでクリス・エバート(アメリカ)に敗れている。しかしウェードは、その一年前にタイトルを獲得していた。

「こうも長くかかったことに驚いているわ」とウェードは言った。「ウィンブルドンに優勝した最後のイギリス人女性でいてもいいけれど、多くのイギリス人が優勝したほうがもっといい。正直、どっちもよい状況だから、彼女の成功を祈りつつ、わくわくしているわ」。

 第6シードのコンタは木曜日の準決勝で、決勝の座をかけて第10シードのビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)と対戦する。ビーナスはウィンブルドンで5度優勝した経験を持ち、同大会への出場20回目となる今年、10度目の準決勝に臨むことになる。

 コンタは、ビーナスとの対戦成績で3勝2敗と勝ち越しているが、直近の5月、ローマのクレーコート大会ではビーナスが勝者となっている。しかし、昨年の全豪オープン1回戦ではコンタがビーナスを倒し、彼女はその後、初のグランドスラム大会準決勝進出を決めた。

「私たちは過去に何度も戦いを繰り広げてきた」とコンタ。「最後に対戦したときは、彼女のほうが勝った。彼女との対戦を楽しみにしてるわ」。

 準決勝でコンタがふたたび頼りにできるのは、情熱的な母国の観客の応援だ。火曜日には、その情熱が奇妙な瞬間を引き起こした。マッチポイントで誰かが叫び声を上げ、それがハレプの集中を妨げたようなのだ。

「それはスポーツの一部だと思う。観客は興奮し、ときどき少し入れ込みすぎたりもする」とコンタは言った。「私たちは試合中に数回、そういう瞬間を経験した。私たちプレーヤーの皆がキャリアを通し、そういった経験をしているものよ」。

 木曜日にセンターコートに戻っていくコンタは、そこでそれをもう一度、経験することだろう。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「ウィンブルドン」準決勝に進出した地元イギリスのジョハナ・コンタ。1978年のバージニア・ウェード以来となるイギリス人女子選手の4強。(撮影◎小山真司/テニスマガジン)