7月20日に女子ワールドカップが開幕する。女子日本代表も、かつて世界一を獲得した大会に参加する。W杯での躍進に向け、必…
7月20日に女子ワールドカップが開幕する。女子日本代表も、かつて世界一を獲得した大会に参加する。W杯での躍進に向け、必要なものは何なのか。14日のパナマ戦などからサッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■W杯の重圧の利用
ワールドカップで日本がまず初戦で対戦するのはFIFAランキング77位のザンビアだ。そして、2戦目も36位のコスタリカとの顔合わせとなる。
もちろん、こうした本大会では“格下”相手にも最新の注意を払って戦わなければならないが、前述のように女子の場合はランキングによる実力差ははっきりしている。ザンビアが準備試合でドイツに勝っているという不気味な情報もあるが、ザンビアもコスタリカも「確実に勝てる相手」であるはずだ。
そこで、ザンビアとコスタリカとの試合を通じて“実戦”を経験することを通じて、コンディションを上げることを考えるべきだろう。
実力差はあるとしても、ワールドカップ本大会という試合なので、トレーニングマッチとは違って選手たちにはかなりのプレッシャーがかかる。つまり、試合勘を取り戻すためには絶好の舞台と言える。
■ベスト4進出への道のり
もし、グループリーグで開幕2連勝できれば、3戦目で強豪(ランキング6位)のスペイン代表と対戦する時にはすでにグループリーグ突破が決まっているはずだ。
「すでに突破が決まっている」という精神的に楽な状態で対戦することができれば、積極的に新しい試みをするなど、チーム状態をさらに上げることもできる。
すなわち、日本代表はグループリーグの3試合を通じてチームをベストの状態に持って行って、ラウンド16以降に備えることができるのだ。しかも、ラウンド16でも、日本の対戦相手は地元ニュージーランドを含むグループAの1位か2位チームとの対戦となる。幸いなことに、このグループには日本よりFIFAランキングが上の国はいないのだ。
こうした恵まれたスケジュールを利用して、ザンビア、コスタリカ、スペインとの3試合。そして、ラウンド16の強度の高い試合を通じて状態を上げて準々決勝に臨むことができるのが理想的だ。そうした戦い方ができれば、今大会の目標である「ベスト4進出」も現実的な目標となる。
■明らかにされるべき放映権料
さて、冒頭に紹介したように、女子ワールドカップでのなでしこジャパンの戦いぶりは、BS放送と地上波放送を通じて全国の誰でも視聴できることに決まった。
だが、今回の放映権問題を通じて、ワールドカップの放映権を巡るFIFAと各国のテレビ局やネット配信事業者との関係についての問題が明らかになった。いずれは男子ワールドカップでも同じような事態が生じて、ワールドカップをテレビ(またはネット)で視聴できなくなってしまう可能性があるのだ。
最終的にNHKでの放映が実現されることになったが、NHKはFIFAに対して、どのような交渉をして、どのような譲歩をしたのか、あるいはどのような譲歩を引き出したのか。そして、どれだけの金額を支払ったのか。
そうした事実は、今後しっかりと伝えてほしいものだ。
FIFAは女子サッカーを通じて、ジェンダー平等を実現し、女子アスリートの社会的地位を上げようとしている。目標としては当然のことである。だが、まだまだ男子に比べれば女子ワールドカップへの関心度は低く、国によってそのバラつきも大きいという女子サッカーの現状を考えれば、高い放映権を設定して賞金を増やすことよりも、まずは多くの人々が女子ワールドカップの映像にアクセスできるようにして、女子サッカーの露出を増やすべき時期にある。
そうした問題点について考えるためにも、最終的にFIFAとNHKの間でどのような交渉が行われ、最終的にNHKがどれだけの金額を支払ったかを明らかにしてほしいものだ。NHKが支払う放映権料の“原資”は、われわれ国民が強制的に徴収される「視聴料」なのだから……。