今シーズンからスタートしたNBAとBリーグの取り組みに渡邊雄太が賛同  7月16日、トヨタ府中スポーツセンターにおいて、「Jr…

今シーズンからスタートしたNBAとBリーグの取り組みに渡邊雄太が賛同


 7月16日、トヨタ府中スポーツセンターにおいて、「Jr.NBA Powered by B.LEAGUE Basketball clinic in JAPAN」が開催。このクリニックはNBAとBリーグAが協力して実施されるもので、Jr.NBAプログラムを推進するNBAコーチおよびNBAでのコーチ経験者が来日し、14歳以下の男女を対象にクリニックを行うもの。

 今回はアルバルク東京、サンロッカーズ渋谷、千葉ジェッツ、アルティーリ千葉、川崎ブレイブサンダース、横浜ビー・コルセアーズ、越谷アルファーズのユースチームから100名が参加。クリニックコーチのカルロス・バロッカ氏とMC兼通訳を務めた佐々木クリス氏の“熱い”ウォーミングアップで参加者の気分をあげたあと、AIバスケットボールロボット「CUE6」によるハーフコートショットのデモンストレーションを披露すると、グループに分かれてワークアウトがスタートした。

 そして、クリニックがスタートして約1時間、この日のスペシャルゲスト、渡邊雄太が登場。コートは歓声に包まれた。渡邊はクリニックの参加にあたり、「バスケットボールは私に多くのチャンスを与えてくれました。次世代の⽇本⼈選⼿の育成に貢献することで、恩返しができることを楽しみにしています。今回のクリニックを通じ、私⾃⾝がそうであったように、より多くの⽇本の若い選⼿が夢を追い求めるようになることを願っています」とコメントするなど、この日を待ちわびていたようだ。

 渡邊は積極的に子どもたちに声をかけ、そして、メニューをこなしていった。ディフェンスのフットワーク練習では一緒に汗を流した。また、ダンクやブロックショットも惜しみなく披露して、会場の雰囲気をさらに高めていた。

「努力」の大切さを教えた渡邊が逆に教えられたこととは


 クリニック後には子どもたちからの質問に回答。「普段はどのようなシュート練習をしていますか」の質問には、「シーズン中は反復練習をしています。試合で使うシュートを何本も打っています。今はシュートが入らなくても自分を信じて練習してください」とアドバイスを送った。

「プロに行ける人、行けない人の差は?」という質問には、「努力できる選手とできない選手」と即答。渡邊は「NBAには能力が高い選手はいっぱいいるけど、努力しないと残れない。これは昨シーズン、(ブルックリン・ネッツで)一緒にプレーしたKD(ケビン・デュラント)から学んだことで、彼のようなスーパースターでもドリブル一つひとつをおろそかにしない。自分ももっとやらないといけないと思いました」と、努力がいかに大切かを示し、デュラントとの逸話を入れ込んだ回答に、子どもたちも納得の表情だった。

 すべてのプログラムを終え、メディア対応を行った渡邊は、「NBAのコーチに教えてもらったり、実際にNBAの選手と触れ合う機会というのは、日本にいるとなかなかないので、今回お誘いをいただいた際に『ぜひやらせてください』とお願いしました」と、クリニックへの参加理由を証した。「実際に僕の子どものころにはありませんでしたし、今後こういう機会が増えて、日本からNBA選手が輩出されればうれしいですし、今度はその選手がまた子どもたちに還元してほしい。そうしていけば、日本のバスケのレベルはどんどん上がっていきますし、将来そうなればいいなと思います」と、熱く語った。

 このイベントでは笑顔を絶やさず、さらには子どもたちの質問にも丁寧に答えていたのが印象的だったが、それについて問われると、「とにかく元気だなというか、明るいなと思いました。シーズンが始まると子どもたちの質問に答える機会がありません。メディアの皆さんとの質疑応答はありますが、あのように子どもたち相手に質問に答えるというのは全然いつもとは違う形で、自分自身も楽しかったですし、本当はもっと時間をとっていろんな質問に答えてあげたかった。でも、あの短い時間の中で自分の言いたいことは言えたかなと思っています」とコメント。

「自分自身も楽しんでいるところを見せたりだとか、笑顔をなるべく見せるようと考えていました。自分が楽しかったから笑顔だった部分もあるんですけど、より『バスケットって本当に楽しいんだよ』という部分をみんなにも感じてもらいたくて。でも、僕がそれをやるまでもなく、みんなそれぞれバスケを楽しんでいたので、僕も一緒になって、便乗して楽しんでいた感じです」と、逆に子どもたちから大事なことを思い出させてもらったようだ。

 思い出の一環として、「せっかく一緒に練習するのなら、ダンクを見せてあげようというのがありました。もちろん、わざとやられるという選択肢もありましたが、せっかくなので(シュートを)ブロックをしてあげるのも、思い出に残るかなという感じです」と、子どもたちへのプレゼントも忘れていなかったようだ。

 最後に「日本でワールドカップが行われる機会なんて一生に一度だと思いますし、僕自身アメリカでずっとプレーしている分、なかなか日本のお客さんの前でプレーすることができない中で、自分が成長した姿を親や友達、ファンの皆さんに見せられたらと思います。個人的にこのワールドカップをはすごく楽しみにしています」と、8月25日に沖縄アリーナで開幕するビッグイベントに思いを馳せていた。

文=入江美紀雄