掛け算の二人、伊藤美誠(スターツ)、早田ひな(日本生命)の黄金世代コンビの"みまひな"。結びついた二つの個性はダブルスの無限の可能性を私たちに教えてくれる。同世代の二人。全日本は5連覇中と無双状態。ここ数年、急成長しているのが早田ひな。今や…

掛け算の二人、伊藤美誠(スターツ)、早田ひな(日本生命)の黄金世代コンビの"みまひな"。

結びついた二つの個性はダブルスの無限の可能性を私たちに教えてくれる。

同世代の二人。全日本は5連覇中と無双状態。ここ数年、急成長しているのが早田ひな。今や押しも押されもせぬ日本の大黒柱。そうなれたのは二人の間にある約束があったから。

みまひな約束の物語

世界卓球の舞台、南アフリカ。ひなさんにとっては成長を証明する大切な大会になる。

14歳のあの日。ずっと遠くにいた二人の同級生、伊藤美誠と平野美宇。テレビの中で活躍する二人をひなさんはただ見つめるしかなかった。

伊藤美誠は世界卓球2015の女子シングルスでベスト8に入り当時の最年少記録を塗り替える。その翌年にはリオオリンピックで銅メダル。

平野美宇もワールドカップや全日本で優勝。黄金世代と呼ばれた3人なのに早田だけが取り残される。でも、あきらめたりはしなかった。自分の成長物語を早田は信じていたから。

16歳。初めての世界卓球(2016年ドイツ・デュッセルドルフ大会)。手ごたえをくれたのがダブルスだった。右利きの伊藤と左利きの早田。

幼いころから対戦し互いの特徴を熟知し合っている二人は、伊藤の技術と早田の力強さが産む掛け算のダブルス。この銅メダルが早田の世界への扉を開いた。

みまひな結成から2年。決断したペア解散。東京オリンピック、シングルスの代表選考に向け一旦離れようと決めた。

こうして東京オリンピックへの代表選考レースは始まった。試合前、伊藤が練習場に着くと早田が。左利きの選手と伊藤が当たるから、「自分が練習相手に」早田はそう考えた。

友情を力に変えて伊藤は快勝。

こののち伊藤は東京オリンピックの(混合ダブルスで)金メダリストに輝きました。

早田は東京オリンピック出場を逃した。しかし、それをきっかけに早田は急成長モードに入っていく。

なぜそうできたのか?

それはペア解散の時に、二人で約束した「絶対に倒したい相手」ができたから。

4年前、世界卓球ダブルス決勝で敗れた孫穎莎、王曼昱の世界最強の中国ペア。金メダル目前でつまずき、結果は銀メダル。笑顔のない銀メダルをとったあの日のリベンジをしたい。

早田の転機になった試合がある。

3年前の全日本選手権シングルス。3連覇を狙う伊藤との一戦。フルゲームの戦いで早田が勝利。シングルスで初の優勝。黄金世代三人目の女王誕生。

そうして始まった大躍進。

早田はアジア選手権金メダルなど、国際大会で次々と優勝。

東京オリンピック前は25位だった世界ランクも8位にまで上がった。一方、再結成したみまひなペアも国内無敵の強さ。狙うは世界卓球金メダル。

しかし、結果は残念ながら金メダル獲得ならなかったが、2人の友情はこれからも続いていく。