昨年のパ・リーグMVPは、DH・投手の大谷翔平だった。大谷は二刀流ではあったが、DHのポジションでのMVPは、1979年のマニエル(近鉄)、1988年の門田博光(南海)に次いで3人目だ。■昨年は「DH・投手」の大谷がMVP獲得も…実際にDH…

昨年のパ・リーグMVPは、DH・投手の大谷翔平だった。大谷は二刀流ではあったが、DHのポジションでのMVPは、1979年のマニエル(近鉄)、1988年の門田博光(南海)に次いで3人目だ。

■昨年は「DH・投手」の大谷がMVP獲得も…実際にDHを活用しているチームは少ない?

 昨年のパ・リーグMVPは、DH・投手の大谷翔平だった。大谷は二刀流ではあったが、DHのポジションでのMVPは、1979年のマニエル(近鉄)、1988年の門田博光(南海)に次いで3人目だ。

 交流戦でパ・リーグがセ・リーグに常に勝ち越す要因の一つに「DH制」があると言われる。パは9人目の打者を起用することができる分、セよりも打線を強化できることが大きいと言われる。

 しかし、毎年DHに打者を固定して起用しているチームは少ない。昨年、DHで規定打席に達したのはロッテのデスパイネだけ。DHのベストナインになり、MVPにもなった大谷翔平も規定打席に達しなかった。実際にDHを活用しているチームは少ないのだ。

 今季、10試合以上DHで出場した選手は以下の通り。

◯日本ハム
近藤健介 31試合
田中賢介 17試合
大谷翔平 11試合

◯ソフトバンク
デスパイネ 70試合

◯ロッテ
井口資仁 23試合
パラデス 21試合
福浦和也 14試合
ペーニャ 10試合

◯西武
栗山巧 43試合
渡辺直人 12試合
水口大地 11試合

◯楽天
アマダー 52試合
松井稼頭央 11試合
ペゲーロ 10試合

◯オリックス
中島宏之 42試合
ロメロ 14試合
マレーロ 10試合

■「DHの固定」は、ポストシーズン進出の重要なカギに?

 DHに選手を固定できているのはソフトバンクだけ。1人の選手を50試合以上起用しているのも楽天だけ。この2球団が打撃好調で、首位争いをしているのは偶然ではないだろう。

 ソフトバンクはデスパイネをDHに固定することで、柳田悠岐へのプレッシャーを軽減している。楽天も、ペゲーロ、ウィーラーに次ぐ第3の外国人選手で、確実性はないが長打力のあるアマダ―をDHに配することで、打線の迫力をアップさせている。

 日本ハムは、前半戦、近藤健介をDHでうまく使っていた。近藤が今季絶望になったが、今後は昨年のベストDH・大谷翔平をいかにうまく活用するかがポイントになる。

 打線に「迫力」を加えることができていないロッテ、西武、オリックスはDHを活用しているとは言えないだろう。

 強打者の中にも、守備に就かず打撃だけのDHでは試合に入り込めず、力が発揮できないという選手は多い。「打つだけ」のポジションで実力を発揮できる適性がある選手は限定される。そういう選手を発掘するのも重要だろう。

 後半戦に向けて、「DHの固定」は、ポストシーズン進出の重要なカギになるだろう。各チームのDH事情に注目したい。(広尾晃 / Koh Hiroo)