まだ丸々一週間が残っているというときに、「ウィンブルドン」のグラスコートは早くも、プレーヤー、そしてテレビ観戦者たちが大会序盤に見慣れているような青々と茂った芝ではなくなっている。 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、コートのある部分でボ…

 まだ丸々一週間が残っているというときに、「ウィンブルドン」のグラスコートは早くも、プレーヤー、そしてテレビ観戦者たちが大会序盤に見慣れているような青々と茂った芝ではなくなっている。

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、コートのある部分でボールのバウンドが変わっていることに気づいていた。3回戦のロジャー・フェデラー(スイス)は、対戦相手のミーシャ・ズベレフ(ドイツ)とともに、この試合でやはり滑っていた。

 ふたりの過去のチャンピオンたちは、月曜日に予定されている4回戦で試合が再開されるときにコート・コンディションを向上させるため、試合の行われないミドルサンデー(中日)に何ができるかについて考えを巡らせていた。

「最初の試合では、これといった大きな違いはみられなかった。でもほかの選手がいろいろなことを言っていたのを耳にしたよ。彼らは文句を言っていた。特に外の(スタジアムではない)コートに関してね」。

 ジョコビッチは土曜日にセンターコートで、エルネスツ・グルビス(ラトビア)をストレートで下したあとに、こう言った。

「今日は、グラス...芝自体に違いが出ているのが見て取れた。特にベースライン周辺、ラインの数フィート内側や外側が、より柔らかかった」と、ウィンブルドン優勝歴3度のジョコビッチは言った。「正直言って、これまでのウィンブルドンでこういう経験はなかった。ここではコートはいつも完璧だ(った)」。

 ジョコビッチに次いでセンターコートに入ったフェデラーは、ミーシャ・ズベレフに対する勝ち試合の、あるポイントで足元をとられたあと、芝を「少し滑りやすかった」と表現した。ズベレフもまた、足を滑らせて転んでいた。

「でも、安全ではないとまでは感じなかった」とフェデラーは言った。フェデラーはここまで獲得した18のグランドスラム・タイトルのうち、7つをウィンブルドンで獲得している。

「プレーヤーにそんなふうに感じてほしくないと、誰もが思っているだろう。なぜって、正しく動くことを恐れるようになったら、プレーすることが本当に難しくなる。これは認めなければいけない。我々がもっとも見たくないものは、ひどい故障だ」

 何人かの選手たちは、一週目のコート・コンディションについての懸念を公の場で口にしており、その中にはクリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス)とアリソン・リスク(アメリカ)もいた。その双方が木曜日、18番コートでの2回戦の最中に滑って転んでいたのだ。

 その試合に勝ったリスクは試合後、芝が擦り切れてなくなった地面は、「氷のように滑りやすかった」と言った。

 しかし、オールイングランド・クラブ(ウィンブルドン)のコート管理の責任者であるニール・スタッブリーによれば、ウィンブルドンの最初の週を通し取られた測定では、グラスコートが例年通り健康な状態であることを示して見せているという。

「ベースラインと、選手たちが問題ありと考えているエリアを見てみましたが、我々は問題があるとは感じませんでした」とスタッブリーは言った。ほかのコートと比べても...ほぼ同じようなコンディションでしたよ」

 大会の最初の6日には、ほんのわずかしか雨が降っておらず、それが芝の消耗につながったとスタッブリーは言った。

 しかしながら、コートがストレス下に置かれていることを認めながらも、彼はコートがウィンブルドンの2週目を通して持ち堪えるだろうことに、「なんの疑いも抱いていない」と言う。

「我々は毎日、芝の状態をチェックしており、すべてをしっかり管理し続けることができています」と彼は言った。「我々は毎日欠かさず密な管理を行っていますから、手に負えないような状態にまでは決して至らないのですよ」

 それでもジョコビッチは、何かが過去とまったく同じではないと信じていた。

「彼ら(ウィンブルドンのコートキーパーたち)は間違いなく、自分たちが何をやっているかを重々知っているプロだ。世界でもっとも自分たちの仕事を熟知している人たちだ。でも、芝の質にわずかな差があるのが見えるんだよ」とジョコビッチは言った。「今年の芝は例年より少し柔らかいように思える」。

 一方、フェデラーは、「彼らが月曜日に向け、どんなふうにコートの準備をするか、策を見つけ出すための時間はあるよ」とコメントしていた。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「ウィンブルドン」5日目の2番コートの様子。大会では現在、選手間で芝のコンディションが問われている。(写真◎Getty Images)

Photo: LONDON, ENGLAND - JULY 07: A general view of play on court number two on day five of the Wimbledon Lawn Tennis Championships at the All England Lawn Tennis and Croquet Club on July 7, 2017 in London, England. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)