「第40回全日本自転車競技選手権 – BMXレーシング」が2023年7月1日(土)~7月2日(日)に2日間にわたり、大阪府堺市の大泉緑地サイクルどろんこ広場にて開催された。男子エリートでは増田優一選手、女子エリートでは畠山紗英選…
「第40回全日本自転車競技選手権 – BMXレーシング」が2023年7月1日(土)~7月2日(日)に2日間にわたり、大阪府堺市の大泉緑地サイクルどろんこ広場にて開催された。男子エリートでは増田優一選手、女子エリートでは畠山紗英選手が今年度の全日本チャンピオンの座を獲得した。
今年のBMXレーシング種目の全日本選手権は、梅雨の影響を受けて前日の公式練習は雨天により中止。レース当日の天候への不安や、十分に練習できないことへの精神的な不安など、選手たちは心が落ち着かないまま当日を迎えることになった。しかし、そんな彼らに救いの手を伸ばすように当日は晴天となり、むしろ照り付ける暑さが厳しいくらいの夏晴れの中で大会が開催された。
今回の会場となった「大阪府堺市大泉緑地サイクルどろんこ広場」では昨年に引き続き2年連続の全日本選手権開催となり、チャンピオンシップ(エリート・U23・ジュニアを含む)とチャレンジカテゴリーを合わせて昨年を上回る過去最多の330名を超える選手たちが全国から集まった。年齢は一番下は5歳から一番上は60代まで老若男女が各クラスにて日本一の座を争った。
なお会場内には昨年の全日本選手権同様に、目を惹く大型バナーやスクリーンの装飾と観客エリアの設置。またチャンピオンシップカテゴリーの決勝時の冠スポンサーのToyoTiresラウンドガールによるパフォーマンス、スモークを使用した特殊効果演出による選手紹介が、昨年以上にクオリティを上げ、「観るスポーツ」としても観客がより没入感を感じながら熱中して観戦できる雰囲気が演出されていた。
以下は、今大会大注目のチャンピオンシップカテゴリーの決勝レースのレポートとFINEPLAY独占優勝者インタビュー。
一週間前のワールドカップ、男子U23で準優勝した増田が男子エリートに出場しタイトル奪取。女子エリートは畠山がエリート初タイトルを獲得
空中でも攻防戦が繰り広げられるプロセクション。
photograph by Japan Cycling Federation
男子チャンピオンシップカテゴリー
男子エリートクラスは総勢9名がエントリーし、予選から勝ち上がった7名によって決勝で日本一の座を争う形となった。今回は予選から拮抗したレース展開を見せており、この決勝ではスタートダッシュを制し最初に第1コーナーを抜けることができるかどうかが勝敗を分ける戦いに思えた。
そんな中、トップ争いをスタートから繰り広げたのは、一週間前のワールドカップ第4戦でU23カテゴリーにて自身最高位を収めた増田優一、世界最高峰で活躍する中井飛馬、そして昨年の全日本チャンピオンの島田遼の3名。
増田(#98)、中井(#71)、島田(#23)の三つ巴
photograph by Japan Cycling Federation
第1コーナーで前に躍り出たのは増田。一番インコースからのスタートとなった彼はそのアドバンテージを上手く使い、コーナーで他の選手をアウトに追いやり前へ出る。中井と島田も猛チャージで距離を縮めるも届かず、増田が最後まで逃げ切り自身初のエリートクラスでのタイトルを獲得した。そのまま2位には中井、3位には島田という着順となった。
先週オランダで行われたワールドカップから日本に帰国し、わずか一週間という短いスパンで全日本選手権を迎えた増田。ワールドカップ準優勝の快挙からの勢いを上手く繋げて、昨年のU23クラスに引き続き今回のエリートクラスで日本タイトルを獲得した。現在勢いの止まらない彼がこの後のアジア選手権と世界選手権でどんな走りを見せるのかが注目だ。
最後までどうなるか分からなかった男子U23
photograph by Japan Cycling Federation
男子アンダー23クラスには計8名が集まり、予選決勝を含む3ヒート合計で争われた。3レース通して平均で一番高い順位を維持することが求められるため、一本一本が重要である中、1本目から優勝候補選手のミスや、2本目ではプロセクションで選手5名が接触して転倒したりと、最後の最後まで結果がどうなるかが分からない波乱の展開となった。
そんな中で迎えた3本目は、第1ストレートで選手の転倒もあったが合計ポイントでトップに立った庄司佳真が優勝し初タイトルを獲得。その後に中林凌大、早川敦哉が2位、3位と合計ポイントで続く形となった。
木内(#68)が安定した走りでタイトル獲得
photograph by Japan Cycling Federation
男子ジュニアクラスは8名(1名棄権)の選手がエントリーし、決勝は予選を勝ち抜いた7名により争われる形となった。レース展開は昨年の男子ジュニアチャンピオンである木内彪凱がスタートから先頭へ躍り出るかたち。後続選手は2名が接触し転倒するも木内には何の影響もなく、そのままの流れでプロセクションに突入し綺麗にジャンプをこなしていく。そんな木内に続くのは地元大阪の北川晃久と狩峰颯太郎の2名。地元のアドバンテージを生かしたライディングを見せるも木内に2度目のジュニアタイトルを許した。
なお木内は来年から2年連続のジュニアタイトルをひっさげてU23カテゴリーでレースをする予定。フランスのチーム「Sarrians BMX」に今年から所属し海外での活動が増える彼は、今後が期待される若手選手の1人だ。
女子チャンピオンシップカテゴリー
前に出てレースを引っ張った畠山(#85)
photograph by Japan Cycling Federation
女子のチャンピオンシップカテゴリーに関しては、今回も出場者数の関係からエリート・U23・ジュニアの3クラスが統合での開催となった。7名の選手が集まった今大会は予選決勝を含む3ヒート合計で争われた。統合クラスでの戦いになったものの、今回の出場メンバーは東京オリンピック2020日本代表の畠山紗英をはじめ、各クラスの前年度の全日本チャンピオンである丹野夏波、野村凪沙、西村寧々花の3名といった、世界を股にかけて活躍する日本代表選手たちが勢揃いし、まさに全日本選手権に相応しい面々のライディングに観客側も賑わっていた。
レースの展開としては畠山が3本ともに1位でフィニッシュし、ジュニアタイトル以来となる、全日本チャンピオンタイトルをエリートカテゴリーで勝ち取った。その畠山に続いたのは前年度のタイトルホルダーである丹野であった。
U23カテゴリーのタイトル争いは野村と西村による一騎打ちとなったが、西村の1本目のミスが足を引っ張り合計点を伸ばせず、コンスタントに良い順位を残した野村が見事2年連続でタイトルを獲得した。なおジュニアタイトルは昨年惜しくもタイトルを逃して悔しい思いをした浅見渚が獲得した。
3クラス統合でのレースとなった。
photograph by Japan Cycling Federation
現在、畠山と丹野を筆頭に世界での勢力を徐々に広げている女子チャンピオンシップカテゴリーの日本人選手たち。世界大会や国際大会では統合クラスになることがないため、こういう場で一緒にレースできることはお互いにとっていろんな学びや気づきを与える貴重な機会であると感じる。トップ選手や若手選手を含め、日本人女子選手たちの今後のさらなる成長に期待していきたい。
【FINEPLAY独占】各カテゴリー優勝者インタビュー
観客に向けて手を上げる増田優一
photograph by Japan Cycling Federation
増田 優一 選手 (男子エリートクラス)
「先週のワールドカップに引き続き、走りも調子が良かったので、今回タイトルを獲得できてすごく嬉しいです。
オランダからの帰国時も時差を考えて飛行機で睡眠をとったことが今大会にベストなコンディションへ持ってこれた理由だと思います。今後はまずオリンピックの出場枠を獲得するためにアジア選手権で優勝すること、そしてオリンピックの選考基準をクリアしてパリオリンピックに出場できるように頑張っていきます。
皆さんいつも応援していただきありがとうございます。やっと皆さんの期待に応えられるような結果を残すことが出来てきて嬉しいです。引き続き応援よろしくお願い致します!」
観客に向かって手を振る畠山
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畠山 紗英 選手 (女子エリートクラス)
「エリートカテゴリーでの全日本選手権タイトルは初めてだったので嬉しいです!
今大会のためだけに準備してきたことは特にありませんが、全日本選手権の前週にオランダのパペンダルでワールドカップがあり、そこに向けてトレーニングをしていたので調子は上がってきていました。最近はワールドカップでの決勝進出の回数も増えてきているので、次は表彰台獲得とオリンピック出場枠獲得を目指します。
みなさん応援ありがとうございました!日本の大会に出場できる回数は少ないのですが、今回優勝している姿をみなさんに見せられて嬉しかったです!今後とも応援よろしくお願いします!」
庄司のライディング
photograph by Japan Cycling Federation
庄司 佳真 選手 (男子U23クラス)
「 U23カテゴリーで初優勝することができて素直に嬉しい気持ちです。最近のレースではなかなか優勝できていなかったので、今回の全日本は絶対勝つという気持ちで挑みました。
今大会では、第1ストレートで先行できるかどうかが重要なポイントだと思ったので、スタートからのスプリントを重点的に練習しました。また、その後の第1コーナーでのライン取りもイメージしていたので上手く結果に繋がって良かったです。
応援していただいた皆様ありがとうございました。今後も出場するレースで良い結果を残せるように、そして自分の目標に向かって頑張っていきます。」
野村のライディング
photograph by Japan Cycling Federation
野村 凪沙 選手 (女子U23クラス)
「まずは2連覇できて嬉しいですし、ホッとしています。自分の目標としていた理想のライディングはできなかったので悔しい気持ちもありますが、全日本選手権という大きな舞台でタイトルを獲得することができてよかったです。
5月にこのコースで開催されたJシリーズ第3戦の際に改善点として出た混戦時のライン取りや、自分の走りにしっかりフォーカスできるようなメンタルを意識して今大会に挑みました。次の大会はアジア選手権になりますが、エリートクラスで出場するので上位に食い込める走りを目標にして挑みたいと思います。
ファンやサポーターの皆さま、暑い中応援ありがとうございました!この調子で引き続き残りのシーズンも頑張るので応援よろしくお願いします!」
木内のライディング
photograph by Japan Cycling Federation
木内 彪凱 選手 (男子ジュニアクラス)
「2年連続でジュニアタイトルを獲得できて嬉しいです。大会1週間前にフランスから帰国し、時差ボケをなくすよう時間を調整できたことが勝因だったと思います。
これからアジア選手権、世界選手権と大きな大会が続くので、しっかり結果を残せるよう練習やトレーニングをしていきたいですし、また来年からはU23に上がりレベルも上がるので、しっかりと準備していきたいと思います。
今回優勝後に「おめでとう!」と声をかけてくれた皆様、応援してくれた皆様ありがとうございました。優勝できて最高です!」
浅見のライディング
photograph by Japan Cycling Federation
浅見 渚 選手 (女子ジュニアクラス)
「代々受け継がれる全日本選手権でタイトルに名前を残すことが出来て素直に嬉しく思います!同時にBMXレースをやり続けて来て良かったなと思いました!
今大会のために目標を明確にし、苦手を潰すため、苦手なトレーニングや練習に積極的に取り組みました。まだまだ課題と伸びしろだらけなので、一つ一つ着実にクリアし、楽しみながら上位の選手と互角に戦うことを目標に頑張ります。
いつも支えてくださっているサポーターの方々や応援してくださる方々に感謝しています。これからも期待に応えられるよう精進していきますので応援よろしくお願いします!」
大会結果
左から中井、増田、島田の順
photograph by Japan Cycling Federation
<男子エリート>
優勝: 増田 優一 (マスダ・ユウイチ) / 大阪体育大学
準優勝: 中井 飛馬 (ナカイ・アスマ) / MONGOOSE・ XLARGE
3位: 島田 遼 (シマダ・リョウ) / GAN TRIGGER
左から丹野、畠山、瀬古の順
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<女子エリート>
優勝: 畠山 紗英 (ハタケヤマ・サエ)
準優勝: 丹野 夏波 (タンノ・カナミ) / 弱虫ペダルサイクリングチーム
3位: 瀬古 遥加 (セコ・ハルカ)/ iRC Tire
左から中林、庄司、早川の順
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<男子Under23>
優勝: 庄司 佳真 (ショウジ・ヨシマサ) / 日本体育大学
準優勝: 中林 凌大 (ナカバヤシ・リョウタ) / 日本体育大学
3位: 早川 敦哉 (ハヤカワ・アツヤ)
左から西村、野村、岡本の順
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<女子Under23>
優勝: 野村 凪沙 (ノムラ・ナギサ) / Ace Race Australia Factory Team
準優勝: 西村 寧々花 (ヤブタ・ジュイ) / 大阪体育大学・GAN TRIGGER
3位: 岡本 彩桜 (オカモト・サクラ)/ バンピーパス
左から北川、木内、狩峰の順
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<男子ジュニア>
優勝: 木内 彪凱 (キウチ・ヒョウガ) / モトクロスインターナショナル準優勝: 北川 晃久 (キタガワ・アキヒサ) / Deux Roues Elite Team
3位: 狩峰 颯太郎 (カリミネ・ソウタロウ) / Deux Roues Elite Team
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<女子ジュニア>
優勝: 浅見 渚 (アザミ・ナギサ) / モトクロスインターナショナル
大会概要
⼤会名称 : 第40回全日本自転車競技選手権 – BMXレーシング
開催期間 : 2023年7月1日(土)~7月2日(日) -2日間-
大会会場:大阪府堺市 大泉緑地サイクルどろんこ広場(大阪府堺市北区金岡町128)
主 催 : 公益財団法人日本自転車競技連盟
主 管 : 一般社団法人全日本フリースタイルBMX連盟
後 援 : 大阪府、堺市、堺市教育委員会、公益財団法人JKA
協 力 : 大阪府自転車競技連盟、特定非営利活動法人ドゥールース(サイクルピア岸和田)
特別協賛:TOYO TIRE
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