WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス 松山英樹(25歳)と谷原秀人(38歳)が、欧州ツアーのロレックスシリーズのひとつ、ドバイ・デューティーフリー・アイルランドオープン(7月6日~9日/ポートスチュワートGC/北アイ…

WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 松山英樹(25歳)と谷原秀人(38歳)が、欧州ツアーのロレックスシリーズのひとつ、ドバイ・デューティーフリー・アイルランドオープン(7月6日~9日/ポートスチュワートGC/北アイルランド)に臨んでいる。



松山英樹が欧州ツアーのアイルランドオープンに出場

 昨年から、ロリー・マキロイ(28歳/北アイルランド)が大会ホストを務め、『ロリー・ファウンデーション』が大会を運営。故郷で行なわれるトーナメントとあって、マキロイは大会連覇に意欲を見せている。

 ところで、日本ではまだ馴染みが薄い、ロレックスシリーズとはどんなものなのか。

 それは、欧州ツアーの中で今季から”高額賞金大会”と位置づけられた全8試合のことで、それらの試合の賞金総額は700万ドル(約7億7000万円)以上と欧州ツアーでは破格だ。

 同シリーズは、5月のBMW・PGA選手権(ウェントワースGC/イングランド)から始まり、6月末のHNAフランスオープン(ル・ゴルフナショナル/フランス)、そして今回のアイルランドオープン、以降、アバディーンアセットマネジメント・スコットランドオープン(7月13日~16日/スコットランド)、イタリア・オープン(10月12日~15日/イタリア)と続いて、11月のファイナル3戦、トルコ航空オープン(11月2日~5日/レグナムチャルヤ・リゾート/トルコ)、ネドバンクゴルフチャレンジ(11月9日~12日/ゲーリー・プレーヤーGC/南アフリカ)、最終戦のDPワールドツアー選手権(11月16日~19日/ジュメイラGE/UAE)までとなる。

 2015年に欧州ツアーの最高責任者に就任したキース・ペリー会長が推し進める欧州ツアー改革の一環でもある同シリーズは、長年欧州ツアーをサポートしている『ロレックス』の賛同を得て誕生した。

 その背景にあるのは、ここ数年のアメリカPGAツアーにおける賞金の高騰だ。特にフェデックスカップが始まってからは、PGAツアーでは毎年ビッグマネーを手にすることができるようになった。

 例えば、昨年のPGAツアーで総合優勝を果たしたマキロイは、それだけで1000万ドル(約11億円)のボーナスを得た。一方で、欧州ツアーで総合優勝を飾ったヘンリク・ステンソン(41歳/スウェーデン)が手にしたボーナスは125万ドル(約1億3750万円)。その差はかなり大きい。

 そうした状況から、今や欧州をはじめ、世界中のトッププレーヤーが皆、アメリカPGAツアーへと主戦場を移しつつある。

 だが、スター選手はもちろん、有望な若手プレーヤーも多い欧州ツアーとしては、そうした人の流れに歯止めをかけたいところ。そのうえで、欧州ツアーの質をさらに上げていきたい狙いもある。ロレックスシリーズの創設は、その対策のひとつとなる。ペリー会長が語る。

「欧州ツアーの賞金がアップすれば、世界中からトップ選手が集まる。また、欧州ツアーには各国を巡る面白さがあり、その国々によって素晴らしい環境がある。(選手とファンには)その楽しさを味わってもらい、テレビ放映も拡大していくつもりだ。会場ではファンとの距離を縮めるなど、たくさんの工夫をしていきたい」

 今季、欧州ツアーにメンバー登録をしている谷原は、このロレックスシリーズに参戦。5月のBMW・PGA選手権では見事3位に食い込んだ。先週、パリ郊外で開催されたフランスオープンは予選落ち。今回のアイルランドオープンではその雪辱が期待される。

 松山はそんな谷原を追っての出場となったようだ。

「出場を決めた理由は特にないですけど、谷原さんに『(アイルランドオープンに)出ます?』って聞いたら、『(一緒に)出ようかぁ~』って(笑)。ロリーから声をかけられた? そんなわけないじゃないですか(笑)」

 世界ランキング2位の松山。それだけ”大物”の参戦とあって、地元ではトップニュースで取り上げられている。

 松山にしてみれば、2週間後に今季のメジャー第3戦となる全英オープン(7月20日~23日/ロイヤルバークデール/イングランド)が控え、アイルランドオープンに出場することは時差対策のうえでも十分なメリットとなる。英国で過ごすオフウィークには「(テニス)のウインブルドンでも見に行こうかな」と、リラックスムードにあるのも好材料だ。

 今大会の開催コースとなるポートスチュワートGCは、ロイヤルカウンティダウンやロイヤルポートラッシュと並ぶ、北アイルランドを代表するリンクスコースのひとつ。マキロイは、「本物のリンクスコースでの戦いは、相当面白いものになる」と、名門コースでの白熱した戦いに期待を膨らませる。

 マキロイ、松山の他にも、スペインの”新星”ジョン・ラーム(22歳)、リオ五輪金メダリストのジャスティン・ローズ(36歳/イングランド)、ベルギーのトーマス・ピータース(25歳)に、韓国の王情訓(ワン・ジョンフン/21歳)ら、世界ランキング上位選手が出場する。

 ゴルフの発展は、アメリカPGAツアーだけの発展では成り立たない。こうして欧州ツアーが負けじとがんばって一段と盛り上がっていけば、その熱はアジア、そして日本へと波及していくことになるだろう。

 さらに、松山、谷原が世界を巡って戦う姿は、日本選手に刺激を与え、ファンにも新たな楽しみをもたらすに違いない。まずは、アイルランドオープンに注目である。