イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3~16日/グラスコート)の男子シングルス3回戦で、第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)がエルネスツ・グルビス(ラトビア)を6-4 6-1 7-6(2)のストレートで下しベ…

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3~16日/グラスコート)の男子シングルス3回戦で、第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)がエルネスツ・グルビス(ラトビア)を6-4 6-1 7-6(2)のストレートで下しベスト16進出を決めた。

 第1セット第2ゲームでは主審の判定をめぐり、ジョコビッチが主審に詰め寄って、集中して判定してほしい、と大声を出す場面が見られた。続く第1セット第3ゲームのジョコビッチのサービスゲームではブレークを許し、一時グルビスが4-2とリ-ド。しかしジョコビッチはそこから調子を取り戻し、9ゲーム連続でゲームを奪うと、その後はグルビスにブレークを許すことはなかった。

「試合が始まってすぐに2ポイント連続であの判定はないよね」とジョコビッチ。

「ジョコビッチのような選手はいったん火がつくと手がつけられないよ」とグルビスはコメントした。

 世界ランク最高10位を記録したこともあるグルビスは、2014年の全仏オープンでベスト4入りを果たすなど活躍したが、その後は故障に悩まされ、現在は589位までランキングを落としている。

 ジョコビッチは、これまで12度にわたりグランドスラムのタイトルを獲得しているが、そのうち3つはウィンブルドンでのものである。ウィンブルドン前のイーストボーン(ATP250/グラスコート)に出場したジョコビッチは、そこでキャリア68度目のタイトルを獲得したが、同大会を含めここまでのところ、まだセットを落としていない。

「これまでの経験を活かし、今はどんな相手だろうと自信を持ってプレーできている」とジョコビッチは言った。  

 昨年の全仏オープンでタイトルを獲得し、生涯グランドスラム(4つの異なるグランドスラムで優勝すること)を達成したジョコビッチ。しかしその1ヵ月後の、ウィンブルドン3回戦でサム・クエリー(アメリカ)に敗れてから、長期にわたり不調が続いている。昨年12月にはコーチのボリス・ベッカー(ドイツ)と別れ、今年5月には、長年のコーチであったマリアン・バイダ、ほかの2人のチームメンバーとも決別した。そして今年の全仏オープン直前には、元世界1位のアンドレ・アガシ(アメリカ)をコーチとして迎えると、さらに元世界7位のマリオ・アンチッチ(クロアチア)もチームに加えた。

「アガシとアンチッチがチームに加わってくれてうれしい。彼らのコーチングは僕のプレーに貢献しているよ。何よりも僕たちは本当に馬が合うんだ。お互いに協力し、理解し、尊敬していることが僕にとってはいいんだよ」とジョコビッチは言った。

 グルビスとの3回戦で判定を巡り、主審に対して大声を出した件を尋ねられたジョコビッチは、「彼も僕もベストを尽くそうとしていた結果、ああいうふうになってしまったけど、あのような緊張感のある状況ではしょうがないと思う。問題ないと思うよ。僕の言葉に彼もおそらくイラついていたと思う。言うべきことではなかったよ。申し訳ないと思っている」と試合後に話した。

 ジョコビッチは、4回戦で世界51位のアドリアン・マナリノ(フランス)と準々決勝進出をかけて対戦する。マナリノは1回戦で第19シードのフェリシアーノ・ロペス(スペイン)を7-5 1-6 1-6 3-4(ロペス途中棄権)で、2回戦ではグランドスラム初勝利を挙げて勝ち上がった杉田祐一(三菱電機)を6-1 5-7 4-6 7-6(2) 6-2で、3回戦では第15シードのガエル・モンフィス(フランス)を6-7(3) 4-6 5-7 6-3 6-2で倒して勝ち上がった。

 そのほか、この日行われた3回戦では、第3シードのロジャー・フェデラー(スイス)が左利きのサーブ&ボレーヤーで第27シードのミーシャ・ズべレフ(ドイツ)を7-6(3) 6-4 6-4のストレートで下し、ベスト16入りを果たした。フェデラーもジョコビッチと同様に今大会はここまでセットを落としていない。

「ウィンブルドンの第一週目を今の僕のプレーのように、いい調子で勝ち上がるということは重要なことだね」とフェデラーは言った。

 フェデラーはズべレフとの3回戦で61本のウィナーを奪い、凡ミスは7本のみだった。

 男子シングルス3回戦は終了し、4回戦の顔合わせは次の通りとなる。

 ドローのトップハーフは(上から)、前年度覇者で第1シードのアンディ・マレー(イギリス)対ブノワ・ペール(フランス)、第24シードのクエリー対ケビン・アンダーソン(南アフリカ)、2度のウィンブルドン優勝歴がある第4シードのラファエル・ナダル(スペイン)対第16シードのジル・ミュラー(ルクセンブルグ)、第18シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)対第7シードのマリン・チリッチ(クロアチア)となっている。

 またドローのボトムハーフは(上から)、昨年の準優勝者で第6シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)対第10シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、第13シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)対フェデラー、2010年大会の準優勝者で第11シードのトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)対第8シードのドミニク・ティーム(オーストリア)、マナリノとジョコビッチが対戦する。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「ウィンブルドン」4回戦に進んだノバク・ジョコビッチ(セルビア)(撮影◎小山真司/テニスマガジン)