2023年7月に開幕する女子ワールドカップの放映権問題が、まだ解決していない。現状では、日本での放映が決まっていないの…
2023年7月に開幕する女子ワールドカップの放映権問題が、まだ解決していない。現状では、日本での放映が決まっていないのだ。これは単なる一過性の問題ではない。サッカージャーナリスト・後藤健生が、その根幹に切り込む。
■W杯開催国の本気度
もちろん、オーストラリア・ニュージーランドも女子サッカー振興のためにワールドカップ開催が必要だったのだろう。いや、南半球の2つの国では、サッカーは必ずしもナンバーワン・スポーツではないので、男子も含めたサッカー振興のきっかけにしたいはずだ。
そのため、2023年大会について両国とも積極的で、これまでの女子ワールドカップに比べて明らかに最大規模の大会となるはず。日本開催が実現できていたとして、オーストラリアとニュージーランドのような大会にできなかったかもしれない(南半球の両国では、オーストラリアン・ルールズ・フットボールやラグビー系のフットボールが盛んな国だ。そして、2023年9月にはユニオン・ラグビーのワールドカップというビッグイベントが控えているために、国民の関心は女子ワールドカップに向いていないという情報もある)。
従って、結果としてワールドカップ招致に失敗したのは仕方のないことだったかもしれない。
■日韓W杯招致との差
だが、JFAは大会招致のために最大の努力をしたと言えるのだろうか?
今から30年ほど前に、日本は2002年の(男子)ワールドカップ招致のために大変なエネルギーを使った。
当初は、当時のジョアン・アヴェランジェFIFA会長の支持を受けて日本単独開催が無風状態で決まると思われていたが、その後、韓国が立候補。韓国協会の鄭夢準(チョン・モンジュン)会長の下で招致争いは激化し、両国間でデッドヒートが繰り広げられ、最終的には両国の共同開催が決まった。
長沼健会長をはじめ、当時のJFA幹部は全世界に足を運んで各国協会、各大陸連盟に支持を訴え、長沼会長の移動距離は「地球を19周分」などと報じられた。
誰もが成功を疑問視する中でのサッカーのプロ化(Jリーグの発足)。そして、2002年のワールドカップ開催。この2つが両輪となって、Jリーグは成功を収め、日本代表の強化は進み、日本は今では(男子)ワールドカップの常連国となり、2大会連続でラウンド16進出に成功するまでになったのだ。それを実現するために、当時のJFAはまさに「なり振りかまわない」ような必死の努力をした。
では、WEリーグの成功。そして、2023年のワールドカップ招致のために、現在のJFAは30年前のような努力をしたのだろうか?
■理念実現のために必要なこと
女子サッカーの発展。スポーツ界のジェンダー平等……。FIFAも、JFAも、その掲げる理念は崇高なものだ。
WEリーグという名称は「Wemen Empowerment League」の略称である。リーグ公式サイトには「この名称には日本に“女子プロサッカー選手”という職業が確立され、リーグを核に関わるわたしたちみんな(WE)が主人公として活躍する社会を目指す、という思いが込められています」とある。
しかし、その崇高な理想を実現するためには、数字を出し、資金を集めるための「なり振りかまわぬ」努力の積み重ね、時には“汚れ仕事”すらも必要なはずである。