「やり繰りが上手」と岡田監督の手腕を信頼する飯田哲也氏 プロ野球はリーグ戦が再開。試合消化数もほぼ折り返し点を迎えた。今…

「やり繰りが上手」と岡田監督の手腕を信頼する飯田哲也氏

 プロ野球はリーグ戦が再開。試合消化数もほぼ折り返し点を迎えた。今後のレギュラーシーズンの行方はどうなっていくのか。現役時代にヤクルト、楽天で走攻守3拍子揃ったプレーで活躍し、盗塁王を獲得した評論家の飯田哲也氏に、セ・リーグを展望してもらった。

 DeNAが25日までの阪神3連戦で3連勝し、首位に浮上。阪神は5連敗となったが、今後も“2強”状態が続くと予想する。「上位2チームが充実しています。お互い相手を意識する展開になっています」。優勝争いは両チームの一騎打ちが濃厚と飯田氏は予想する。

 飯田氏は開幕前から、駒が揃う投手力を武器に阪神が断然優位と挙げていた。ところが、昨季まで2年連続最多勝のエース、青柳晃洋投手はなかなか調子が上がらず、2軍落ち。それでも「青柳を再調整させられるのも、他にいいピッチャーが十分にいたからだと思います」と長いシーズンを考慮した準備と見る。

「大竹(耕太郎)、村上(頌樹)の2人が青柳以上の分の勝ち星を稼いでくれました。才木(浩人)もいいですしね」。大竹は現役ドラフトで移籍加入し、村上は昨年1軍登板なし。才木は昨年に右肘手術から復帰したばかりだ。「これで青柳が戻ってきたらバッチリでしょう」。抑えの湯浅京己投手が不調で救援陣が混乱しているが、「経験豊富で優勝もされている。やり繰りがとても上手」と岡田彰布監督の手腕を信頼する。

 その岡田監督が率いた2005年以来の「アレ」へ、鍵を握るのは誰か。飯田氏は、25日に登録抹消された佐藤輝明内野手を指名する。「“サトテル”が打つとファンもチームもメチャクチャ盛り上がるんですよ」。近本光司外野手、中野拓夢内野手の1、2番の出塁率が高い。だから「中軸の打点が鍵になる。ヒットを打てない時でも、打点さえ取ってくれればいい。速い球を打てるようにしたい」と、2軍再調整でのテーマをあげる。

打たれることで配球を覚えたバウアーは「日本の野球に慣れてきた」

 首位に立ったDeNAはバランスが取れている。打線は佐野恵太外野手、牧秀悟内野手、宮崎敏郎内野手の3選手を軸に、どこからでも得点できる。投手陣も今永昇太、東克樹らの先発、入江大生、伊勢大夢らのリリーフ、抑えの山崎康晃と役割ができ上がっている。「打つ方では関根(大気外野手)の成長が大きい。足が使えて今までのDeNAにいなかったタイプで、非常に機能しています。山崎は危なっかしいが、中継ぎ以降は強力。負け試合が少なくなるのでは」と見通す。

 サイ・ヤング賞右腕のトレバー・バウアー投手は、交流戦3戦3勝と実力を発揮してきた。当初は一発を浴びる場面が多かったものの、14日の日本ハム戦(横浜)では来日初の中4日で完投。「日本に慣れてきたと感じます。最初は捕手のサインに首を振って打たれていたこともあった。本人も『まずいな。日本の野球もやるな』と配球を考えたのでしょう。対応ができてきました」。シーズン終盤のフル回転に向けて、めどが立った形だ。

 新井貴浩新監督の広島も健闘している。「秋山(翔吾外野手)が今年は調子が良く、打線はいい。先発も揃ってます」。このまま上位に食らい付くには「リリーフの栗林(良吏)の復活が必要」と断言する。

 巨人は、もがき苦しんだ序盤から巻き返してきた。戸郷翔征投手が完全に先発の柱として引っ張り、岡本和真内野手もさすがは主砲の働きを見せている。原辰徳監督は今季、高卒3年目で長身2メートルの秋広優人内野手を抜てき。新星は今やクリーンアップにも座る。

「巨人の場合、勝たなきゃいけないという使命、伝統があります。レギュラーの選手の調子が上向くと出られなくなるかもしれない。でも、秋広は結果を出しています。育てるなら使ってほしい。チームの要になれる素材です」と指揮官の采配に注目する。

 リーグ3連覇を狙うヤクルトは苦境に立つ。「先発投手がいないので、打ち勝つ野球しかない。順位が上がっていくための要素は、村上(宗隆内野手)しかない。復活してくれればと思うんですが……」。中日については「もう今年は2、3年後を目指して戦っているのではないでしょうか」と語る。2強で推移するのか、広島や巨人の突き上げはあるか。今後の展開が注目される。(西村大輔 / Taisuke Nishimura)