■前半戦2位の大分は「しぶとさ」が強み J2リーグは後半戦のスタートとなる22節が、6月24、25日に行なれた。J1自…
■前半戦2位の大分は「しぶとさ」が強み
J2リーグは後半戦のスタートとなる22節が、6月24、25日に行なれた。J1自動昇格圏の2位で折り返した大分トリニータは、ジェフユナイテッド千葉とのアウェイゲームに臨んだ。
大分は16節のモンテディオ山形戦に0対5で大敗すると、翌17節からシステムを変更した。3-4-2-1から4バックへ戦術の軸を移し、17節からは5試合連続負けなしとチーム状態を回復させた。そのうち3試合はクリーンシートで、現在は3連勝中だ。
前半戦を2位で折り返した大分だが、数字はかなり控え目だ。27得点はリーグ10位、24失点は10位タイである。得失点差プラス3は、J1昇格プレーオフ圏の6位まででもっとも少ない。
ただ、前述した山形戦の大量失点がなければ、総失点は10点台になる。複数失点を喫した試合は4試合だけで、クリーンシートは7試合を数える。クロスゲームをしぶとく勝点につなげているのだ。
攻撃については、シーズン序盤からケガ人に悩まされ、選手の入れ替わりが激しかったことが影響している。ここにきてMF渡邉新太やMF池田廉が復帰しているが、MF茂平、FW梅崎司、FW伊佐耕平、FW長沢駿、FW宇津元伸弥らがケガで離脱している。
首位を走る町田は11得点のエリキ、4位のV・ファーレン長崎は12得点のフアンマ・デルガド、6位のヴァンフォーレ甲府は9得点のピーター・ウタカ、7位の清水エスパルスは7得点のチアゴ・サンタナと、上位チームは明確な得点源を持つ。それに対して大分は、MF藤本一輝の5得点が最多だ。藤本だけでなく野村直輝や中川寛斗、高畑奎汰らのMF陣が得点しているのは強みだが、勝負どころで対戦相手の脅威となるストライカーの登場が待たれる。
■デルラン投入で逃げ切りをはかったが…
千葉戦は中川をゼロトップのように配し、野村がその後方で守備ブロックの「間」に立ち、相手につかまりにくいポジションを取る。同時に、1対1に強い藤本が左サイドからチャンスメイクを担う。
0対0で迎えた60分、藤本の仕掛けがPKを誘う。これを野村が決め、大分はリードを奪う。下平隆宏監督は72分、79分と交代カードを切り、運動量と強度を維持しながらゲームをコントロールしていく。
85分にはボランチの池田に代えて、CBデルランを投入する。システムを5バックへ切り替えた。デルランの80分以降の出場は4試合連続で、過去3試合はいずれもリードを守り切っている。現在の大分にとっては、信頼のおける勝ちパターンと言っていい。
ところが、千葉の左CKからの競り合いで、野村がハンドを取られてしまう。PKである。これをFW見木友哉に決められた。
後半アディショナルタイムの直前には、DFペレイラが足を痛めてしまう。すでに5人の交代カードを切っているため、代わりの選手を送り込むことはできない。足を気にするペレイラを前線へ立たせ、大分は1対1で試合を終わらせることとなった。
試合後の下平監督は、「リードして勝てたゲーム。非常に悔しいです」と切り出し、「1点ではこういうことも起こりますし、もったいないと思います」と話した。前半からいくつかの決定機を作り出しながら、最少得点に終わったことを悔やんだのだった。
次節はアウェイでのジュビロ磐田戦だ。その後は中3日でFC町田ゼルビア、清水エスパルスと相対する。後半戦のスタート直後にして、大分はきわめて重要な3連戦を迎えることになる。ここでの結果が、彼らの今シーズンを決定づけると言ってもいい。