マーリンズのイチローは、現地7月6日のカージナルス戦で2安打し、通算安打数を3054本とした。これによってロッド・カルーを抜き、MLBでの通算安打数は歴代24位となった。また、パナマ生まれのカルーを抜いたことで、外国生まれの選手として通算安…

マーリンズのイチローは、現地7月6日のカージナルス戦で2安打し、通算安打数を3054本とした。これによってロッド・カルーを抜き、MLBでの通算安打数は歴代24位となった。また、パナマ生まれのカルーを抜いたことで、外国生まれの選手として通算安打数が歴代1位にもなった。

■イチローがカルーを抜き外国出身選手で通算安打数が歴代1位に

 マーリンズのイチローは、現地7月6日のカージナルス戦で2安打し、通算安打数を3054本とした。これによってロッド・カルーを抜き、MLBでの通算安打数は歴代24位となった。また、パナマ生まれのカルーを抜いたことで、外国生まれの選手として通算安打数が歴代1位にもなった。

○外国出身選手の通算安打数5傑 ※は現役

イチロー(日本) 3054※(マーリンズ)
R・カルー(パナマ) 3053
R・パルメイロ(キューバ) 3020
R・クレメンテ(プエルトリコ) 3000
A・ベルトレ(ドミニカ共和国) 2977※(レンジャーズ)

 アメリカは世界中から移民を受け入れてきた。野球界も例外ではなく、多くの国や地域の選手がプレーしている。各国には、史上に残るメジャーリーガーがいる。アメリカ合衆国を除く主要な国や地域の通算安打数5傑を見ていこう(※は現役、★はMLB野球殿堂入り)。

○日本
イチロー3054※(マーリンズ)
松井秀喜1253
青木宣親726※(アストロズ)
D・ロバーツ 721
松井稼頭央 615

 4位には沖縄生まれのデーブ・ロバーツが入るが、日本国籍の野手に限定すると5位に福留孝介(498本)が入る。イチロー以外に1000本以上打ったのは松井秀喜だけ。今季の日本人打者はイチローと青木の2人だけだ。イチローの牙城に迫る選手は当分出てきそうにない。

○パナマ
R・カルー 3053★
C・リー 2273
B・オグリビー 1615
M・サンギーエン 1500
R・ケリー 1390

 偉大な安打製造機ロッド・カルーに次いで、2012年までMLBで活躍したカルロス・リーがランクイン。3位のベン・オグリビーは1987年から2シーズン近鉄でもプレーした。

○キューバ
R・パルメイロ 3020
T・ペレス 2732★
B・キャンパネリス 2249
T・テイラー 2007
M・ミノーソ 1963

 ラファエル・パルメイロはキューバ革命に伴いアメリカに移住した。2位以下の選手も革命以前にアメリカでプレーした選手。今後はキューバから亡命した選手が安打数を伸ばしてくるだろう。

■野球大国のドミニカ共和国やベネズエラは…

○プエルトリコ
R・クレメンテ 3000★
I・ロドリゲス 2844★
R・アロマー 2724★
C・ベルトラン 2682※(アストロズ)
O・セペダ 2351★

 プエルトリコは国ではなくアメリカの自治領だが、記録の面では外国の扱いを受けている。3000本を打った年のオフに、ニカラグア大地震の救援活動に向かう飛行機が墜落して命を落としたロベルト・クレメンテをはじめ、偉大な打者を数多く輩出している。

○ドミニカ共和国
A・ベルトレ 2977※(レンジャーズ)
A・プホルズ 2903※(エンゼルス)
V・ゲレーロ 2590
J・フランコ 2586
M・ラミレス 2574

 最近はMLB選手の最大の供給国になっている。イチローの同僚だったこともあるエイドリアン・ベルトレ、イチローとメジャー同期デビューのアルバート・プホルスが3000本の大台を目前にしている。5位のマニー・ラミレスは、このほど高知ファイティングドッグスで後期もプレーすると発表された。

○ベネズエラ
O・ビスケル 2877
L・アパリシオ 2677★
M・カブレラ 2590※(タイガース)
B・アブレイユ 2470
A・ガララーガ 2333

 ドミニカ共和国と並ぶMLB選手供給国。守備の名手オマー・ビスケルは殿堂入り確実と言われている。3位のミゲル・カブレラは現役唯一の3冠王だ。

○コロンビア
E・レンテリア 2327
O・カブレラ 2055
J・カブレラ 362
D・ソラーノ 274
J・グティエレス 227

 中南米でもコロンビア出身選手は少ないが、エドガー・レンテリアとオルランド・カブレラは2000安打を記録している。オルランドの兄でもある3位ホルベルト・カブレラは、2005年から2季に渡りソフトバンクでプレーした。

■アメリカの隣国カナダ、メキシコは…

○カナダ
L・ウォーカー 2160
J・モーノー 1603
J・ボット 1504※(レッズ)
G・ウッド 1467
J・ヘス 1447

 アメリカ以外では、MLB球団の本拠地がある唯一の国だが、それほど実績のある選手は出ていない。現役のジョーイ・ボットは、選球眼が抜群によく、貢献度の高い一塁手として知られる。

○メキシコ
V・カスティーヤ 1884
J・オータ 1619
A・ロドリゲス 1570
B・アビラ 1296
M・アルマダ 706

メキシコにはアメリカに次ぐプロリーグがあったため、隣国にもかかわらず実績を残した選手は少ない。現在メキシカンリーグはMLB傘下で3Aの扱いとなっている。

○韓国
秋信守 1276※(レンジャーズ)
崔煕渉 220
姜正浩 202※(パイレーツ)
金賢洙 119※(オリオールズ)
朴賛浩 77

 韓国も日本同様、自国のトップリーグ(KBO)で活躍したのちにMLBに移籍するケースが多いため、通算安打数は少ない。秋信守は、KBOを経由せず、MLB傘下のマイナーチームから這い上がった。

 こうしてみると、イチローに次ぐ日本人打者が育っていないことが痛感される。MLBで通用する野手は今後、現れるだろうか。ヤンキース傘下でプレーする22歳の加藤豪将などの活躍にも期待したい。(広尾晃 / Koh Hiroo)