「きっと(イビチャ・オシム元監督は)なんで俺の銅像なんて作ったんだ。もっとふさわしい人が居るだろうと(謙遜して)言うでし…
「きっと(イビチャ・オシム元監督は)なんで俺の銅像なんて作ったんだ。もっとふさわしい人が居るだろうと(謙遜して)言うでしょうね」
(昨年5月に逝去された)故・イビチャ・オシム元監督の妻・アシマさんが24日、千葉市のフクダ電子アリーナに訪れた。夫人の横には、オシム元監督の息子・アマル氏も一緒にファン・サポーターの前に姿をみせた。
オシムファミリーが来日したのは数日前、きょう24日に行われたオシム・モニュメント除幕式へ参列するためである。
多くのファン・サポーターが見守るなか午後3時過ぎから行われた除幕式には、故イビチャ・オシム氏の功績を称えるために制作された『オシムモニュメント』を囲み、オシムファミリーの他に神谷俊一千葉市長、田島幸三日本サッカー協会会長、島田亮ジェフユナイテッド株式会社代表取締役社長らも出席して厳かに執り行われた。

除幕式の後、当初予定になかったメディア対応を快諾して頂いたアシマ夫人。アシマさんといえば、哲学者・オシムさんの貴重な代弁者であることもお馴染みの存在だ。久々にスタジアムで再会した筆者は、以前から聞きたいと思っていた質問を数年ぶりに投げかけてみた。
「オシムさんはワインが好きでしたが、いつも奥様にワインの飲み過ぎを注意されていました。今日は天国からこのモニュメントを眺めに来ているはずです。大好きなワインを片手にフクアリを楽しんで欲しいと筆者は思っています。今夜のオシムさんは、ワインを何杯まで飲んでもいいですか?」
筆者の質問は幸運にも(元サッカー日本代表の監督だったイビチャ・オシム氏の通訳/国際ジャーナリストとしても活躍中の)千田善氏が丁寧に言葉を訳してくれ、待ちに待った回答が日本語で帰ってきたのだ。
「彼はワインよりも日本酒が好きなの」
アシマさんは誇らしげな笑顔でそう語ってくれた。そしてやっとキュートな笑顔も数年ぶりにお披露目されたのだ。
実は、その質問の直前に「今日は嬉しいけど悲しい」と言葉を残し、顔色が曇っていたアシマさん。確かに彼女は除幕式のなかで実際に銅像をそっと触った瞬間、目には少しだけ涙を浮かべ、見たこともない表情で深い悲しみをこらえていた。
オシムさんの日本酒好きは有名なのに、うっかり失念してた筆者にオシム語録を届けてくれた夫人。なんだか数時間前の笑顔を思い出しただけで涙が込み上げて来そうである。
アシマ夫人は先日、きょうの除幕式に向けてジェフの公式サイト内でコメントを発表している。
「銅像になって彼の愛したジェフのスタジアムのすぐ横で試合を見続けるというのはとても彼らしいですね。ジェフの皆さん、油断するとIvanに怒られますよ、彼に”Bravo”って言わせてあげてください」
息子のアマル氏も「私たち家族にとってすごく大切な場所であるフクダ電子アリーナに、父の銅像が建つと聞いてとても嬉しいです。本当にARIGATOUGOZAIMASU!」とメッセージを贈っていた。
モニュメントが光り輝く24日夜は、J2リーグ22節大分トリニータ戦が予定されている。ちなみにジェフのゴールには大きな手を叩き大喜びする、オシムファミリー恒例のパフォーマンスを今夜観られると筆者は勝手に確信してしまう。そんな夫人は突然、力強い言葉を残しスタジアムを後にした。
「サッカーは、努力あるのみ」
オシム元監督がフクアリに来ているかのように錯覚してしまう。ファン・サポーターの後押しも今夜のフクアリは格別なのだろうか。
文/スポーツブル編集部
撮影/株式会社運動通信社
急遽、アシマ夫人の言葉を我々メディアに届けてくれた千田さん、我々メディアの無理なお願いに応じて頂きありがとうございました。そして、息子のアマルさん、日本のサッカーやJリーグのことを変わらず愛してくれて嬉しいです。羽生さん、勇人さん、まずは大役お疲れ様でした。ジェフファミリーの皆さん、そしてジェフサポの皆さん、今日からまた新しいフクアリでサッカーと共に最高の週末を過ごしましょうね。
気になるモニュメントの設置場所は、千葉市中央区にある蘇我スポーツ公園入口付近・ケヤキの木の近く。ファン・サポーターの皆さんに解りやすくご説明するのならば、フクアリ入り口の横断歩道を渡って左手、斜めまっすぐ、すぐ見つかります。さぁスタメンも発表されました。合言葉は、WIN BY ALLですよ〜

