イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3~16日/グラスコート)の大会4日目。 記者たちがあの手この手を使って誘導尋問しても、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に、自分をタイガー・ウッズと比べたことについてジョン・マッケ…

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3~16日/グラスコート)の大会4日目。

 記者たちがあの手この手を使って誘導尋問しても、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に、自分をタイガー・ウッズと比べたことについてジョン・マッケンロー(アメリカ)を批判させることはできなかった。

 自身3度ウィンブルドンで優勝を遂げているマッケンローは、BBCに、ジョコビッチは気を散らしており、同じような状況に置かれている人物でまず頭に浮かぶのは、「テニスプレーヤーではなく、ゴルファーのタイガー・ウッズだ」と言った。

 ジョコビッチはアダム・パブラシェク(チェコ)を6-2 6-2 6-1で退けて3回戦進出を決めたあと、このコメントについて何度も尋ねられた。

「僕はそれが個人攻撃だとは思っていない。ジョンとはいつも仲良くやれているんだ」とジョコビッチは言った。「それが彼の意見なのか批判なのか、ほかの何かなのか、僕にははっきりわからない。でも結局のところ、僕は彼が言うすべてに敬意を払うよ」。

 ウッズは14のゴルフのメジャー・タイトルを獲ったが、離婚してからひとつもタイトルを獲得していない。彼は先週、薬の管理を助けるためプロの助けを得ている、と発言した。そのコメントは、フロリダの警察が数週間前の午前2時に、車のハンドルに突っ伏して眠っているウッズを発見し、のちに彼を検挙したあとに出たものだった。

 マッケンローは、「ウッズは彼の妻と問題を抱え、それから完全に脱線してしまい、かつてと同じ選手に近づくことさえできていない」と言った。

 ジョコビッチは、2016年全仏オープンで12度目のグランドスラム・タイトルを獲得した。その全仏優勝で彼は、生涯グランドスラム(4つの異なるグランドスラムで優勝すること)を達成するとともに、2015年ウィンブルドンに始まる、4つのグランドスラムで連続して優勝するという偉業も成し遂げた。

 ジョコビッチは、妻エレナとの間に一子を設けている。

「いずれにせよ、僕はその(マッケンローの)コメントをネガティブなものとは受け取っていない。問題ないよ」とジョコビッチは言った。「彼には自分が言いたいと思うことを言う権利がある。僕は必ずしもその意見に同意するわけではないが、彼には意見を言う権利があるんだ。どこかに根拠があるのか、ただ何となく比較をしているだけなのか、僕にはわからないけどね」。

 しかしながらジョコビッチは、ある仮説を口にした。

「僕がセンターコートでの最初の試合のためウォーミングアップしていたとき、彼(マッケンロー)はカメラに向かって話し、イントロの部分をやっていた。その中で僕が打ったサーブが、彼のほうに向かって飛んでいってしまったんだよ」とジョコビッチは言った。「わからないが、もしかするとそのせいかもしれないね。彼はそれがジョークだと思わなかったのかもしれない。僕は冗談のつもりだったんだが」。

 パブラシェクに対する試合は、昨年の3回戦でジョコビッチがサム・クエリー(アメリカ)に敗れたときと同じ、1番コートで行われた。昨年の全仏まで4つのグランドスラム大会で連続して優勝していたジョコビッチは、その対クエリー戦まで一年半ほどにわたり、グランドスラム大会で敗れていなかったのだ。

 ところで、この木曜日の勝利は、彼の大ファンのひとりに対して挙げたものとなった。2012年にプロとなった世界136位の22歳、パブラシェクは、自分のヒーローであるジョコビッチをお手本に、そのプレーを真似ようと長いことトライしてきたと言う。

「第一に、そういう話は僕を年寄りに見せるね」と、30歳のジョコビッチは言った。「でも、僕のテニスと、僕が何を成し遂げたかで、彼にインスピレーションを与えることができたのだと聞くと、間違いなくうれしい気持ちになる。もちろん、そう言われたらうれしいさ。そんなふうに言ってもらえたことに感謝しているよ」。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「ウィンブルドン」2回戦に勝利したノバク・ジョコビッチ(セルビア)。BBC解説者のジョン・マッケンロー(アメリカ)が自分についてコメントした内容に対して、記者たちから煽られるも動じることなく過ごしている。(写真◎小山真司/テニスマガジン)