兵庫「播磨ボーイズ」では選手に約20ページの「野球ノート」配布 兵庫の中学硬式チーム「播磨ボーイズ」は今年で創部19年目…
兵庫「播磨ボーイズ」では選手に約20ページの「野球ノート」配布
兵庫の中学硬式チーム「播磨ボーイズ」は今年で創部19年目。これまでに関西秋季大会準優勝、中学硬式野球の関西ナンバーワンを決める「タイガースカップ」にも3度出場するなど、地域を代表する強豪チームだ。選手の技術もさることながら、強さの秘密は入部者全員に配布される“野球ノート”にある。
指揮を執るのは、中学高校で計30年の指導経験がある中上晴彦監督。今年で61歳になるベテランは、時代とともに変わる野球界に合わせ、自身のアップデートを怠らない。選手の育成で重視しているのは技術指導に加え“野球IQ”の向上だ。
播磨ボーイズでは入部すると1冊の野球ノートが選手に配られる。投手、野手のカウント別心理、状況に応じた守備と攻撃パターン、セイバーメトリクスを用いた状況別の得点期待値など。約20ページに及ぶノートには、実戦で生かせる“情報”が詰まっている。
高校のコーチを経て中学野球の指導者になった中上監督は「子どもたちへの指導は今でも難しいと感じています。今はネットなどで情報を簡単に得られる時代。指導者も変わらないと指導はできません。色々と勉強し出したのは50歳になってからです」と、苦笑いを浮かべる。
ノートを利用して野球を“復習”する環境作り
子どもたちの「なぜ?」に、大人が明確な答えを提示する必要があると実感している。「昔はセンスの一言で片付けられていたものが、今ではそうではなくなっています」。理論に基づいた技術論、試合中の考え方などについても口に出し、選手に伝えている。
「当たり前のことを、いかにかみ砕いて子どもたちに伝えられるか。学校の先生も教科書があるから教えられます。野球も同じで、興味があるなら子どもたちも家に帰って勉強します。チームの考えは口頭でも伝えますが、子どもは忘れがち。ノートを見て復習できる環境を作っています」
グラウンドでは身振り手振りで選手一人一人に細かく指導し、練習後はホワイトボードを使った座学も行う。「進学先で野球を知っていることは必ず生きていく」。中上監督は「心・技・体」を兼ね備えた選手育成を重視し、野球界の発展に力を尽くしている。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)