カタールW杯から3カ月半後の今年3月。第2次・森保ジャパンが発足し、もちろん久保建英も招集された。 今季赴いたレアル・…
カタールW杯から3カ月半後の今年3月。第2次・森保ジャパンが発足し、もちろん久保建英も招集された。
今季赴いたレアル・ソシエダではW杯前の前半戦は2ゴールにとどまっていたが、12月末のリーグ再開後は調子を上げ、ウルグアイ(東京・国立)・コロンビア(大阪・ヨドコウ)2連戦前までに3ゴールを追加。クラブもUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場圏内の4位をキープし、本人も充実したシーズンを過ごしていたことから、「W杯の時とは別人」といった発言も飛び出すなど、久保は自信に満ち溢れていた。
ところが、この初陣2連戦もコロナで前半は練習欠席を強いられる。途中からトレーニングに復帰したものの、コロンビア戦は後半途中から出ただけ。新体制スタートも足踏みすることになってしまった。
こうした負の連鎖を断ち切る意味で、今回の6月シリーズは極めて重要だった。6月4日に22歳になり、エルサルバドルという記念すべき相手と対峙するとあって、久保の中ではより一層、闘争心に火がついていたはず。
「まだ1点なので、ここから追いつけ追い越せで、最後に結果を残せれば万々歳かなと。1点取れればどんどん行けると思うので、とりあえずエルサルバドル戦に向けて準備していきたいです」と試合前にも力を込めていた。
その言葉通り、念願の代表2ゴール目を挙げたのだが、それ以上に「自然体のパフォーマンス」が目についた。これまでは「自分が自分が」といった気負いが目立った久保だが、中村敬斗のゴールをアシストしたシーンに象徴される通り、「仲間を生かして自分も生きる」という意識が鮮明に出ていた。
これはレアル・ソシエダでダビド・シルバから学んだことかもしれないが、優れたアタッカーというのは、エゴイストになって自分のゴールだけに突き進めばいいものではない。チームが勝利するための最適な判断、最善のプレーを見せて、そこで光れる選手がトップ・オブ・トップだと理解できたからこそ、代表でも余裕を持った仕事ぶりを見せられたのではないだろうか。
代表トレーニング時の一挙手一投足を見ても、以前はどこか表情が曇りがちだったり、顔がこわばったりしていたが、今はとにかく楽しんでプレーしていることがよく分かる。
今の代表が東京五輪世代中心のチームになり、U-17代表の頃から共闘してきた菅原由勢(AZ)や中村敬斗、瀬古歩夢(グラスホッパー)ら同世代が増えてきたことも大きいのだろうが、「自分は特別な選手ではない」と思えるような環境になったのは確かだ。
■「焦ることは今のところない」
「余裕を持てた理由? それは分かんないですけど、それだけ余裕を持てるレベルの選手になったんじゃないですかね。今は焦ってないです。やっぱり結果が出る出ない関係なく、客観的に僕は自分の実力を見れるタイプなので、仮に次の試合の結果が出ようが出まいが、僕は焦ることは今のところないのかなと思います。それくらいの余裕はありますね」と本人も堂々とした口ぶりを見せていた。
加えて言うと、彼自身が望む背番号10ではなく、20番を与えられたことも、むしろよかったのかもしれない。「等身大の22歳の久保建英」として日本を引っ張る覚悟が生まれたことで、彼本来の高度な技術や創造性、アイディア、駆け引きといった魅力がより発揮されていくのであれば、日本代表、そして森保監督にとっても理想的。久保の代表キャリアはここからが本番と言っていい。
さしあたって20日の次戦・ペルー戦はベンチスタートの可能性が大だが、9月にはドイツ戦(ヴォルフスブルク)も控えている。カタールW杯で苦い思いを味わった強豪相手に大化けした姿を示せれば、久保は苦しかった過去を一掃し、真のエースになれるだろう。
中田英寿、中村俊輔、本田圭佑、香川真司といった日本代表の過去の看板スターを越えるようなインパクトを残すべく、22歳のアタッカーは貪欲に高みを目指し続けていくに違いない。