2点を追う9回、坂本勇人がバックスクリーン左へ劇的10号3ラン■巨人 6ー5 楽天(16日・東京ドーム) 巨人の坂本勇人…

2点を追う9回、坂本勇人がバックスクリーン左へ劇的10号3ラン

■巨人 6ー5 楽天(16日・東京ドーム)

 巨人の坂本勇人内野手が、16日に本拠地の東京ドームで行われた楽天戦で、逆転サヨナラ10号3ランを放ち、チームを今季初の6連勝に導いた。2点を追う9回無死二、三塁から、豪快に振り抜いた白球はバックスクリーン左へ着弾。劇的弾で、9年ぶり3度目のセ・パ交流戦優勝にも大きく近づいた。

 34歳の坂本は今季開幕直後、プロ野球生活17年目で未曾有の打撃不振に苦しんだが、20試合ぶりに3番に座ったこの日、強烈に復活を印象づけた。坂本をルーキー時代から指導してきた原辰徳監督も感慨深げだった。

 3-5で迎えた9回無死一、三塁で坂本は打席に入った。2球目に、一塁走者の重信慎之介外野手が二盗に成功。「お陰ですごく楽になりました。最悪、内野ゴロでも(1点が入り)三塁に走者が残る形になりましたから」と言う。カウントは2-0。直後の3球目、真ん中低めのフォークを捉えると、打球はバックスクリーン左に吸い込まれた。

「久しぶりにサヨナラホームランを打てて、こういう大歓声に包まれて最高にうれしいです」。お立ち台で満面に笑みをたたえながら語ったように、2010年9月21日、横浜(現DeNA)戦の延長12回に放って以来、実に13年ぶり通算6本目のサヨナラ本塁打だ。

 今季は4月を終えた時点で打率.186(70打数13安打)と低迷し、現役生活の危機と見られる時期もあった。それでも徐々に調子を取り戻し、6月に入ってからは16日現在.321(56打数18安打)。15日の西武戦では、変則サブマリンの相手先発・與座海人投手対策として、左足を高く上げず、かかとを上げるだけにとどめる“ノーステップ打法”を試し、9号ソロを放った。この日もノーステップ打法を続行。「いろいろやっている最中ですが、(ノーステップは)以前どこかの試合でやった時に、監督から『今の、いいんじゃないか?』と言われました。自分の引き出しの1つとして、いいのではないかと思います」と明かした。

 原監督は、坂本が不振にあえいだシーズン序盤を振り返り「ひたむきさはルーキー時代と全く変わらない。ただ、実績を持つ選手は相手にマークされますし、(高い数字を)守り抜き、攻めるのは非常に難しいですから」と気遣う。そして「ここに来て、打席で非常にシンプルになった気がします。いい形でボールを待てているのではないか」と評価する。

2年目に全試合スタメンで起用「もう今日は外そうと決めて球場に来た日もある」

 指揮官として坂本のルーキー時代を語れるのは、原監督以外にいない。“原監督第2次政権”時代の2007年9月6日、敵地で行われた中日戦で同点の延長12回2死満塁の場面に、当時18歳の坂本を代打で起用。プロ初安打を決勝中前適時打で飾らせたのが、全ての始まりだった。

 翌2008年には開幕スタメンに抜擢。打撃不振に悩む時期もあったが、全144試合スタメンで起用した。原監督は当時「もう今日は坂本をスタメンから外そうと、心に決めて球場に来た日もある。しかし、その度に、必ず爽やかにあいさつをしてきて、前向きに練習に取り組む姿を見せられて、『よーし、こうなったら心中する覚悟だ』という気持ちにさせられるんだよ」と語っていたものだ。

 坂本はベテランの域に入り、原監督は7月の誕生日に65歳となるが、師弟の信頼関係に大きな変化はないように見える。「なかなか自分が思うような打撃ができていない中で、原監督からもアドバイスをいただきながら、まだまだ若いつもりでやっています」。坂本はそう言って、甘いマスクを綻ばせた。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)