デスパイネにとっては、およそ半年ぶりの古巣復帰となる 13日、アルフレド・デスパイネ外野手のソフトバンクへの復帰が発表さ…
デスパイネにとっては、およそ半年ぶりの古巣復帰となる
13日、アルフレド・デスパイネ外野手のソフトバンクへの復帰が発表された。およそ半年ぶりの古巣復帰となる。ソフトバンクは開幕前に大型補強を展開し、上位争いを繰り広げている。デスパイネの復帰はラストピースとなるかもしれない。今回は過去のNPBでの活躍や打撃スタイル、長所を紹介する。(成績は15日の試合終了時点)
デスパイネはキューバ代表の主砲として国際舞台で活躍し、2014年途中にロッテ入団。同年は45試合で打率.311、OPS1.001をマークした。2015年は代表での活動もあって調子を崩したが、2016年には24本塁打、打率.280、OPS.841を記録した。
2017年からソフトバンクに活躍の場を移し、同年に35本塁打、103打点で2冠に輝く。2018年は116試合出場ながら29本塁打、2019年にはキャリア最多の36本塁打を記録した。2020年以降は故障の影響もあり出場機会がやや減少。それでも、2021年には80試合でOPS.810、2022年も89試合で14本塁打・OPS.783と、一定の数字を残し続けた。
怪力を生かした豪快な長打は最大の持ち味の一つ。通算長打率は.491だ。長打率から単打の影響を省いた、真の長打力を示す指標とされる「ISO」は通算で.227。一般的に優秀とされる.200を上回る。特に、ソフトバンク移籍初年度の2017年からの3年間では、いずれも.250を超えるISOを記録した。
ホームランを1本打つのに必要な打数を示す指標「AB/HR」も、通算で16.23と優れた水準にある。45試合出場だった2014年は13.42、25試合出場だった2020年は14.17と、出場試合数が少なかったシーズンにハイペースで本塁打を放った適応の早さも、途中加入の今シーズンに向けた追い風となるかもしれない。
豪快な打撃スタイルに加え、優れた選球眼も兼ね備える
また、デスパイネは長打力に加えて選球眼の高さも備えている。通算出塁率が.351、出塁率から打率を引いた値「IsoD」は1を超えると高水準と評価される中で0.88をマーク。さらに、四球と三振の比率を示す「BB/K」も通算で0.56に達しており、こちらも平均(おおむね0.35前後)を優に上回っている。特に2020年のBB/Kは1.091と優秀な数字だった。
もっとも、2020年はBABIPが.191と運に恵まれなかった部分があり、打率.224と低迷したが、打撃内容自体は決して悪くなかったことがうかがえる。2021年はOPS.810とまずまずの数字を残していたものの、ISOとAB/HRの数字が低下傾向にあり、長打力にやや陰りが見られた。加えて、2022年はIsoDとBB/Kも大きく落ち込んでおり、選球眼にも不安を残す結果になっている。
それでも、2022年は出塁率.338、長打率.444の成績を残していた。この数字は、同年のチーム平均の出塁率(.320)、長打率(.377)を上回る。今季のソフトバンクのチーム出塁率は.319、チーム長打率は.355と、前年より低下している。チーム事情を考えても、デスパイネの加入がチームにとってプラスとなる可能性は大いにあるだろう。
昨年記録した14本塁打は、チームでは柳田悠岐外野手(24本塁打)に次いで2番目に多かった。同年に2桁本塁打を記録したのは柳田、デスパイネ、野村勇内野手の3人のみで、長打力ある選手の不足は課題となっていた。今季は近藤健介外野手が10本、柳田が9本、栗原陵矢外野手が8本を記録している。それに続くのは甲斐拓也捕手の5本、中村晃外野手、今宮健太内野手の3本と、長打力に関しては、特定の選手への依存が強まっている。
さらに、今季は新外国人のウイリアンス・アストゥディーヨ内野手とコートニー・ホーキンス外野手がいずれも結果を残せず、2年目のフレディ・ガルビス内野手も苦しんでいる。デスパイネの復帰によって、打線に本塁打の怖さが加われば、主力選手へのマークが分散したり、攻め方が変わってきたりする可能性もあるはずだ。
昨季はやや成績を落としていたとはいえ、それでも89試合の出場でチーム2位の本塁打数を記録。戦力面でのプラス要素もさることながら、日本でのプレー経験が長く、2017年の2冠王をはじめとした実績も豊富なデスパイネの加入は、ここまで苦しんでいる外国人選手たちにとっても、適応への大きな手助けとなるかもしれない。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)