川端順氏は黒田夫人宛てに花を贈って復帰を祝った 2007年オフに広島からFAでメジャーに移籍した黒田博樹投手は2014年…
川端順氏は黒田夫人宛てに花を贈って復帰を祝った
2007年オフに広島からFAでメジャーに移籍した黒田博樹投手は2014年オフに復帰した。ドジャース、ヤンキースで主力投手として大活躍。バリバリのメジャーリーガーの立場で、米球界の高額オファーも蹴ってのカムバックに広島だけでなく日本中が沸いた。当時、広島の編成部長だった川端順氏(徳島・松茂町議)は極秘交渉を進めていた鈴木清明球団本部長の喜びようが今でも忘れられないという。
川端氏が黒田復帰の大ニュースを知ったのは鈴木本部長からの電話だった。「おい、川端、喜べ、黒田が帰ってくるぞ!」。まさに弾むような声だった。電話口からも鈴木本部長の歓喜の表情が思い浮かぶほどだった。「ホント、あれは鈴木さんのお手柄ですよね」。
それ以降、いろんな打ち合わせがあった。「マンションはどこを用意するとか、しょっちゅう話し合った記憶がある」。黒田氏が広島に戻ってきた時、川端氏は他の編成部員とともに広島空港まで迎えにいった。とにかく感謝の気持ちをどんな形でも伝えたい。それくらいの一大イベントでもあった。
川端氏も考えた。「黒田が喜んでくれるのは何だろうってね。編成部員ともそんな話をいろいろしたけど、それで僕が思いついたのは、花を贈ることだった。黒田ではなくて奥さんにね。向こうでは大変だったと思ったので“ごくろうさまです”ってね。広島のマンションに住む日に届けてもらいましたね。奥さんも『ありがとうございます』と言ってくれて……」。
2005年のコーチ辞任時、大量の花を贈ってくれたのが黒田氏だった
実はこれ、川端氏にとっては“お返し”でもあったという。「僕が(2005年に)広島の投手コーチを辞める時、広島市民球場でのコーチ最後の試合の朝、家の玄関のピンポンが鳴って、出たら『黒田さまからお花です』と生花店の店員さんが来たんです。びっくりした。今でも覚えている。店員さんが『すみません。これ、どうしましょうか』って。だって、店員さんの顔が見えないくらいの花を贈ってくれたんですよ」。
驚くと同時にうれしかったのは言うまでもない。「店員さんに、花を玄関に入れてもらったけど、すごかった。色とりどりの花だった」。そんなこともあったので、川端氏は黒田氏の広島カムバックの際に花を贈ろうと思った。
「最初は黒田に、って思ったけど、やっぱり、一番、ここまでいろんなご苦労があったのは奥さんだろうからね。それで奥さんに贈った」。もちろん、かつて自分のところに届いた時と同じように店員さんの顔が見えないくらいの花を……。
広島に戻った黒田氏は、大フィーバーを起こした。2015年は11勝8敗、防御率2.55。2016年は10勝8敗、防御率3.09の成績を残して、カープの25年ぶりのリーグ優勝に大貢献した。そのシーズン限りで現役を引退したが、雄姿は語り継がれる伝説だ。「いい時にコーチもできたし、編成もできたと思う」。川端氏は2017年で広島を退団したが、そんなレジェンド右腕に関わることができたのは誇りでもある。(山口真司 / Shinji Yamaguchi)