FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間は8日、公式練習とトップ8のスターティンググリッドを決定するハイパーポールが行われフェラーリAFコルセのフェラーリ 499P 50号車と51号車がそれぞれ3分22秒982、3分23秒755…

FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間は8日、公式練習とトップ8のスターティンググリッドを決定するハイパーポールが行われフェラーリAFコルセのフェラーリ 499P 50号車と51号車がそれぞれ3分22秒982、3分23秒755の好タイムでフロントローを独占。TOYOTA GAZOO Racingは8号車が3番手で最高位となり、ル・マンでの6戦連続となるポールはならず、6連覇に向け黄信号が灯った形となった。

◆【実際の動画】ル・マン24時間100周年のポールを奪取したフェラーリ50号車の激走

■ジャッキー・イクスの記録を超えず

サルト・サーキットで昨年まで6年連続ポールポジションを獲得してきたTGRは、新記録更新へ向けハイパーポールへの進出を果たしたが、驚くべき速さを見せたライバルと、不運なタイミングで出された赤旗、そして、トラックリミット違反によるタイム抹消もあり、望みは絶たれた。

昨年のル・マン勝者であるセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、ハートレーのアタックによる3分24秒451というタイムで3番手グリッド。ハートレーのこのタイムは、圧倒的な速さで最前列グリッドを独占したフェラーリ50号車のポールタイムと1.469秒差だった。

小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車は、ジャッキー・イクスの持つポール獲得記録5回に並ぶチャンスであった小林がアタックを担当したが、ポールから1.951秒遅れの5番手となった。

ル・マンでポールを逃したTOYOTA GR010 HYBRID (C) TGR

4番手に割って入ったのはポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ポルシェ 963 第75号車だった。

ハイパーポールでの結果は残念なものとなったが、TGRはチームの目標であるル・マン6連覇と、今シーズンでの無敗記録更新へ向け、この日も2度にわたり行われた公式練習で、車両セットアップとレース戦略を徹底的に練り上げる作業を続けた。

30分間で争われるハイパーポールセッションでは、前日行われた予選での各カテゴリー上位8台が進出、スターティンググリッドを決定。現地時間午後8時、まだ明るく、気温も約29度と暖かな陽気の下でセッションが開始され、直後のアタックから、前日の予選同様にフェラーリ勢が速さを見せた。小林とハートレーも計測2周目でさらにタイムを更新したが、ポールに届かず。

2台のGR010 HYBRIDはピットインしタイヤを交換、残り10分というところで再アタックに入った。2台共に第1セクターでは自己ベストタイムを更新するペースで、ポールポジションへの望みを繋ぎいだが、このアタック中に他のハイパーカーがトラブルによりコース上でストップ。2台共にアタックラップを終える前に赤旗が出され、セッションは中断となった。

■「我々は最速ではない」と小林可夢偉

車両排除のために11分間中断されたセッションは、残り約5分で再開され、2台のGR010 HYBRIDは最後のアタックへ。再スタート時の好ポジションを得るため、セッション中断時のままのタイヤでのアタックとなり、ベストな状況ではなかったものの、2台はそれぞれタイムを更新。小林が3番手、ハートレーが4番手につけたが、ここでの小林のタイムはトラックリミット違反を取られ、抹消。

これによりハートレーの8号車が3番手グリッド。7号車は5番手となりました。TGRの車両がル・マンで最前列以外からスタートするのは、2016年以来となる。

ポールポジション争いとは別に、ハイパーポールセッションを挟む形で、決勝レースへ向けた懸命な車両セットアップ作業がこの日も2回の練習走行で続けらた。3時間にわたって行われた練習走行第3回目では大きなトラブルもなく、7号車は小林が3番手タイム、8号車はハートレーのタイムで4番手となった。

日が落ちた午後10時から1時間にわたり、決勝前のセッティング最終確認の機会となる練習走行第4回目が行われたが、多くのチームの慎重なアプローチがそのままラップタイムに反映される結果となった。7号車はロペスのタイムが6番手、8号車は少ない周回数でブエミのタイムが14番手。

チーム代表として厳しい表情を浮かべる小林可夢偉 (C) TGR

チーム代表でかつ、7号車のドライバーでもある小林可夢偉は「今日は全力を尽くしましたが、現実的には我々にポールポジションのチャンスはありませんでした。ポールを獲得したフェラーリを祝福します。彼らのラップタイムは非常に速く、我々にとっては困難なタイムでした。もちろんル・マンでのポール獲得は特別なものであり、そのために私も可能な限りハードにアタックしましたが、やや攻めすぎてトラックリミット違反を取られてしまいました。レースは長時間にわたるので、ポールでなければ、3番手と5番手というスターティンググリッドにあまり意味はなく、決勝レースは全く別物になることもあり得ます。今日の結果から、1周のアタックという点では我々は最速ではなく、決勝も容易な戦いにはならないでしょうが、24時間レースで勝つためには、チームスピリット、正しい戦略、そして、ミスなく戦うこと、その全てが必要です。日曜午後のチェッカーへ向け、ベストを尽くすだけです」と前を向いた。

これまでと異なり1周のベストラップでトヨタ勢が劣るという大一番。果たしてどんな戦略で栄冠獲得へと向かうのか。第91回ル・マン24時間は10日、正午から行われる15分間のウォームアップ走行を経て、現地時間16時(日本時間23時)にスタートが切られる。

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文●SPREAD編集部

Antonio FUOCO (@FerrariHypercar #50) provisionally on pole as the Italian clocked a 3:22.982 to beat sister car #51. Session currently under red flag, with clock stopped at 05:15.#WEC #LeMans24 #LeMansCentenary pic.twitter.com/B07xVHDSe8

— FIA World Endurance Championship (@FIAWEC) June 8, 2023