◇国内男子◇ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント 事前(7日)◇麻生飯塚GC (福岡)◇6809yd(パー72) 義足のゴルファーが国内ツアー競技に出場する。右脚に義足を装着した吉田隼人は「わくわく半分、怖さ半分です」と心境を明かし…

ハンディキャップゴルファーとして国内ツアーに初挑戦

◇国内男子◇ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント 事前(7日)◇麻生飯塚GC (福岡)◇6809yd(パー72)

義足のゴルファーが国内ツアー競技に出場する。右脚に義足を装着した吉田隼人は「わくわく半分、怖さ半分です」と心境を明かした。4月の日欧共催競技「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント」で下半身に障がいを持つブレンダン・ローラー(アイルランド)が欧州ツアー枠で出場(142位で予選落ち)したが、日本ゴルフツアー機構(JGTO)によると日本ツアー枠でのハンディキャッパー出場は、1999年以降の国内ツアーでは初めてになる。

吉田は23歳の時、バイク事故で右脚を負傷し、ひざから下が義足になった。38歳だった昨年1月に日本プロゴルフ協会(PGA)公認のティーチングプロになった。障がい者ゴルファーとしては「日本障害者ゴルフ協会」(DGA)の「日本障害者オープン選手権」で昨年まで3連覇を達成、現在は同分野の世界ランク30位以内におり日本勢トップに君臨する。

心境は「わくわく半分、怖さ半分です」

今大会主催の株式会社麻生、麻生グループは車いすマラソンなどパラリンピック種目のサポートに取り組んできた歴史を持つ。大会名に障がいを持つ人の欧米流の表現=チャレンジド(challenged)をつけ、初開催となった昨年、吉田はプロアマ競技に出場したが、今年は主催者推薦での“ツアー本戦出場”となった。

「昨年末に話をいただいて、二つ返事でお願いしましたけど、その時からずっとわくわくと怖さが半々で。わくわくはテレビを見て憧れた舞台に立って、自分の実力を試せること。怖さは“僕で大丈夫かな”と…」。右脚を失い、ゴルフを始めてから10年。レベルアップしながらも、どうしようもない不安はある。「僕たちは義足を“履く”感覚なんですが、その感覚がどうしても日によって違う」。右膝上から切断しているため、足首、膝がない。「蹴る」動きを「右股関節の回転」で補うのだが、どうしたって、体調やフィーリングに“波”がある。「少なくなっては来てるんですが…」という不安はついて回る。

右脚は義足。1Wで300ydショットも

右脚を失ったことで手にしたものもある。かつて気にしなかった「地面が平らじゃないこと」に嫌でも敏感になった。「グリーン形状とか、感知能力は高いかもしれません」。また今大会出場が決まった昨年末からトレーニングで体重は10kg増え、1Wショットの飛距離が「280ydから290、300ydに伸びた」。予選ラウンド同組の時松隆光に「僕より飛ばさないでくださいね」とお願いされたとか。

今回の出場を「本当にありがたいです。障がいを持っている人にはあまり大きな大会がない。“障がい者ゴルファー”という言葉を世間で知ってもらえるかもしれません」という。ただ、参加するだけで満足はしない。「昨年のカットラインが通算4アンダー。そこを目指したい」。予選通過を目指し、8日午後0時20分、時松、清水大成とともに10番ティに立つ。(福岡県桂川町/加藤裕一)

◇日本障害者ゴルフ協会(本部・東京都世田谷区) 特定非営利活動団体法人。1991年に創立され、2014年5月からNPO法人。肢体が不自由な人、軽度の知的障がい者を対象に登録者数は約500人。基本的にオフィシャルハンディは必要ないが、日本障害者オープン選手権など「グランプリの部」出場にはハンディ15以下が必要になる。