イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3~16日/グラスコート)の女子シングルス1回戦。 ペトラ・クビトバ(チェコ)の左手を手術した外科医は、月曜日、彼女のウィンブルドンでの最初の試合を観るため、センターコートの観客席…

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(7月3~16日/グラスコート)の女子シングルス1回戦。

 ペトラ・クビトバ(チェコ)の左手を手術した外科医は、月曜日、彼女のウィンブルドンでの最初の試合を観るため、センターコートの観客席に座っていた。

「彼が私の試合を観るためボックス席に来てくれたのは、すごく素敵な出来事だったわ。特別なことだった」とクビトバは言った。「彼が招待を受けてくれてうれしいわ。彼は私の応援をするために、奥さんといっしょに来てくれたの」。

 チェコの自宅でナイフを持った強盗に襲われた6ヵ月後、2つのグランドスラム・タイトルを獲得した場所に戻って来たクビトバは、これらすべての光景にやや圧倒されていた。彼女はまだ、ポイントや勝利を祝うため、拳を強く握りしめたり、ラケットのグリップをフルに握ったりはできない。だが、オールイングランド・クラブに戻って来て、1回戦でヨハンナ・ラーション(スウェーデン)を6-3 6-4で下した。

 昨年12月の事件でラケットを振る左手の5本の指すべてが傷つけられた。クビトバはふたたびテニスをプレーすることができない可能性もある、と言われたことすらあったという。

 その手の傷は起こった出来事を思い出させる。エンドチェンジの間に彼女が頻繁に手にすり込んでいるクリームは----それは彼女が、手をナイフで刺される前から長くやっていたことなのだが----彼女の握りの強さを向上させる助けとなるかもしれなかった。

 クビトバは全仏オープンの少し前に練習に戻り、それから5月の終わりの全仏で大会復帰を果たし、競技へのカムバックのプロセスを始めた。そして6月、イギリス・バーミンガムでのグラスコート大会でのタイトル獲得がそれに続くことになった。これらの双方は間違いなく重要な段階だったことだろう。

 2011年と2014年に優勝した場所であるウィンブルドンでふたたびプレーすることは、彼女にとってわくわくすることだった。

「もちろんコートに戻り、美しいセンターコートで自分のテニスをするというのは素晴らしいことだった」と第11シードのクビトバは言った。

「これ以上のことは望めないわ」

 バーミンガムで優勝したあと、彼女は腹筋の故障を理由にイーストボーンを棄権した。その故障は、長く休養したため起きても仕方のないことだったと考えている。

 彼女はまた、世界53位のラーションに対する試合の出だしに少しナーバスになったことを認めた。それが試合序盤のダブルフォールトにつながったのかもしれない。しかしクビトバは迅速に自分のテニスを取り戻し、いい流れに乗った。そして彼女は、数ヵ月前に自分に起こったことを明らかに知っている様子の観客たちが、通常よりも情熱的に自分を応援していることにも気づいたのだった。

 クビトバはイギリスのブックメーカー(賭け屋)たちの間でも人気者だ。ある者たちは2週間後に優勝杯を獲得する最有力候補に彼女の名を挙げていた。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「ウィンブルドン」1回戦勝利後、観客の大きな声援に対して応えるペトラ・クビトバ(チェコ)。(撮影◎小山真司/テニスマガジン)