C・ロナウド(左)の電撃獲得で話題となったサウジ・サッカー界。彼らはこの夏にベンゼマ(右)、そしてメッシ(中央)をも獲得…

C・ロナウド(左)の電撃獲得で話題となったサウジ・サッカー界。彼らはこの夏にベンゼマ(右)、そしてメッシ(中央)をも獲得しようとしている(C)Getty Images

 今夏にサッカー界における移籍市場は「サウジアラビア」がひとつのトレンドとなるかもしれない。ヨーロッパで名をはせた大物たちの獲得に向けた動きが忙しなくなっている。

 昨年月にサウジアラビア・リーグ1部の名門アル・ナスルが、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドと2年2億ドル(約280億円)というエポックメーキングな契約を締結したのは、記憶に新しいところだ。無論、ピッチ内外でサッカー界屈指のカリスマ獲得がもたらした影響は計り知れず、サウジ・サッカー界には、世界的な注目が集まったわけである。

 そして、この成功に大きな手応えを得た同国は水面下でクラックたちの獲得に動き出している。

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 すでに9度の国内リーグ優勝を誇るアル・イテハドがレアル・マドリーからの退団が公表されたフランス代表FWのカリム・ベンゼマの獲得合意と報じられ、さらにパリ・サンジェルマンからの退団を本人が明かしたアルゼンチン代表FWのリオネル・メッシがアル・ヒラルと契約したという報道もある。こちらは依然として噂の域を出ないが、一部の海外メディアでは年俸4億ドル(約560億円)の契約を締結したと報じられ、「少なくともC・ロナウドを超えるメガディールになるのは間違いない」と見込まれている。

 そのほかにも元スペイン代表DFのセルヒオ・ラモスや、クロアチア代表MFのルカ・モドリッチなど、「獲得報道」がなされているスター選手たちの名前は枚挙に暇がないほどに挙がっている。

 いずれもネームバリューに富んだスターたちばかり。それ相応の金額が必要になるが、当然、準備はなされている。この湯水の如く湧き上がる資金の源は、石油依存から脱却する取り組みを加速させているサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が関与する巨大政府系ファンド「SWF」による支援だ。米紙『New York Times』によれば、彼らはすでに20人を越える外国人選手たちをリストアップ。さらに10億ドル(約1400億円)以上の予算も投資する構えだという。

 サルマン皇太子をはじめとする関係者が目論むのは、国内リーグをトップスターたちで潤わせ、イングランドのプレミアリーグやヨーロッパのトップリーグと堂々の人気を博する舞台とすること。そして、2023年に行なわれるワールドカップ招致のためにサウジの知名度を高めるというものだ。いわば、国家プロジェクトと言っていい。『New York Times』の取材に匿名で応じた関係者の一人は、「国内リーグの4大チームに3人ずつのトップ外国人選手が加入し、さらに8選手が残りの12チームに加入する方針になっている」と告白している。

 それだけの野望を実現させれば、世界中の注目を集めるのは必至だ。一方でサウジ・サッカー界では困惑の声も広まっている。首都リヤドに拠点を置く古豪アル・シャハブのハリド・アル・バルタン会長は「ロナウドの年俸は我々の年間予算の4倍はあるというのにどうやって競争しろというのだ。(資金力の)差はあまりに大きくなりすぎている」と主要クラブが贔屓される現状を嘆いた。

「自力であまりに大きな差を埋めろとでも言うのだろうか。いうなれば、私たちは日本の小さなセダンなのに、なぜかランボルギーニやフェラーリと競争することを期待されているようなものだ。もしも、私たちが彼らに勝てなければ、こっちが悪いのだろうか? こんなの全くもって論理的じゃない」

 コロナ禍が終息しつつある中で一気に動き始めた感のあるサウジの野望。サッカー界のみならず、スポーツ界をも大きく変貌させるプロジェクトは、果たして成功するのだろうか。今夏の動向は注目に値するものになりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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